イケイケ親父
新卒就職でも転職でも面接は採用における絶対欠かせない関門です。面接で接する面接官とは、なんともいかめしく、緊張で思うように話せない自分にカサにかかってプレッシャーをかけてくるように感じるものです。しかし、そんな面接官の中には多数のド素人が混じっていることを知っていますか?

■素人面接官
企業で採用に関わるのは人事だけとは限りません。外資系企業などに多い、ビジネスユニット毎が組織内で独立性の高い企業では、人事は採用のコーディネーションだけで、実際の書類審査から面接まで、現場が選考を行うことも少なくないのです。また日系大企業であっても、人事だけでは現場業務の知識に限界があるため、人事ではない人が面接など採用に関与してくるのはごく普通です。

理系学生は「技術面接」といって、生産部門や研究開発部門の社員と面接をすることが少なくありません。技術系の専門職の方で人事や面接を知り抜いている人など普通はいませんから、これなども面接官としては専門家ではない率が高いかも知れません。

もっとも技術面接を何度もしているベテランなら、人事面接ではなく技術面接のツボを理解しているので、こういったケースはプロということもできます。私がお会いした技術面接をされる方々は、皆さん人事的な知識や面接技術にも長けている方が少なくないにもかかわらず、謙虚で、自分は人事的なことはわからないのでという姿勢をお持ちでした。

むしろ厄介なのは営業系や管理系のベテラン管理職のド素人面接官です。「会えば一発でわかる」とか「目の輝きでわかるんだ」と豪語するタイプです。


■「ウソつき大会」面接の勝利者
私は大学で「面接セミナー」などを通じて学生を指導することが多いのですが、逆に面接官を指導する「面接官レーニング」を企業にはしています。ベテラン社員が面接官をする場合、そうした方のビジネスにおける「勘」を全否定するつもりは全くありません。経験値・経験則も一定の合理性があると思っています。それでも面接をそうした思い込みで進めてしまうのはだめなのです。

特に「目の輝きでわかる」というのが昔から怪しいと思っていました。心理学でいえばハロー効果やシグナリング効果のように、経験値がかえって判断をゆがませる効果があり得るわけで、どれだけビジネスで実績を上げた方であっても、面接官能力とは別だと考えなければなりません。

面接テクニックが最も効果的なのは、こうした素人面接官といえます。目をしっかり見て、スラスラよどみなく、当意即妙な受け答えが評価されたりします。また面接を受ける側も、そうしたステレオタイプな回答練習をして臨む人が多いので、果たして本当にその人の実務能力が高いのかどうかとは別の雰囲気が大きく作用します。

変わった経験や表彰などの成果談は正にハロー効果で良い印象を決定づけてしまう恐れがあります。それら自体、悪いことではもちろんありませんが、担当業務とどうつながるのかの検証や、そもそも話が本当かどうかも面接の場ではわかりません。


■聞くべき質問
つまり素人面接官とは、事実や真実を面接の場で確認しようとする人のことです。「何をやったか」「誰とどこでやったか」といった、事実関係の聞き取りは、警察の取り調べではありませんから嘘をつくことも十分可能です。

コミュニケーション能力をきわめて狭い意味で、プレゼン能力だけに限定してしまうと、自分が自分がというがっついた人が良い評価を得て、しっかり相手の話を受け止めるタイプのおとなしい人が評価されない恐れがあります。イケイケの昔風セールスを採用したいのであれば良いのかもしれませんが、そんな人物像を求めていない採用ではどんどんミスマッチの恐れが高まります。

聞くべきことは事実確認ではありません。その事実をどのように考えて、どのように実行し、どのように苦労し、その苦労をどう克服したかというプロセスと思考です。ここで実際のビジネス知識が生きてきます。ウソのエピソードでいかようにもごまかせても、その業務のプロであれば勘どころやツボを熟知しているはずで、どんなところで苦労して、どうそれを克服したかという話になれば、真偽かどうかの検証はともかく、説得力を感じることができるでしょう。

逆に上辺だけの話し上手であれば、その分野のベテランをだまし通すことはできないはずです。万一、だまされたら?それはプロをもだまし抜けるほどのトーク力があるということで、それを評価するかどうかは、ご自分で判断して下さい。



【参考記事】
■理系人間のコミュニケーション技術上達法
http://shachosan.rm-london.com/?eid=663312
■スキルって?
http://shachosan.rm-london.com/?eid=648457
■本当に必要?就活用マナー講座 (増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/48109814-20160317.html
■「風通しの良い社風」という、いまそこにある危機 (増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/48419202-20160421.html
■「面接こわい」への対策(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/50009855-20161116.html

増沢隆太 人事コンサルタント


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール