ab032ee97cf547c6fa7b7d6525f6aa9e_s

平成30年度税制改正大綱が12月14日公表され、働き方改革を後押しする観点から、個人に課税される所得税が見直しとなりました。

■年収850万円超のサラリーマンは増税、自営業者は減税に
増税の対象になるのは、給料が年間850万円を超える人で、フリーランスや個人事業主にとっては減税になります。

まず、働いている人の誰もが適用される一律の基礎控除が38万円から48万円に引き上げられます。青色申告をしている自営者は、青色申告の特別控除が、サラリーマンの経費となる給与所得控除と同様に65万円から55万円へと10万円下がりますが、電子申告をすると10万円上乗せとなるため、紙から電子申告に切り替えれば減税ということになります。紙で申告する人にペナルティーを与えるという戦略は、ますます電子申告に移行をし、情報を集約化ようとする政府のもくろみもあるのでしょう。

■自営業者数は年々減少している
減税になってますます「お得」と言われかねない自営業者ですが、1985年から2010年の25年間の総務省の国勢調査によると、自営業者の数は885万人から551万人に減少しています。産業別には、「農林漁業」「製造業」「卸売・小売業」といった、伝統的な自営業が減少している一方、技術者、SE、保険外交員などの雇用的自営業者の伸びが大きくなっています。

雇用的自営業者とは1つの企業と専属の契約を結んで働く人のことです。すなわち、契約書を結んで業務委託をしているのですが、近年の自営業者の特徴は、収入を1人(1社)の契約相手に依存している形で、例えば、ソフトウェア開発や保険の代理店運営、宅配業などがあげられるでしょう。雇用形態の違いがあるので、出社や経費の負担にそれぞれ違いがありますが、自分自身で時間とお金のやりくりをすることが求められています。

■新しい働き方の「テレワーク」
テレワークとは「tele=離れたところ」で、「work=働くこと」を合わせた造語です。最近、自宅で会社の仕事をしている人や、カフェや図書室で仕事をしている人を多く見かけるようになりました。カフェにはパソコンの電源があるところも多くあり、長時間滞在OKという場所もたくさんあります。どこでもネット環境さえあれば仕事ができるような便利な世の中になってきています。

テレワークのメリットはやはり通勤時間をゼロにできるということや、自由に使える時間が増えることです。テレワークすることで、空いた時間で子育てや介護に時間が持てるようになるとメリットと感じる人も増えます。在宅であれば、人の目を気にして帰宅することもなくなるでしょう。また、個人個人の時間の節約になるだけでなく、CO2削減にも繋がると社会的にもメリットがあると言われています。

■テレワークは自営業?それともサラリーマン?
以前は、出社時刻までに出勤し、定時まで勤務するという「空間的、時間的な拘束」を受けるものが給料という考え方でした。しかし、今ではお給料をもらっている人の中にもほとんど会社に行かないテレワーク型も存在し、自営業とサラリーマンとの線引きがかなり難しくなってきています。

実際、同じような実態のテレワーカーでも、雇用契約があるのか請負契約かによって計算が違い税額も変わってくることがあります。サラリーマンであれば、収入に応じて一定の経費を引くという計算で税金を計算しますが、自営業者は収入から領収証といった支払いの根拠のある経費を差引して税金を計算することになるからです。

同じ収入で同じ実態なら税金は同じにすべきなのですが、こういった区分が曖昧なため、以前のような分かりやすい自営業とは異なり、税金を取る側の税務署と、とられる側の企業側での雇用の考え方の違いが多くなります。今回の増税は、サラリーマンの経費と呼ばれる部分の調整になっているため、給与として収入がある人だけが不利になり、「サラリーマンだけがなぜ増税の標的に?」と不公平感が出てくるのではないでしょうか?

■政府も推進するテレワークという働き方
2012年ロンドン五輪の開催時に交通混雑によってロンドン市内の移動に支障が生じるとの予測から、市内の企業の約8割がテレワークを導入しました。こうしたロンドンの成功事例にならい、2020年7月24日東京大会開会式に向けた働き方改革の運動を展開することになっています。

自営業は経費に何でも入れられるから、税金を操作しやすいと言われがちですが、実際は仕事に関連のあるもの以外は経費として認められません。

これから一層広がりを見せる個々に合った働き方を見つけることで、自営業という選択肢を考えてみるのも1つの手なのかもしれません。

【参考文献】
■来年からの配偶者控除改正。パート労働者の扶養控除が変わっても労働調整はなくならない。 (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/52507713-20171125.html
■保育料がタダになったらもう一人子供を産みますか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/52351940-20171031.html
■契約者と保険負担者が別の「名義保険」に税務署は目を光らせている。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/52137631-20170925.html
■これで補助金詐欺を見抜ける?学校法人のお金のチェックは一体どうやっているのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/51979742-20170831.html
■なぜ「身寄りのない土地」が今増え続けているのか (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/51795315-20170731.html

浅野千晴 税理士



この執筆者の記事一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加




関連コンテンツ

シェアーズカフェからのお知らせ
シェアーズカフェでは住宅・保険・投資・家計管理など、個人のお金に関するレッスン・相談・アドバイスを提供しています。SCOL編集長でFPの中嶋が直接指導します。
シェアーズカフェ・オンライン編集長の中嶋が士業・企業・専門家向けの執筆指導・ウェブコンサルティングを提供します。




執筆者プロフィール