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去る3月1日、経団連に加盟する企業の採用活動が解禁された。合同企業説明会(いわゆる就活フェア)も全国各地で開催され、就活生・人事担当者共に日々慌ただしく過ごしていることだろう。

■売り手市場ではあるものの。

平成30年春の採用に向けた大学3年生らの就職活動は、久々に「先輩の体験談が役立つ就活」となる。学生に有利な売り手市場が続く中、早くから備える学生と、のんびりしている学生の二極化が進んでいるようだ。
産経デジタル「就活 3月1日解禁 準備万端、のんびり…学生二極化」2017/2/27

比較的売り手市場での就活ということだが、黙っていて向こうから内定が来るわけでは無く、就活生にとっては自己分析や面接対策など、相応の努力は当然必要になるだろう。

■就活に有利な資格はあるのか?
さてそんな就活であるが、少なくない就活生から「就活するにあたり、何か資格をとった方が有利なのか」という声が聞かれる。皆、社労士やTOEICなど、就活における魔法の杖を探しているかの如く真剣な顔で問うてくる。「学生生活でやっておくべきこと」と並んで、就活における鉄板の質問なのかも知れない。

この質問にどう回答すべきなのだろうか。自身の立場が人事担当者であるか就活生の親であるか、によっても回答が分かれるだろう。

筆者のキャリアコンサルタントとしての見解は「あるに越したことはないのでしょうが、当然マストではないですよ」となる。もちろん、そもそも有資格者でないと職務ができない専門職採用を除く、一般的な新卒一括採用が前提である。

■新卒一括採用方式ってなんだろう。
我が国における就活は、新卒一括採用方式と呼ばれる。特定の時期に集中して学生を選考し、内定を出す方式だ。転職や第2新卒採用が珍しくは無くなっているものの、多くの企業がこの方式を経て必要な人員を確保しているのが実態だ。

新卒一括採用方式では、就活生のポテンシャルが重視されるのが特徴だ。これは、職歴の無い学生をターゲットにしているのだから至極当然のことと言える。実践力として問われるのは、アルバイト経験であったりサークルでの役割であったりするくらいで、書類選考や面接での評価ポイントは、やる気であったりコミュニケーション能力であったりするのだ。

この前提に立てば、そもそも企業側は学生の職務能力について重視していないわけであり、だからこそ職務経験の無い学生の大量囲い込みに走るわけである。従って、英語が流ちょうであったり簿記の知識があるに越したことは無いが、それだけが採用の決め手とはならないわけである。

だからこそ、近年就活において風潮されている「即戦力」を学生に求めるのは、元来トンチンカンなことなのだ。上記のとおり(職務上の)即戦力と新卒一括採用は、本来水と油のようなものだからだ(もちろん、ここで言う「即戦力」は、最低限のビジネスマナーを身につけている程度、なのかもしれないが)。

■息抜きしながら就活をやり抜いてほしい
さらに言えば、資格は実務経験があってこそ活きてくるものだ。両者は車の両輪のようなもの、と言ってもいいだろう。いかに留学経験があったとしても、ビジネスにおける折衝能力や管理能力が伴わなければ、いかに語学力があろうとも職場で活躍することは出来ないだろう。

資格は、特定分野の専門家としてスタート地点にたった、という証明でしか無い。当該有資格者として活躍できるかどうか(食べていけるかどうか)は、その後の実務経験次第なのだ。申し訳ない話となるが、実務経験のない学生さんが資格を取得したことだけを過度にPRするとすれば、採用側から見れば滑稽にも映り得るだろう。

資格取得が就活における魔法の杖とならないのであれば、就活生の皆さんがやるべきことは、やはり基本に立ち返って志望する業界・職種の情報収集を行う、自身の興味関心の棚卸しを行うなどの地道な作業だ。

もちろん前述したとおり、ポテンシャルなど人格的な要素が評価を左右するとすれば、採用見送りが続けば当然傷つくだろう。努力が実らぬ理不尽さに憤慨することもあるはずだし、人格を否定されたような気持ちにもなるだろう。「就活うつ」という笑えない事態も実際にあり得るのだ。そうなる前に自己防衛の意味で、適度な息抜きや信頼できる他者へ悩みを相談してほしい。

キャリアコンサルタント・カウンセラーとして一言アドバイスをするとすれば、企業・団体がこれだければ、必ず貴方の力を必要とする組織があるはずだ、と言うことにつきる。くじけずに粘り強く、時に休憩を挟みながら就活に臨んでもらいたいものだ。「就活はお見合いと一緒」という言葉もあり、もしかすれば長期間お付き合いするパートナーとなり得るのであるから。

【参考記事】
■保育園の手作りバッグ強制と、長時間労働の共通点。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/50607058-20170207.html
■キャリアコンサルタントが自身のキャリアを描けない、という笑えない話。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/49875267-20161028.html
■電通新入社員自殺、「死ぬくらいなら辞めればよかった」が絶対に誤りである理由。 (後藤和也 産業カウンセラー/ キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/49739049-20161010.html
■公務員の給与引き上げは正しい。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/49293753-20160812.html
■サザエさんの視聴率が急降下した本当の理由とは。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/49055679-20160711.html

後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント


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