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2017年10月10日、第48回衆議院議員総選挙が公示されました。衆議院解散が濃厚となった9月中旬頃までは、9月1日に代表選が行われた直後で選挙態勢が整っていない民主党を始めとする野党と自民党、公明党との対立構図でしたが、東京都知事である小池百合子氏が9月25日に希望の党を結成し、さらに民主党前原誠司氏が、民主党公認候補を擁立せず、希望の党からの立候補を指示、それに反発する枝野幸男氏が、立憲民主党を結成するなど、情勢が大きく動いています。

■投票にいかない若者の投票率の推移
このような状況となり注目度の高い衆議院議員選挙ですが、その一方で衆議院銀選挙の投票率の推移をみると、投票率は減少の一途を辿っています。

過去10回の投票率を振り返ってみると、平成26年度の第47回衆議院議員選挙における投票率は52.66%と、最も投票率の高かった平成2年の投票率73.31%と比較して20%以上も減少しています。

「過去10回の衆議院議員選挙投票率の推移」
平成26年 52.66%
平成24年 59.32%
平成21年 69.26%
平成17年 67.51%
平成15年 59.86%
平成12年 62.49%
平成8年  59.65%
平成5年  67.26%
平成2年  73.31%
昭和61年 71.40%
総務省 Webサイトより

こうした投票率の減少には、若者の選挙離れがまことしやかに言われています。そこで、平成26年と平成2年の年代別投票率を比較してみました。

「H26衆議院選挙の年代別投票率」
    H26          H2
20代  32.58%(-25.18)   57.76%
30代  42.09%(-33.88)   75.97%
40代  49.98%(-31.46)   81.44%
50代  60.07%(-24.78)   84.85%
60代  68.28%(-20.93)   87.21%
70代~ 59.46%(-13.75)   73.21%
()内は、H2からの減少率

30代が33.88%減少と最も高く、年代が上がるにつれて減少幅も低くなっていき、70代が13.75%減少と最も低くなっています。20代は、25.18%と30代より減少幅は低いのですが、そもそもの投票率が57.76%と低いことの影響が大きいでしょう。

■人口の差が投票数差に拍車をかけている現状
加えて現在の日本は超高齢社会であり、高齢者の人口比率が非常に高くなっています。総務省統計局発表の人口推計をみてみると、年代別の人口推計は以下のようになっています。

「年代別人口推計」(単位:千人)
20代  11,976(12%)
30代  14,785(14%)
40代  18,623(18%)
50代  15,324(15%)
60代  17,995(17%)
70代~ 24,649(24%)
総務省 統計局 人口推計(平成29年4月1日確定値)
()は20代以上の人口における比率

20代以上の人口のうち、60代以上の割合は41%です。一方で20代と30代をあわせても26%であり、人口の割合には14%もの差があります。さらに今回の選挙の投票率が平成26年の選挙の投票率と同様だと仮定して、年代別の投票数の割合を計算すると以下のようになります。

「年代別人口推計を基にした投票数比率」
20代  7.0%
30代  11.2%
40代  16.7%
50代  16.6%
60代  22.1%
70代~ 26.4%

60代以上の投票数全体に占める割合は48.5%、一方で、20代と30代をあわせた割合は18.2%となり、人口比率よりさらに差が拡大し、30%以上も差が開いています。このような状況は政治家は当然、把握してるはずですから、若者向けの政策を積極的に提言しようという動機付けが低くなることは当然でしょう。

■それでも若者が投票にいくべき理由
では仮に、20代、30代の投票率が100%であり、その他の年代の投票率は変わらないとした場合、この割合がどのように変化するか計算してみると、以下のようになります。

「年代別人口推計を基にした投票数比率」
(20~30代の投票率を100%と仮定)
20代  16.6%
30代  20.5%
40代  12.9%
50代  12.7%
60代  17.0%
70代~ 20.3%

60代以上の投票数全体に占める割合は37.3%、一方で、20代と30代をあわせると37.1%であり、ほぼ同程度の割合となります。さらに今回の選挙では、18歳、19歳の人にも選挙権があります。この二つの年齢の人口が仮にそれぞれ100万人づつであり、投票率も100%だとすると、60代以上の投票数全体に占める割合は36.3%、一方で、18~19歳、および20代と30代をあわせた割合は38.8%となり、投票数に占める割合は逆転することになります。このような逆転がたとえ計算上であるにしても可能である理由は、若い層ほどではないにしても高齢者世代の投票率も下がっているからです。平成2年の選挙の投票率を維持されていたら、逆転は不可能です。

とはいえ現実的には投票率100%実現は、ほぼ不可能ですし、投票率も今回どうなるか予測は不明ですが、上記の結果から、たとえ若い層の人口が高齢者世代より少なくても、投票に行くことで投票数全体に占める割合を無視できない程度に増やせることは分かるかと思います。政治家も、選挙における投票数の割合が大きい年代が抱えている問題を無視できなくなります。

若い層は子供の頃からインターネットが身近にあり、情報発信能力も情報収集能力も高齢者世代よりはるかに長けています。こうした能力をうまく活用して、投票を呼びかけ、さらにどの政治家が自分たちの世代の課題に対し、最も取り組んでくれるかを見極め、実際に投票に行くことが、自分たちの声を政治家に届ける一番の行動でしょう。

《参考記事》
■承認欲求が満たされない社会が原因?なぜ「一流」が書籍や記事で使われるのか?(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49594313-20160920.html
■働き方は「人並みで十分」と考える新入社員に教えたい人並みの給与額(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49126099-20160720.html
■テキストマイニングでわかる!経営理念、企業理念には何が書かれているのか?(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/48670625-20160523.html
■新入社員のうちに覚えておきたい!仮説思考の重要性と重病性(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44386900-20150421.html
■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40838018-20140914.html

村山聡 中小企業診断士


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