4月バカ
3月の「広報活動解禁」に合わせて一斉に学内学外企業説明会が始まりました。これは事実上の就職・採用活動解禁であり、就活はいよいよ本番になったといえます。この時期特に学生がとまどうのが企業との付き合い方。社会に出れば避けて通れない、「ウソ」と「建前」の違いというのは学生にとって難問です。

■「本音と建前」に困る学生
社会人が仕事をする上で本音と建前の使い分けはある意味当然であり、それができなければ仕事においては著しく不都合があります。しかし社会経験の乏しい学生は社会の表と裏、本音と建て前の区別ができないことが少なくありません。昨今の学生のように、横のつながり、つまり同年齢間の交流はあっても、サークルやアルバイトをしていない限りは年齢の違う上下関係が希薄になります。

年長の会社員は父親くらいしか交流したことが無いという学生は山ほどいます。就活によってほぼ初めて同世代以外の人と本格的なコミュニケーションを取るという学生が多いのです。そんな学生が企業と渡り合うのは恐怖でしょうし、どうコミュニケーションを取れば良いか、皆頭を痛めます。

さらに面接という独特の緊張感ある空間で環境は悪化します。緊張する環境下で苦手な相手と渡り合うのですから、学生が就活に悩む気持ちは理解できます。ただ、その悩みの中身をもう少し分解して考える必要があるでしょう。単に恐れるだけでは事態は何も進みません。


■大学キャリアセンターのピークシーズンはいつ?
日本独自文化ともいえる「新卒一括採用」ですが、昔から「通年採用」に変えるべき論はあります。一方、大学の就職支援を行うキャリアセンターの業務は今、すでに「通年ピーク」になりつつあります。採用の圧倒的多数は4月入社であるものの、就活以外にもインターンシップが入ってくるからです。

インターンシップという名の隠れ蓑をまとえば、いついかなる時期でも学生と企業が接触できるようになり、かつての就職課・就職部がキャリアセンターと名前を変えたように、就職だけでなくインターンシップもその管轄業務となりました。キャリア支援業務として、就活本番の春(1月~6月くらいまで)は就職関連。それ以外の期間は企業側もインターンシップで次の青田を探すため、結果としてキャリアセンターは通年でピークとなる忙しさになりました。

しかしインターンシップは「就職とは関係ない」ことをうたって行われています。また就職活動も「広報解禁」「採用解禁」と段階別にできることは分かれている・・・・はずです。ではインターンシップで良い印象を残した学生は、全くその影響を引っ張らずに就活をするのでしょうか。広報活動とは、企業情報やキャリアの解説しかしないのでしょうか。就活においては、多分に建て前が跋扈する世界です。


■建て前とウソ
就職時期申し合わせそのものが本音と建て前のたまものであり、学生向けコミュニケーション講座ではいつも伝えていますが、経団連申し合わせでいう「広報活動解禁」の意味は、選考の一部がすでに始まるということなのです。広報活動ではあっても企業は学生と直にコミュニケーションが取れるのですから、その課程を通じて企業側はどんどん見立てを進めるに決まっています。ただ単なる企業広報・採用情報を伝達する記事ではありません。

建て前の「選考開始」は6月でも、選考を開始したのであれば、もういつでも採用を決めることができるのですから、6月1日から内定が出せることになります。理論上、6/1に会って、面接し、即座に採用を決めたという理屈が通ります。

こうした実態を考えずに「広報活動解禁」は企業情報が伝えら始めるだけ、「採用解禁」はそこからゆるゆる採用選考が行われるだけ、と考えてしまうようでは当然人気企業の選考に残ることは限りなく難しくなります。しかし上記の説明のように、企業側の理屈は完全にウソなのではなく、かなり強引ですがだましているとまではいえないものです。こうしたあやふやな立ち位置で事態が進むのは社会そのものなのです。


■正解主義の挫折
高偏差値大学で講座を行うことが多いのですが、こうした大学の、就活や社会の実態を理解しない学生はむしろ苦戦します。優秀な大学に入ったということは「正解導き能力」に長けており、一つの成果を見出す力は限りなく高いものを持っているのです。しかしウソと建前のように「正解が一つでない」事態において、受験の成功体験しか持たずに突入するとたいへんな苦労を強いられます。

当然現実に採用選考の場で初めて会って即座に採用などあり得ません。「広報活動」中だったはずのコミュニケーションを通じて学生の目星をつけておき、正規のタイミングである選考解禁日に内定を出しているだけです。また広報活動期間中にすべてほしい学生が集められる人気企業だけとは限りませんから、すべての学生が6/1に内定を得られる訳でもありません。

申し合わせ通りに選考を進めることも同時並行してあり得ます。グレーではあってもウソとはいえない逃げ道が多々あるのです。ウソか真実かというゼロか100かではない、グレーゾーンを理解すること。それは社会で求められるコミュニケーション能力の実態といえます。

【参考記事】
■ダメダメ・就活エントリーシート
http://shachosan.rm-london.com/?eid=612322
■就活で傷つく若者たち
http://shachosan.rm-london.com/?eid=656497
■「普段着でお越し下さい」でわかる企業体質(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/50693231-20170220.html
■「面接こわい」への対策(増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/50009855-20161116.html
■素人面接官を見抜く方法 (増沢隆太 人事コンサルタント)
http://sharescafe.net/50456803-20170117.html

増沢隆太 人事コンサルタント


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加


関連コンテンツ
シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール