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人手不足による人件費の高騰で、外食産業を中心とする企業は厳しい状況に置かれています。

先日も、鳥貴族が値上げに踏み切らざるを得なくなるといったニュースが流れてきました。

「全品280円均一」でデフレ時代を駆け抜けてきた焼鳥店チェーンの鳥貴族がついに値上げを決めた。デフレ環境下で28年間も280円にこだわり業績を伸ばしてきた業界の勝ち組が、人件費などのコスト増に耐えかね苦渋の値上げを迫られた格好だ。 鳥貴族、28年ぶり値上げ 脱デフレへ転換告げるか 2017/8/28 日本経済新聞


原因は人件費などのコスト増とありますが、鳥貴族をはじめとした大手企業もコスト増を指をくわえてみていたわけではありません。様々な改善策を提案できるだけの人材的な厚みも持っていますし、生産性向上のために設備投資を行うだけの経営資源を持っています。

また、食材などの仕入れは一般に規模の経済が働くため、中小企業と比較して原材料の調達価格が安かったりします。

しかし、そのような大手企業であっても外部環境の変化に対抗しきれなくなってしまい、値上げに踏み切った形なのです。

それでは、このような大きな企業ですら対抗するのが難しかった外部環境の変化に中小企業は対抗できるのでしょうか?

■万人向けの起死回生のアイディアはない
と、いきなり結論めいたことから始めますが、一般論としての起死回生のアイディアといったものは基本的には存在しません。

もちろん、個別の企業に対して効果的なアイディアは存在しますが、それがどのような企業にも当てはまるという事はありません。

というのは、どの企業も想定しているお客様も、販売している商品も違います。また、販売している商品や想定するお客様が同じであっても、販売方法が異なってきます。

何よりも、その企業の存在する目的が違いますので、どこかの企業でうまくいった方法をそもまま移植すればよいというものではないのです。

しかし、起死回生のアイディアはありませんが、定石と呼ばれるものは存在します。それはとても地道な方策であまり人気の出ない方法ですが、確実にどの企業においても効果を発揮します。

■そもそも何をしたいのかを明確にすることが大切です
大きな企業にお勤めの方ならば、自社の経営理念や社是・社訓と呼ばれるものを目にしたことがあるかもしれませんし、ひょっとしたら朝礼などで毎日唱和しているかもしれません。

もちろん、この経営理念や社是・社訓はただ単に存在しているわけではありません。その企業の存在意義を内外に示すために存在しているのです。

と、経営理念や社是・社訓の類は自社の存在意義を内外に示すだけならば一見すると何の役にも立たなさそうな気がします。そんなものを唱和したって売り上げにはつながらないような気すらします。

しかし、企業の努力の方向を合わせるためには、こうしたものが実はとても大切になるのです。

例えば、お手頃なものを安く提供したいといった経営理念としっかりとした品質のものを価値のわかる方に提供したいといった経営理念を掲げている2つの企業があったとします。

その場合、これらの経営理念を実現する商売のやり方は違ってくると考えられます。

前者は、低コストでの運営を志向し、顧客に提供する価値に直接関係のないものは徹底して省くかもしれません。また後者は、顧客へ商品やサービスを提供するための雰囲気づくりも重要となってくると判断し、高価な什器備品を導入するかもしれません。

このように経営理念が直接企業の行動に影響をあたえることがあります。

それでは、この経営理念がはっきりしていないとどのような悪影響が考えられるのでしょうか?こういった理念がぶれていると意思決定を繰り返す中で一貫していない打ち手を打ってしまい、限りある経営資源を無駄にしてしまう可能性があります。

例えば、親しみやすいお店を作ろうとしているときに、高級感のある什器備品が安く手に入るからと言って導入したりすると無駄が生じそうですよね?

また、高級品を販売することを志向している会社が、同じ店舗名で廉価品を売ると、安物のイメージがついてしまい本店に悪影響を与えるといった事も考えられます。

もちろん一概に言える正解は存在しません。そのため、様々なことをやったほうが結果としてリスク分散になる可能性はありますが、もしそのようなリスク分散を狙うのならば、しっかりと計画を立てて意識的に行うほうがより効果的ですし、うまくいかなかったとしても何が良くなかったのかについて検証をすることが可能となります。

そのため、そもそも何をしたいのかについては明確にしておく、可能であれば経営理念や社是・社訓といった形にしておくことが望ましいのです。

■とにかく何をしたいかが一番最初です
この経営理念や社是・社訓といったものを決めるために、強みを探すといった事をするケースがあります。強みを持っていることから逆算して経営理念や社是・社訓を作るといったアプローチです。

しかし、絶対的な強みというものは基本的には存在しません。例えば、地域の老舗企業で非常に高い信用があるといった強みを挙げ、その強みから逆算して高い信用を活かして云々といった経営理念を決めてくといったアプローチは一見するとよさそうな雰囲気があります。

しかし、このアプローチには大きな問題が潜んでいます。

それは、あくまで強みや弱みは相対的なものでしかないという事です。自社では弱みだと思っていたことが、経営理念からすると強みだったといった事もあり得るのです。

そのため、当たり前のことかもしれないのですが最初に何をやりたいのかについて考えていく必要があるのです。

【参考記事】
■パナソニックは13万円の扇風機を販売するにあたって勝算をもっているのか(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/50969617-20170331.html
■翻訳アプリで接客時のデータを収集すれば、接客業で働く人が求められる能力が変わります。
http://okazakikeiei.com/2016/11/01/sekkyaku/
■ウォークマンの最上位モデルをあえて30万円といった高価格で販売するソニーの戦略とは
http://okazakikeiei.com/2016/09/09/sonywalk/
■江崎グリコ「カプリコのあたま」という一見すると奇抜な商品は、手堅く考えられたコンセプトで市場に投入されている。(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49426351-20160831.html
■自動運転技術が確立されたとき、中小企業にとってチャンスが訪れます(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48236024-20160331.html


岡崎よしひろ 中小企業診断士


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