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昨年11月下旬から爆上げした仮想通貨。スマホで手軽に売買できることから多くの方が利益を享受したのではないでしょうか。特に少額の購入にもかかわらず資産総額が億になった「億り人」は誰もがうらやむ存在です。そこで、年末調整組のサラリーマンや学生向けに限定した内容で自分で行う確定申告をオススメしたいと思います。

■確定申告の義務について
まず、確定申告義務の有無の確認です。一般的なサラリーマンやアルバイト学生の場合、1か所から給与をもらい、その給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、医療費控除や初年度の住宅ローン控除を受けるために確定申告を行いたい場合は、20万円以下の所得も一緒に確定申告の対象となります。

「所得20万円とかわからないし・・・」という方も多いはずです。そういう場合は、所得の前に収入を先に理解しておく必要があります。収入とは仮想通貨の売却額のことです。もし、昨年1年間の売却額の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。これ以上読み進める必要はありません。

仮想通貨の所得とは、売却額から取得額を差し引いた金額です。例えばビットコイン(以下、BTCと略します。)の売買を行った場合、所得は次のように計算します。
(1)購入額を1BTCに換算する
(2)(1)に売却したBTC量を掛け算する
(3)売却額から(2)を引き算する
下記は、40万円が仮想通貨の所得となり確定申告が必要となるケースです。

(例)50万円で0.5BTCを購入(レート:100万円=1BTC)
   80万円で0.4BTCを売却(レート:200万円=1BTC)

(1)50万円 ÷ 0.5BTC
(2)(1)× 0.4BTC
(3)80万円 -(2)=40万円

■2回以上購入して売却した場合の購入額の計算方法
手軽に売買できることから購入や売却を繰り返している方もいらっしゃると思います。その場合は、1BTC当たりの取得額を上記のように単純には計算できません。国税庁は、売却時の取得額の計算は「移動平均法」または「総平均法」と決めました。そのため、仮想通貨取引で利用しているサイトの取引履歴を参考に自分自身で売りと買いの金額と量を記録する必要があります。(将来的には取引報告書が発行されるとは思います。)

下記の取引例を元に移動平均法と総平均法を使って所得を計算してみます。
第40弾の図

(移動平均法)
次のように1BTC換算を行って所得を計算します。

・7月1日の1BTC売却の計算
(1)1BTC換算
  (8万円+10万円+12万円)÷ 3BTC=10万円
(2)売却したBTCの購入額
   10万円 × 1BTC = 10万円
(3)所得の計算
   28万円 - (2) = 18万円

・12月19日の1BTC売却の計算
(1)1BTC換算
  (20万円+30万円+45万円)÷(3BTC-1BTC+2BTC)=237,500円
(2)売却したBTCの購入額
237,500円 × 2BTC = 475,000円
(3)所得の計算
  400万円 - (2) = 3,525,000円

・仮想通貨の所得合計の計算
  180,000円+3,525,000円=3,705,000円
※平成30年に繰り越される手元のBTC残高は、237,500円 × 2BTC = 475,000円

(総平均法)
次のように1BTC換算を行って所得を計算します。
(1)1BTC換算
(8万円+10万円+12万円+30万円+45万円)÷ 5BTC = 210,000円
(2)売却したBTCの購入額
21万円 × 3BTC=630,000円
(3)所得の計算
(28万円+400万円)- (2) = 3,650,000円
※平成30年に繰り越される手元のBTC残高は、210,000円 × 2BTC = 420,000円

お気づきかと思いますが、移動平均法と総平均法とでは単年度で計算した場合、所得に差が出ます。もちろん、通年で計算した場合の所得は同額となります。それでも税金は単年度計算です。確定申告に有利になるように計算方法を選択すべきです。初年度に1度選択した方法は、継続して使用するルールとなっていますのでご注意ください。

■仮想通貨取引は雑所得となり総合課税される
雑所得は、所得の名称です。給与は給与所得、不動産の貸付は不動産所得、株式の配当は配当所得というように名前が決められていますが、仮想通貨は雑所得に分類されました。しかし、この雑所得の中でも総合課税という税金を計算する上では不利な扱いとなっています。

総合課税は、所得税率が右肩上がりの階段のように設定されていて、所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていく仕組みです。これに対して、上場株式の配当所得や同じ雑所得であるFX取引は税率15%と一定率とされています。仮想通貨取引で4千万円を超える利益を確定させた場合は、最高で45%の所得税率がかかることもあるので、喜んでばかりいず納税資金として半分程度はお金を使わずに残しておく必要があります。所得税以外にも個人住民税があります。個人住民税率は10%です。所得税と合わせて儲けの55%は税金としてなくなってしまいます。

■節税は可能?
せっかく儲けたのに血も涙もないひどい国だと思っても無申告は脱税となってしまいます。とはいえ、何か節税策はないかと頭を駆け巡らせてみましたが、現状では利益確定時期を調整するのが関の山かもしれません。例えば、所得税率が23%まで寛容できるのであれば年間の確定利益を500万円くらいに留めてそれ以上の売却を翌年に繰り越すという方法です。

また、仮想通貨取引を事業として行う法人設立も今のところ有効策だと思います。法人税率は23.4%です。しかし、事業税や住民税を入れると合計で30%以上になります。所得税の最高税率よりはまだましです。ただし、後から不利な政策が出てくる覚悟はしておく必要があります。例えば、外国為替のように時価評価が適用された場合、利益が確定(つまり売却)していなくても時価で強制評価されてしまい、取得額と時価との差を利益とみなして法人税課税という可能性もあります。

■確定申告にはE-taxを利用しよう
仮想通貨の取引は、所得が計算できれば、あとは簡単です。確定申告は国税庁の無料ソフトE-taxを使いましょう。自宅のパソコンで利用できます。作成した申告書は、プリンターで印刷して提出することができます。また、2月に入ると税務署内や特設会場に設置されたパソコンでE-taxを使って申告できます。会場にもよりますが日曜日に開場する場合もありますので最寄りの税務署のホームページをご覧ください。一人で作成するのは不安だと思う方は、税務署職員に質問して確認しながら確定申告するのも良いと思います。

確定申告をする場合は、会社から発行された源泉徴収票、自分で計算したメモ(仮想通貨ごとの売却額合計、売却額から引いた取得価額合計、計算後の所得額)、マイナンバーカード(または通知カードと身分証明書)、印鑑が必要です。申告が終わったら、申告書の控えと仮想通貨の所得計算に使った一連の記録は捨てずにクリップで留めて保管してください。

■これで完璧!E-taxソフトの具体的な操作方法
ここまで読んで、よしやってみようという方は、次の通りに進めると申告書が完成します。
(1)E-taxのサイトを開く
(2)「申告・申請の個人で電子申告をするには」をクリック
(3)「確定申告書を作成する」をクリック
(4)「申告書・決算書収支内訳書等作成開始」をクリック
(5)「書面提出」をクリック
(6)「下記のチェック項目については、すべて確認済みです」にチェック」
(7)「ページ右下にある事前準備終了」をクリック
(8)「所得税コーナーへ」をクリック
(9)「左記以外の所得のある方(すべての所得対応)の作成開始」をクリック
(10)「確定申告書等を印刷して税務署に提出する」をクリック
(11)「申告される方の生年月日」を入力して、右下の入力終了(次へ)をクリック
(12)「給与所得」をクリック
(13)手元の源泉徴収票を見ながら、①から⑦を転記入力する。終ったら右下の「入力終了(次へ)」 をクリック。源泉徴収票で未記載の欄は入力不要。
(14) 手元の源泉徴収票を見ながら、⑧から⑭を転記入力する。終ったら右下の「入力終了(次へ)」 をクリック。源泉徴収票で未記載の欄は入力不要。
(15) 手元の源泉徴収票を見ながら、⑮から⑯を転記入力する。源泉徴収票で未記載の欄は入力不要。 まったく入力しない場合は、「いずれも記載がない」というボックスをチェックして、右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(16) 手元の源泉徴収票を見ながら、⑰から㉓を転記入力する。終ったら右下の「入力終了(次へ)」 をクリック。
(17)入力内容に相違ない場合は、右下の「次へ」をクリック
(18)サイト上段の総合課税の所得の中から、「雑所得? その他」を見つけて、そのすぐ右にある「入力する」をクリック
(19)「上記以外(報酬等)」のすぐ右にある「入力する」をクリック
(20)種目・名称・場所・収入金額(仮想通貨の売却額総額)・必要経費(仮想通貨の取得額総額)を 入力する。入力は取引所や交換所ごとの入力となります。通貨ごとではありません。終ったら右下の「入力終了(次へ)」をクリック。
第40弾その2

(21) 入力内容に相違ない場合は、 右下の「入力終了(次へ)」をクリック。
(22)サイト右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(23)サイト右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(24)サイト右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(25)納付金額を確認の上、サイト右下の「次へ」をクリック
(26)サイトからのメッセージで「OK」をクリック
(27)サイト右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(28)氏名(漢字)・氏名(カナ)・性別・電話番号・職業・世帯主氏名・続柄を記入してサイト右下 の「入力終了(次へ)」をクリック
(29)郵便番号・住所・提出年月日を入力し、平成30年1月1日の住所欄の上記の住所と同じをチェック して、サイト右下の「入力終了(次へ)」をクリック
(30)納税の仕方を確認したら、サイト右下の「次へ」をクリック
(31)マイナンバーを入力し、サイト右下の「申告書等作成終了 次へ」をクリック
(32)印刷の手順に従って、「帳票表示・印刷」をクリック
(33)印刷した申告書の「第一表」の氏名欄に認印で捺印する
(34)確定申告書と一緒に印刷された「提出書類等のご案内(この紙は提出不要です)」を見て、希望する提出方法と納付方法を確認する。
(35)期限までに確定申告書を提出し、所得税と納付する

以上で完了です。申告書の作成にかかる時間は約30分です。今年はぜひ自分で確定申告を行い、納税感を感じてみませんか?

【参考記事】
■一億総活躍前に一億総増税?(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/52622408-20171215.html
■来年からの配偶者控除改正。パート労働者の扶養控除が変わっても労働調整はなくならない。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/52507713-20171125.html
■保育料がタダになったら子供をもう一人産みますか? (浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/52351940-20171031.html
■【社説】安倍総理による賃金3%アップの要請は高齢者優遇が目的である。(中嶋よしふみ FP・SCOL編集長)
http://sharescafe.net/52329382-20171027.html
■1割負担の介護保険がいつの間にか3割負担に? 急速に悪化する制度変更の流れを読み解く。(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/51255252-20170510.html

藤尾智之 税理士・介護福祉経営士


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