13f7d820edd89fbaadb02c6e0db9140b_s
ふるさと納税と聞くと、何を真っ先に思いつくでしょうか?

税金や寄付という行為より新鮮で美味しいお肉、魚介類を思い浮かべる人もかなり多いのでしょう。

■やっぱり?結局?返礼品
総務省が平成28年6月14日付で公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、すべての地方の1788団体のうち、なんと90.5%の1618団体が返礼品を送付していると回答しています。またふるさと納税の受入数及び受け入れ件数が増加した理由の第1位は「返礼品の充実」が1017団体(56.9%)でした。

「返礼品の良し悪しで寄付額が決まる」のは、寄付額の集まり具合を見れば一目瞭然です。昨年度の受け入れ件数第1位は宮崎県都城市で、返礼品として肉や焼酎が大人気でした。このような調査結果からも、今現在ふるさと納税は返礼品なくして語れない、返礼品ありきのふるさと納税と言っての過言ではありません。

■ふるさと納税拡充に急ブレーキ?返礼率に政府が苦言
このような過熱気味の返礼品合戦を防止すべく、総務大臣から平成29年4月1日付で各都道府県知事に宛てに「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」が通知されました。この通知の中で返礼品は寄付額の3割以下にするよう指導しています。

仮に1万円を寄付したとすると、返礼は3,000円相当額です。返礼率7割といったお得感を売り物にしてきた自治体がこの設定にすると返礼品が今までの半分くらいなります。そもそもの目的は、寄付でなく返礼品目当てですから、今までのお得感がよかっただけに物足りなさを感じて寄付をやめてしまう人もいるかもしれません。

これまでテレビ・雑誌などで頻繁に取り上げられ、それを助長するかの如く、平成27年1月1日以降のふるさと納税枠の拡充、同年4月1日以降から確定申告からサラリーマンなどがふるさと納税をする場合、寄付が年間5団体以内なら確定申告をする必要がなくなる「ワンストップ特例制度」まで創設してきたのです。日ごろ確定申告に縁のない納税者に便利になるようふるさと納税を後押ししてきたはずなのですが、今回そのような行為にブレーキをかけた形になります。

■やっぱりお金持ちが得をしている現実

平成20年の税制改正で創設されたふるさと納税は、そのネーミングが定着し、返礼品の充実・使いやすさなど年々改良されて受け入れ件数が増加してきました。

ふるさと納税で支払ったお金を確定申告しようとするとそれは寄付金控除になります。本来寄付とは、金銭や財産を無償で提供することであって、見返りを求めないものです。会社の接待費のように、取引をする業者などに対して何らかの見返りを期待してお金を出すものではありません。

寄付には様々なものがあります。もし、教育や福祉、災害などに純粋に寄付したいと思ったなら、ふるさと納税以外では誰も見返りなど期待しないでしょう。寄付という名でふるさと納税が、様々な考えのもとに独自の進化を遂げてきたことは確かです。

ここにきて今更という感はありますが、やはりこの寄付行為が比較的裕福な階層の納税者が得をしているという問題も多くなってきました。庶民にとっては贅沢品の品々を寄付名目で買い漁り、換金性の高い金品やプリペイドカードを転売したりする行為はやはりお金がないとできません。感謝券という名の地域の商品券や、旅行券で転売が最終目的であるものの購入など、一部のお金がある人が集中的に購入し、節税対策に使われるツールになってしまっているものも見受けられ、ふるさと納税を悪用する行為も出てきています。

■この先先細りとなるか?ふるさと納税の行方
今回のふるさと納税への通知は、技術的助言と言って参考意見としてのものであり、法的な拘束力はありません。しかしこの通知を受けて、寄付団体は内容の改定をすることになるでしょう。最後のお得な品物をゲットしようとする納税者も出てきそうです。

ふるさと納税のように、お得で合法であれば、だれでもその法律を使うことができます。しかし、使う人が限定的であり、その限定的な人が大きく得をする法律はやはり考え物です。法律は決められて世の中に出回ると、思わぬところで意図しない使われ方をする場合があります。法律で規制してもこれではいたちごっこになるでしょう。

今後ふるさと納税はこの通知を受けて徐々に減っていくことになってしまうのでしょうか?総務省の指導で本当に困るのは、寄付をする納税者でなく、一過性のブームとして消えてしまうのではと悩む地方なのではないでしょうか?

これからのふるさと納税の利用者の変動が気になるところです。

【参考文献】
■世界のシンデレラストーリーは変わった。それは自分の力で起業することである。 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50956238-20170329.html
■年収1000万円超えの会社員は「税金」で貧乏になる。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50540586-20170129.html
■なぜ高齢者は預金をたくさん持っているのにお金を使わないのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50299969-20161225.html
■マイナンバーは税金の無駄遣いの救世主になることができるか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50115713-20161130.html
■進化するふるさと納税。その課題とは。 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/47646614-20160128.html

浅野千晴 税理士



この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール