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近年ワイドショーの格好のネタとなっている不倫スキャンダル。最新のネタともいうべき山尾議員の件では、それが最優先すべきニュースなのかと首をかしげるほど、報道が過熱しているようだ。

■本稿執筆にあたって
個人的には北朝鮮のミサイル対策など、もっと重要な事件について報道では力を入れてほしいと思ってしまう。

ただ、今回は国民の代表である国会議員と、極めて高度な専門性が問われる弁護士との不倫スキャンダルである。一芸能人や私人の不倫とは一線を画するかもしれない。

筆者は「それでも不倫疑惑タレントを「抹殺」してはいけない」という記事で、ベッキーさんの不倫スキャンダルについて、当時者(関係者)間の限定的な問題であり、大多数の無関係者が必要以上に叩く必要はないのではないかと書いた。その考えは現在も変わらないが、働き方や職業倫理の視点から今回のトラブルを論じてみたい。

■国会議員はなぜ不倫をしてはいけないのか
国会議員の不倫はなぜ問題となるのか。

答えは簡単で、「国会議員は国民の代表」だからというのが妥当な回答だろう。職務上、有権者に範を示す立場の人間が、不貞行為を働くには倫理的によろしくない、というのが一つの正論と言える。

そもそも選挙の際は不倫の事実は隠されているわけで、仮に不倫行為を明らかにしたうえで選挙戦に多くの票を失い、当選は極めて難しくなる。つまり国会議員の不倫は職業倫理上有権者を欺いているともいえるのではないだろうか。

■弁護士はなぜ不倫をしてはいけないのか
不倫相手とされる弁護士の立場ではどうだろうか。一部の報道によれば、当該弁護士は山尾議員の離婚の担当であったともされており、それが事実だとすれば、ビジネス上の関係と恋愛関係の二重関係にあったということになる。

このような二重関係については筆者のようなカウンセラーを職務とする人間が最も避けるべき関係性であるとされている。カウンセラー(相談される側)とクライアント(相談する側)以外の関係、特に恋愛関係を持つことは、職業倫理上好ましくない。

参考までに、(一社)産業カウンセラー協会が定めた倫理綱領では、「クライアントの利益が損なわれる可能性を考慮し、クライアントとの間で、家族的、社交的、金銭的などの個人的関係およびビジネス的関係などの二重関係を避けるよう努める」「産業カウンセラーはクライアントとの間で性的親密性を持たないよう努める。もしそのような可能性が生じた場合は、カウンセリングを中止するか、他のカウンセラーに依頼する」とされている。

分かりやすく述べれば、カウンセラーがマインドコントロールをしてクライアントを支配したとか、カウンセリング関係を背景にクライアントに不利益な取引を強要した、などと非難されかねない行為は慎みましょうね、ということだ。一人でもこうした行動をとってしまえば、業界全体の社会的信頼性が損なわれてしまう。

■我々も留意すべき「二重関係」
こうした二重関係は一般的な職場でも留意すべきだ。例えば上司と部下が恋愛関係にある場合、評価者としての立場と彼氏・彼女の立場の二重関係となり、事情を知る周囲の部下が、「人事評価に手心を加えているのではないか」「人事考課上、えこひいきをするのではないか」等と考えるのはごく自然なことだろう。

これが自由恋愛であれば問題は無いが、「不適切な」二重関係は自ずと明らかとなり、周囲に知れ渡ることとなる。知らぬは当人ばかりのみ、という光景はどこの職場でも見られるのではないだろうか。

職務上機密情報を扱う部署や、高度な倫理観が問われる部署に所属する場合も同様だ。企業等のコンプライアンスに非常に厳しい昨今、たとえプライベートに関わる行為であっても、問題行動が職務上の信頼を失うことにつながりかねない。

■おわりに
本件は国民のリーダーである国会議員と、高い倫理観が求められる専門職たる弁護士間の不倫は、極めてリスキーであると言える。報道が過熱するのも致し方ないようにも思える。

しかしながら、有権者は選挙権を行使してできる。信用が第一である弁護士という仕事上、既にビジネス上で多大な影響を受けている可能性も高い。いわゆる社会的制裁という状況だ。

そういった意味では、これ以上のバッシングは興味本位という面を除けばほとんど意味をなさない。よっぽど暇な人は好きにすれば良いが、過度な人格攻撃にかける労力や時間は、何かしらの生産的な行為に向けるべきであると筆者は考えている。

【参考記事】
■それでも不倫疑惑タレントを「抹殺」してはいけない。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://goto-kazuya.blog.jp/archives/19939713.html
■人格を否定する研修が絶対に否定されるべき理由。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://goto-kazuya.blog.jp/archives/24386907.html
■「就活に有利な資格ってありますか?」と問われたら。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/50823928-20170310.html
■キャリアコンサルタントが自身のキャリアを描けない、という笑えない話。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/49875267-20161028.html

後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント

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