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企業や商品が紹介されるテレビ番組では、企業の広報担当が登場することが多い。“広報”というとテレビ取材を受けるような特色のある企業や、美人広報で話題を集めたIT企業ばかりが思い出されるかもしれない。おそらく地方の中小企業には馴染みが薄く、必要無いという印象だろう。

筆者の経営する会社の一つは、10名程度の規模でありながら広報活動に力を入れ、毎週のようにTVやラジオ、ビジネス誌など頻繁に露出している。その経験から、中小企業こそ広報活動に取り組むべきと考える。その理由と活用について述べたい。

■広報の仕事とは
そもそも広報とは何か。広辞苑では「企業などが事業内容などを一般に広く知らせ、理解を求めること」(※抜粋)とされている。

自社の商品が雑誌や新聞の記事になったり、テレビで放送されたりして多くの消費者の目に止まることはパブリシティとも呼ばれる。

広報は宣伝広告と混同されやすいが、この二つは異なる。最大の違いは費用をかけるか否かだ。費用を払っての掲載や放送は広報でなく広告である。

広報の効果は大きく、地方の中小企業ではテレビの県内番組で商品を取り上げてもらっただけで問い合わせが急増することもある。費用をかけた広告よりも反響が多いこともあるが、これは広報の中立性が消費者の信頼を得るからである。

そのため企業は積極的に広報活動をすべきなのだが、ほとんどの中小企業は費用をかけた宣伝広告のみを行う。そもそも社内に広報担当者がいないので活動そのものを行っていない。

■広報活動はシンプル
どうすれば地方の中小企業に取材が来てくれて、記事や番組に取り上げてもらえるのかを考えてみたい。

その答えは簡単で、新聞社やTV局などに自社の特色が記事になるような働きかけを行うだけだ。この点は極めて営業活動に近く、中小企業の経営者は自分自身がトップセールスであることが多いので抵抗はないと思う。

例えば新聞社なら県庁の記者クラブなどにリリースを投函する場所があるし、TV局などはディレクターに売り込めばいいし、SNSがある現代では個人に連絡をとるのも容易だ。また地方なりのビジネスイベントやコンテストがあるので、それらへの応募も有効だ。

そこで問題になるのは取材してもらうような会社の特色をどう打ち出していくかである。

広告であれば自社の伝えたいことだけをシンプルにPRできるが、広報はそうはいかない。ベタな商品の売り込みは記事にならなず、はっきりと顧客を誘引するような記事や番組を作ってくれることはない。広報の場合は、企業ではなくメディア側に主体があるため、対象になるのは視聴者が知りたがっている内容である。

■地方での広報活動例
自社の特色を打ち出すには様々な方法がある。商品や事業内容に特色があればもちろんいいが、労務環境や福利厚生でも構わない。特に話題になりやすいのは女性活躍の推進や働き方改革に関連するものだろう。

筆者の経営する会社でも広報担当を据えて自社のビジネスモデル、福利厚生、働き方提案など様々なアプローチで広報活動を行っている。おかげでほぼ毎週のように取材があり、新聞記事は地方紙から全国紙まで載るし、TVラジオは地方局の番組に、そして地方のビジネス雑誌掲載やビジネスイベントへの登壇など、頻繁に露出している。

ちなみに筆者が広報担当を据えているのはまだ創業4年の会社で、社員とパート合わせて10名程度の零細企業である。歴史も浅いし小さいが、これまでの広報実績を見てきた限りでは十分に取材対象になるようだ。

■広報を収益につなげるには
このように書くと「広報がどう収益につながるのか?」と突っ込まれそうだが、それは経営者の仕事であろう。むしろ中小企業においてそこは経営者にしかできない。

重要なことは、先に述べたように広報記事はメディア側が主体で作られているため中立で信頼されやすいという点である。自社作成の商品パンフレットに新聞記事が添えられていれば信頼性は増し、TVで放送された内容は客観的な事実として会社のアピールにもなる。

既存事業でもそれらの効果は十分に見込めるが、新しいサービスを取り扱う際にはさらに有効である。飛び込み営業では話すら聞いてもらえないところをTV番組や新聞記事ならしっかり伝わり、大反響につながったりする。

広告費を十分に使えてそれに見合う効果が見込める大企業であれば、高額の広告費をもって自社のブランディングをしていくことも可能だろうが、中小企業はそうもいかない。しかし広報活動がうまくハマれば、広告費をかけるよりもはるかに大きな結果につなげられる可能性がある。

広報活動は何も大企業だけのものではない。中小企業経営者こそ広報を見直してみてはどうだろうか。

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玉木潤一郎 経営者 株式会社SweetsInvestment 代表取締役

【プロフィール】
建築、小売店、飲食業、介護施設、不動産など異業種で4社の代表取締役を兼任。
一般社団法人起業家育成協会を発足し、若手経営者を対象に事業多角化研究会を主宰する。起業から収益化までの実践と、地方の中小企業の再生・事業多角化の実践をテーマに、地方自治体や各種団体からの依頼でセミナー・コンサルティングの実績多数。

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