数学1


受験を終えた学生たちは卒業を迎え、新たなステージへ向かいます。それど同時に、ほとんどの人はこのタイミングで「数学」からも卒業していきます。おそらく多くの学生はこのような疑問を抱えながら数学を勉強していたことでしょう。

「数学は嫌いです。だってこんなものを勉強していったい何の役に立つのか、最後までわからなかったから」

残念なことに彼らのほとんどがこの疑問の答えを得ることなく卒業していきます。さらにこの疑問は数学に苦手意識を持ってしまった人、数学を勉強することを諦めてしまった人が使う典型的な常套句になっているようです。

そこで今回はビジネス数学の専門家という立場から、「いったい何の役に立つの?」というこの疑問にシンプルに答えていきたいと思います。

■役立つから勉強するのか?
まず先ほどの疑問を少しでも感じたことがある大人の方に尋ねてみたいことがあります。「では学生時代にどう役立つのかを知ることができたら、数学を好きになったのか。一生懸命勉強したのか」ということです。端的に言えば、「将来役立つなら勉強したのか?得意になったのか?」ということです。おそらく答えは「NO」ではないでしょうか。

私は数学が苦手だった人を攻撃しているわけではありません。人には個性があり、得手・不得手があるものですから。しかし苦手だった、あるいは勉強しなかった理由を「どう役立つのかわからなかったから」とするのは少し違うのではないでしょうか。単に数学が面白くなかったから、興味がなかったからのはずです。先ほどの常套句は、後付けの言い訳に過ぎません。

■なぜあなたは部活を頑張れたのか?
この話を学生時代の部活動(たとえば運動部にします)に喩えてみます。厳しい練習に耐え、結果として大切なものをたくさん学んだ人も多いでしょう。今になって思えばそのときの経験は大人になってからも活きているように思われます。
 
しかしあなたは学生時代、「将来役立つからいま頑張って部活動を続けよう」と思っていたでしょうか。おそらく違うはずです。試合に勝つ喜びがあったから。仲間と過ごす時間が楽しかったから。純粋にそのスポーツが好きだから。異性にモテたかったから。そのような理由だったのではないでしょうか。

そしてもし運動部の顧問から「いま頑張ることはいずれ将来きっと役立つ。だから頑張れ!」と言われたところで、見たこともない将来のことを持ち出されても心には響かなかったはずです。

■わかる→どう役立てるかを考える
仮にここまでの主張を「正」とするならば、学生時代の勉強というものがいったい何なのかが見えてきます。そもそも、いずれ役立つかどうかなんて概念は不要です。好きか嫌いか。面白いかつまらないか。夢中になれるかなれないか。ただそれだけです。

そして幸運にも数学をきちんと勉強できた人が、はじめてそれを使って世の中をよりよくするために役立てることを考えるのです。たとえば暗号の技術だったり、交通渋滞の解消だったり。

あるいは数的感覚や論理思考など、人のリテラシー教育に活用する人もいるかもしれません。(私がまさにそうですが)つまりまずは楽しむ。そして夢中になる。そしてその後にそれをどう役立てるかを考えるわけです。

■「何の役に立つのか?」の答え
ですからもし私が「数学なんて勉強していったい何の役に立つのか?」と学生(あるいは大人)に尋ねられたら、迷わずこう答えるわけです。「あなたが役立てようと思えば役立つし、役立てようと思わなければ役立たない。その質問をしている時点で、役立てることができない人ということだ」と。

もし質問の主が学生だったら、「そんなことよりもっと数学を楽しんだら? それでもどうしてもその答えが欲しいのなら、どう役立つのかを自分で考えてごらん」と答えるのが正解なのです。

これはビジネスパーソンでも同じことがいえます。「SNSは私の仕事にどう役立つの?」とすぐに答えを求めて質問するだけの人物と、まずはSNSを自分なりに楽しく使うことで夢中になり、その後で自分の仕事にどう役立つかを考える人物。どちらがそれを役立てられる人物かは明らかです。

■とにかく“いま”夢中にさせて欲しい
この記事をお読みの親御さんや教育者の皆さんにぜひお願いしたいのは、「いずれ役立つ」ことを訴えるのではなく、理屈抜きに楽しいと思わせるように学生を導いて欲しいということです。これは数学に限らず、すべての教育に通じることではないでしょうか。もちろん私も教育者である以上、自戒を込めてお伝えしています。

「先のことなんて考えても仕方がない。いま夢中になることが大切だ」

大人向けの自己啓発書などに書かれている(少しばかり薄っぺらく感じる)こんな考え方も、あながち間違ってはいないと私は思うのですがいかがでしょう。


【関連記事】
■人間が「数学」を嫌うもっともシンプルな理由(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/50750922-20170228.html
■自己啓発本を読んでいるのに人生が変わらない理由は、“数学的”に生きていないから(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/50200967-20161212.html
■芸能界を引退する嗣永桃子さんは、理想的な「算数の先生」になれるかもしれない。(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://sharescafe.net/50011543-20161116.html
■ビジネス数学 「数学的に生きる」とは(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://business-mathematics.com/blog/archives/1303
■ビジネス数学 スゴさや価値を数値化していますか(深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)
http://business-mathematics.com/blog/archives/1377

深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント


この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール