新年目標

もうすぐ2017年がやってくる。来年の目標を考えている人も多いだろう。ところで、その目標はどのように立てているだろうか。

■企業が目標を作るとき
「あなたの会社ではどのように新年度の目標を作成していますか」
そう質問されたら何と答えるだろうか。
最初に問われるのは「前年比」だろう。そのためには前年の状況を把握しなくてはいけない。必要によってはさらに過去にさかのぼる必要もある。そして数値データを用い、数値では表せない定性的なデータも使って、現状分析を行うはずだ。
このように課題を見つけ出し、目標を決定して、それを達成するための計画を立てる。実行していくにあたっては、進捗や成果を確認しながら進めていく。新たに問題が浮上すれば、計画を変更することもあるだろう。PDCAサイクルをまわしていくわけである。
計画が変更されることがあるからといって、計画を立てたことが無駄になるわけではない。やみくもに行動するよりも、仮説であっても計画を立てて行動し、修正をはかっていくほうがはるかに良い結果を生む場合が多いからである。多くの企業は当たり前のようにこのような手順を踏んでいる。現状認識⇒目標設定⇒PDCAサイクルをまわす、という流れは基本なはずだ。

■ところで個人の目標は?
しかし、個人で同じような手順を踏んで目標設定をする人は少ないのではないだろうか。自分が所属する企業では当たり前に行われており、その大切さは理解しているはずにもかかわらず、である。
特に現状を分析し、状況を把握してから目標設定をする人はほとんどいない。「こんなことができたらいいなあ」というのは目標ではなく願望である。願望も大切でこれがなければ目標を持つけることはできないだろう。しかし、現状認識にもとづく計画がなければいつまでたっても願望のままで、目標と呼べるものにはならない。願望を目標にし、それを達成していこうとすれば計画に落とし込むのは必須である。
ではどのように計画を立てればいいのだろうか。難しく考え過ぎるといつまでたっても実行に移れない。たとえばこんなシンプルな形で考えてみてはどうだろう。
まず、目標の時間軸を作る。年の目標だからといって12月までに達成すればいいものばかりではないだろう。途中で締め切りが来るものもあるはずだ。そうしたことを見える化しておくことは重要だ。
次に、それぞれの目標を達成するために必要なことにブレークダウンしていく。それをまとめてガントチャートを作り、所要時間をチェックして、時間が収まっているかどうかを確認する。予想外のことは当然起きてくるので、バッファーは十分に準備しておく必要がある。
その上で、KPI(重要業績評価指標)を設定する。KPIは数値化すべきだ。計測しやすくしておかないと設定した意味が半減してしまう。これらを、時期を決めて進捗を確認する。そして、3ヶ月くらいで計画を見直し、必要に応じて修正を加えていけばいい。

■目標や計画にしばられるな
「計画を見直し、必要に応じて修正を加えていけばいい」と書いたが、これはとても重要なことだと思っている。「一度立てたものだから」と言って、それを固執してしまうならばかえって害になることすらあり得る。
目標や計画を立てた時点で自分が見通せる未来には限界がある。環境は常に変化している。その変化をすべて想定することは無理である。想定外の変化に対応していかないと、達成したのに成果はない、ということになりかねない。
また、自分では想像もしていなかったチャンスが舞い降りてくることもあり得る。それを「計画外のことだから」と言って避けてしまうのはとてももったいないことだ。予期せぬ出来事に対応できるような柔軟さを持ち合わせておきたい。

■目標設定のために必要なこと
企業であれば、事業目標の前に「企業理念」があるはずだ。理念なき目標は迷走しやすいし、それにもとづく計画は、手段の目的化を招きやすい。だから個人で考える場合も、最初に自分にとって大切にしたいこと、人生の「理念」「ミッション」を考えておく必要がある。「理念」「ミッション」というと大げさに思われるかもしれないが、その目標は「なんのため」にするのかを決める、ということである。目的と言い換えてしまってもいいかもしれない。
では、理念はどのように考えていけばいいのだろうか。最初から明確でそれにもとづいて目標を立てられるなら問題はない。しかし、理念というものは漠然とした想いであることが多く、明確な言葉になっていないことが多いのではないだろうか。
こうした場合は、逆から考えてみるのがひとつの手である。先に目標を考えてみて、その上で「なぜ」その目標を作ろうとしたのか、理由を深堀していくのだ。いわゆる「なぜなぜ分析」を自分に課してみるのである。
たとえば、「中小企業診断士試験に合格する」という目標を考えたとしてみよう。そこから、なぜ、診断士試験に合格したいのか?合格した後、何をしたいのか?他の資格ではダメなのか?そういったことを考える中で、目的が見えてくるだろう。
目的がはっきりすれば、当初考えた目標がベストなのか、他にも方法があるのではないか、ということが考えられるようになる。こうした思考を通して、自分のやりたいことを明確にしてけるはずだ。
来年の目標達成の参考にしてもらえれば幸いである。

〈参考記事〉
■一億総疲弊社会を招かないために~(書評)『職場の問題地図―「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』~(中郡久雄 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49922256-20161104.html
■あらゆる弱点には長所がある~弱点で進化を起こし、集客を成功させた水族館プロデューサーの方法~(中郡久雄 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49653605-20160930.html
■創業1年の家電ベンチャーが、37種59製品をリリースできた秘訣 (中郡久雄 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49418238-20160830.html
■「町工場の星」に学ぶ 人の育て方、リーダーのあり方~【書評】ザ・町工場―「女将」がつくる最強の職人集団(中郡久雄 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48530974-20160506.html 
■仕事に「自己実現」を求めるな! 中郡久雄
http://sharescafe.net/35179535-20131127.html

中郡久雄 中小企業診断士


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