面接官
2018年3月に大学を卒業する、いわゆる「18卒就活」が始まろうとしています。就活といえばES(エントリーシート)と面接という二大関門がありますが、特にデジタル世代の若者は、対人コミュニケーションである面接が恐いと感じる人が多いと思います。その理由と対策を考えます。

■面接得意です!
就職相談やキャリアカウンセリングとして何千人もの方と個人面談をしてきましたが、「面接が得意です」という方には会ったことがありません。当然ですが相談にくる方のほとんどは「面接が苦手、恐い」という方ばかりです。新卒学生の相談は多くありますが、どうしてどうして転職する中高年の方でも、面接で緊張して力が発揮できないという方がほとんどです。

個人カウンセリングで事情を聞いていくと、面接への恐怖心の正体が見えてきます。多くの方は緊張しやすく、何をいって良いかわからない、用意していったアピールができない、面接官の圧力に負け、言いたいことがいえないなどなど、面接独特の圧迫感とそれによる本来伝えたい情報が伝えられないことに不安を感じる方が多いといえます。

ということは、あのプレッシャーがなければその情報は伝えられるということなのでしょうか。私が面接対策相談でお尋ねするのは、本当にそのアピールは正しいですか?ということです。実はたとえ緊張していなかったとしても、そもそものアピール内容の検分が十分ではない人が、とりわけ就活学生では圧倒的に多いのです。


■リーマン以来の採用ブーム
就職情報会社各社が発表する新卒学生の内定率調査では、昨年を上回るだけでなく、リーマンショック以来の高内定率を報じるものばかりです。「(内定率は)06年卒以降で 最も高い」(マイナビ「2016年度(2017年 卒)新卒採用・就職戦線総括」)、「内定率が9割を超えるのは、リーマン・ショック前の2009年調査(2008年卒)以来9年ぶり」(ディスコ「キャリタス就活2017 学生モニター調査結果2016年10月」)

これだけのデータが示すように、新卒採用に企業が意欲を持っているのは間違いありません。企業は学生を採りたがっているのです。面接で緊張するのは普通であって、採りたい学生にわざわざプレッシャーをかけて地力を出させないことを目指す面接官がいるでしょうか。

ごく一部中途採用で、高度なセールス能力を見たかったり、経営幹部としてプレッシャー下でも職務遂行できるかどうかを見極める面接はあります。しかし普通の新卒学生相手であれば、わざわざ圧力をかける必要がありません。何より面接を行う人事部門には普通、採用のノルマがあり、新卒採用計画で一定人数を雇わなければならないのです。採用することは人事部門の業務です。


■恐怖の源
選考される側は何とか採用されるようがんばり、また自分自身にもプレッシャーをかけているでしょう。そしてその結果、失敗してはいけない、上手いことを言わなければならないという、自ら緊張感を煽っているのです。これが恐怖の一番の源です。

面接をうそつき合戦などと揶揄する意見もありますが、根本的に間違っています。一定レベル以上の企業の面接では、面接官が気に入る正解を回答した人を採用するようなシンプルなものではありません。それであれば記憶力も優秀な高偏差値大学の学生は皆採用されるはずですが、現実にそんなことにはなっていません。

一定レベル以上の企業であれば、面接官が答えを持っていて、その通り答えた人を採用するのではなく、面接というコミュニケーションを通じてその人の考え方や能力など、今後活躍できそうかどうかを「判断」しているのです。だからコミュニケーション能力が大事といわれるのです。受け答のコミュニケーションを通じて、その人の能力を推定し、判断するのが面接官の仕事です。まずは上手くしゃべろうという無意味な目標設定は捨てましょう。


■セリフ暗記を捨てて臨む
人気企業の採用ともなれば、ありきたりなマニュアル回答だけで採用される可能性はほぼゼロです。セリフのように模範解答を暗記して臨むという面接準備はやめる代わりに、考え方をしっかりと整理して臨みましょう。

志望動機など、面接で必ず聞かれるような柱となる考え方をまとめておくためには、その準備として想定問答や模範解答を作るのも大いに有効です。自分の考えや能力がその企業の目指すものや価値観に合うかどうか検証しておくのです。それを文章化して確認するのであれば、大いに面接には役立つでしょう。

特に志望動機は特に会社ごとに練る必要があります。会社の事業概要などと志望動機が合致するかなど検証しておけば、付け焼刃の丸暗記ではなく、理屈としてむりなく考え方が整理でき結局記憶に残る可能性は上がります。


■ヒントを持参してみる
逆に先輩の成功例を丸暗記したり、表面的な、ネットや就活本で流布されるような「模範解答と称するもの」は自分の考えになっていませんから、記憶にも残りにくいのです。少なくとも汎用型でどんな会社にも当てはまるような無難過ぎる志望動機程度しかいえなければ、特に人気企業から採用されることはないでしょう。

さらにそれでも緊張で記憶が呼び起こせない恐れがあるなら、志望動機や自己PRが書かれたESや履歴書を持参して面接を受ける手もあります。面接だけでなく就活を記録する「就活ノート」というものがありますが、そこに志望動機のポイントをメモしておく手もあります。もちろん面説時に何も見ないで答えるように指示されればこの手は使えませんが、何も言われなければ堂々と置いて見てはどうでしょう。

ただし持参した紙を見っぱなし、そこに書かれている文章を棒読みするようでは全く説得力がなく、印象は最悪になります。絶対に文章を読むようなことがないよう、考え方のポイントだけを短く箇条書きにしておくことが実戦的です。話すヒントを書いておくイメージです。ヒントを見てその場で自分の言葉で作文できるように練習しておけば、かなり精度の高い準備となるでしょう。

「面接こわい」は実は面接の意味がよくわかっていないからなのです。真の準備をして、ぜひ場数を踏んでみて下さい。

【参考記事】
■面接の極意
http://shachosan.rm-london.com/?eid=632171
■コミュニケーション能力と丸暗記
http://shachosan.rm-london.com/?eid=638064
■内定辞退の作法(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/46036751-20150826.html
■NHKで話題となった「貧困JK」を生み出すキャリア教育の深刻な問題。(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/49388686-20160826.html
■「13歳のハローワーク」が与えたキャリア教育への功罪(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/49656199-20160929.html

増沢隆太 人事コンサルタント


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