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自分の住んでいるマンションに「空室あり 入居者募集」と看板が出ていると、空き部屋はいくらで募集が出ているんだろうか、と調べた経験がある人もいるだろう。

インターネットで自分の住んでいるマンションを検索したところ、隣の部屋が自分の部屋よりも家賃が2万円ほど安くなっていることが分かったとしよう。間取りや部屋の広さは同じはずだ。月の家賃が2万円も違えば年間で24万円の差になる。これは大きい。

このようなケースで自分の部屋の家賃を下げてもらうことはできるだろうか。

■同じマンションなら家賃は同じであるべきか
高い家賃負担をさせられている人にとって、同じマンションなのに家賃の設定が違うのはおかしいじゃないかと感じる理由は様々だ。

同じマンションなら、当然築年数は同じであるわけだし、駅などの公共の交通機関・近隣のスーパーなどの日用品の買い物の利便性も同じなわけだ。家賃をそろえてくれてもよいのではないかと考えるのも一理ある。

しかし、同じマンションであるからといって、細かく言えばそれぞれ違う。セキュリティの観点から1階を敬遠する人もいるだろうから、1階は家賃を安く設定している物件もあれば、角部屋を好む人が多いから少し割高にしているといった具合だ。

不動産というのは、まったく同じ物件というものはない、唯一無二の物を借りているわけだから、それぞれ違うことが前提なのだ。

賃貸マンションの家賃は個人間の契約ごとになるので、第一は契約で決まることになる。

■法的に家賃の値下げをする方法
それでもあまりに大きく家賃が異なるのであれば、何とかならないのかと考えるだろう。

法的に家賃の値下げが要求できる場合は、次の3つだ。1租税などの負担の増減があった場合、2土地又は建物の価格の変化、3近隣の建物に比べて家賃が不相当となった場合である。

賃貸マンションに入居している方の場合、主に3の近隣の同レベルの物件に比べて家賃が高すぎるということが主な理由になるだろう。

まずは大家さんと協議をすることになる。

先ほども述べたとおり、家賃は契約ごとで違って当然なので、大家さんとしても一度取り交わした契約の内容をおいそれと変更してくれないかもしれない。

こうなるといよいよ法的手続をすることになるのだが、段取りとしては、いきなり「裁判」をすることはできず、まず「調停」の手続を起こさなければならない。「調停」とは裁判所を利用した話し合いだ。

家賃交渉をするということは、そこに住み続けることが前提になるので、今後の関係性も考えて、まずは話し合いをしてみましょう、という調停の手続が義務付けられている。この点が他のトラブル解決とは異なる点だ。

「調停」というのは裁判所を利用するとは言え、あくまで話し合いに過ぎない。大家さんには調停の場に出廷しなければいけない義務があるわけではなく、結局、ここでも物別れに終わることも多い。

そうなったときに初めて裁判で争うことになるのだ。

■法的に家賃の値下げに成功することがあるか
法律的に家賃の値下げをしてもらう方法をざっと説明してみたが、読んでいただくとわかるとおり、なかなか遠い道のりを辿ることになる。

決着をつけるには、まず調停という話し合いの機会を設けて、その後、訴訟をしなければならない。訴訟の中では、適正家賃がいくらとなるのか、入居者側で証明をする必要がある。

証明する方法については様々な方法があるが、裁判所に提出を求められる資料は不動産のプロに依頼しないととても作成できないような内容だ。

そうなると、裁判に要するコストと併せて証明するための資料作成にもコストがかかってしまい、とても家賃を減額してもらったところで、足が出てしまいそうな内容となる。

結論を言うと、法律は家賃の減額の手続きを設けてはいるものの、とても現実的なものとはなっていないのだ。

■まとめ
一戸建てなどの高額な家賃の物件に住んでいて、今後も長期間居住することが予定されているなど、特殊な事情がない限りは、家賃の交渉をしてみて、それで難しい場合は、訴訟等の手続きを取る前に別の物件に引っ越しをしてしまうほうが現実的である。

しかし、よくよく考えると、大家さんからしても、家賃の減額交渉に来る入居者というのは、長期間居住することが見込める入居者なわけだ。

入退去が頻繁に繰り返されると、新規入居者のために行うリフォームなどの費用がその分かかることになるわけだから、あながち検討すらしないまま拒絶するのはもったいないと考えることもできる。大家さんサイドにも少し検討をいただきたいところだ。

4月からの新生活に向けて、転居を考えている人も多いことと思う。現在住んでいるマンションの家賃が高い…と感じた方の参考になれば幸いである。

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及川修平 司法書士


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