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皆さんの中にこのような保険に入っている人はいらっしゃいますか?
1.「保険料を負担する契約者が父で、子供が保険を受ける人、保険金の受取人も子供」
2.「契約者が子供で、実際は親が保険を負担し、子供が保険を受ける人、保険金の受取人も子供」

■実際の金銭負担者は一体誰?
親が子供の名義の預金口座を作って、実際通帳を管理しているのは親という、いわゆる「名義預金」はよくあります。「コツコツと貯めてきたお金は死んでも国に持っていかれたくない!」誰もが考えることなのかもしれません。ただし、世の中そんなに甘くはありません。税務署はすべての金融機関を職務権限で調べることができるため、預金の流れは筒抜けです。

税務署はこれまでは特に、このような名義預金に目を光らせてきました。
 
■今、税務署は「名義保険」の存在の有無に目を光らせている
最近、その名義預金と同じく厳しく調べているといわれているのが、いわゆる「名義保険」です。契約者の名義が子供であるのにもかかわらず、親が生前、保険料を実質的に負担しているといった、冒頭1,2の保険契約がこれに該当します。

もし、契約者が父で、被保険者も父、子供が受取人だったら、父の死で保険金を手にするとき、このお金は相続財産だとわかるでしょう。しかし、冒頭のケースでは、保険を受ける人が死亡したわけではないため、父親が亡くなっても保険金は下りません。ただし、税務署はこのような保険契約には、生前に父親が払い込んだ保険料分の財産価値があって、子供へ引き継がれた財産だとみなし、解約をしたときに戻ってくる金額相当を子供が相続したということになってしまうのです。

■油断禁物!相続税調査
申告が適正かどうかを精査するのが税務申告です。相続税は平成27年1月1日以降に亡くなった人から、税金のかからない基礎控除額が5000万円から3000万円にグッと低くなり、以前よりも身近な存在になってきました。

平成28年11月と12月に国税庁の公表された「平成27年事務年度における相続税の調査の状況について」及び「平成27年度分の相続税の申告状況について」によると申告書を提出した死亡した人(被相続人)の数が、103,043人であるのに対し、実地調査件数は11,935件です。これは10人に1人か2人の確率で相続税の調査が入るという計算になります。

また申告漏れを指摘された件数は、9,761件で、調査が入った81.8%が間違いを指摘されています。ということは税務調査に入られたら、ほどんど追加で税金をとられてしまうことになります。また指摘事項のトップが保険金を含む「その他の財産」で1071億円(36.3%)です。税務調査では、現預金も申告漏れが非常に多いですが、保険は「誰がお金を払っているのか」が分かりにくい金融資産の1つです。また、契約の形態や仕組みが年々複雑になっているため、それを利用して税金を逃れようとする人も多いのではないでしょうか。

相続税が改正されて、申告の数は増えましたが、それを処理する税務署の職員の数は増えることはないので、調査にくる確率も以前(平成26年以前)よりも少なくなっていることは確かです。しかし、「税務署も手が回っていないようだから、ちょっとくらいミスをしても大丈夫」と考えるのはとても危険です。

たとえ悪意がないとしても「名義保険」の指摘を受けることは避けるべきで、そのためには保険に加入するときに誰が負担し、誰がもらうといったことや税金はどんな時にかかってくるのかを理解することが大事になります。うっかりミスであっても、その間違った部分だけを追加で払えばよいという甘いものではありません。

たとえ、悪意がなかったとしても、過少申告加算税というペナルティが本来払うべき税額に加えて追加で15%かかります。さらに、その間違いに悪意があると認定された場合には、最大で40%ものペナルティがかかる可能性もあります。

■この先保険は税務署にもっと筒抜けの情報になる可能性も
平成27年の税制改正によって、保険会社が税務署へ提出する保険契約の情報である支払調書の提出する範囲が変更になりました。平成30年1月1日からは新たに契約者の変更も対象になります。これによって父親が亡くなった時に保険金が下りないケースでも契約者が変わったことが税務署に簡単に分かるようになります。

よく考えたらわかることですが、保険料は生活費でも養育費でもありません。親から子へのまぎれもない贈与になります。税法上は、解約をしたら贈与、死亡したら相続になるとは当然というべきです。

「保険金でお金が入る」という認識だけでなく、保険は場合によってはお金が入らなくても税金の申告もしなければならないことを、十分に認識したうえで加入することをおすすめします。

【参考文献】
■これで補助金詐欺を見抜ける?学校法人のお金のチェックは一体どうやっているのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/51979742-20170831.html
■なぜ「身寄りのない土地」が今増え続けているのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/51795315-20170731.html
■タダで簿記の指導をしてもらえる!税務署の無料記帳指導を知っていますか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/51569189-20170626.html
■世界のシンデレラストーリーは変わった。それは自分の力で起業することである。 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50956238-20170329.html
■年収1000万円超えの会社員は「税金」で貧乏になる。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/50540586-20170129.html

浅野千晴 税理士



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