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この4月から新社会人としてスタートを切った方々は、期待と不安を胸に、新たな一歩を踏み出していることと思います。

どのような業種や職種に就職したかによって、身に付けるべきスキルは様々でしょう。しかし業種や職種に関わらず、必ず身に付けておいたほうが良い基礎的なビジネススキルがあります。

本稿ではそういったビジネススキルの中から厳選して、筆者が特に重要と考える5つのスキルを紹介します。これらを身に付ければ上司や先輩に評価され、同期の中でも頭1つ抜きんでることができるでしょう。

■1.電話・来客対応
落ち着いて電話や来客の対応ができるだけで、上司や先輩からの印象はとても良くなります。新入社員がたどたどしく電話に出るのは4月のオフィスの風物詩かもしれません。ただ、そんな中で堂々と電話対応や来客対応ができると「お、あの新入社員はしっかりしているな」という印象を与えることができます。

堂々と電話や来客対応をできるようになるためには次の3つのことを心がけてください。

第1は話すこと自体の訓練です。家族や友人に付き合ってもらって電話を受ける練習をしたり、大きく苦手意識がある場合は自己投資として接遇研修を受けたりするのも良いでしょう。

第2は自社の組織図や社内の人の名前をいち早く覚えることです。突然の電話や来客であっても、どの部署の誰宛か頭の中でイメージできれば落ち着いて対応することができます。

第3は自社の社史、商品、ビジネスモデルなどをしっかりと勉強することです。新入社員研修などでも一通りは教わるかもしれませんが、ホームページやカタログにしっかり目を通したり上司や先輩の話をよく聞いたりして、深く理解するよう努めてください。上司や先輩宛の電話をとって伝言を頼まれる場合でも、固有名詞などがチンプンカンプンな場合と、理解しながら相手の話を聞けるのとでは、伝わりやすさが全く違います。

■2.名刺の整理術
社会人になると少なからずの人と会い、名刺を交換します。貰った名刺を名刺入れに入れっぱなしにするのは論外ですが、無造作に名刺ファイルに挟んでいるだけでは誰が誰だか分からなくなってしまい検索性もありません。

上司から「こないだ一緒に訪問した○○様のメールアドレスを教えてくれないかね」と言われたときにサッと回答ができる方が好印象です。

名刺の整理は大したことのない話に見えるかもしれませんが新入社員の大事なスキルと心得るべきです。

整理を心がけなければならないのは、名刺に限ったことではありません。ファイルや書類が机の上に山積みになっていたり、パソコンのデスクトップがアイコンだらけになっている人は要注意です。見た目の印象も良くないですし、上司から「あの書類を見せてほしい」と言われたときすぐに対応できるかどうかで印象は真逆のものになります。

■3.パソコンの操作
主に事務系の職種の話になりますが、パソコンの操作が早いか遅いかで仕事の効率に大きな差が生じます。

経理部の仕事であれば、経費のデータを会計ソフトに入力したりエクセルで財務分析の資料を作ったりするでしょう。そのようなとき、キーボードの入力スピードや、ワード・エクセルでショートカット(例:「Ctrl+A」で全範囲を選択)を使えるかといったことで、仕事をこなせるスピードは天と地ほど異なります。

たとえ簿記1級の資格を持っていたとしても、アウトプットが遅ければ、会社では評価されません。資格や専門知識を持っているにも関わらず、パソコン操作が遅いために、その資格や知識に見合った評価を受けられないというのは非常にもったいないことです。

ですからパソコンを使う仕事に従事する新入社員の方は、書店でワードやエクセルの本を買ったり、パソコンスクールに通ったりして、パソコン操作を得意になってください。

パソコンを得意になると、専門知識や実務経験ではかなわない上司や先輩から頼りにされ、職場で一目置かれる存在になれるチャンスもあります。

もう1つ補足すると、メールの文面を作るスピードが遅いのも致命的です。1つのメールを作るのに30分も1時間も時間をかけるべきではありませんし、視野が狭くなってメールを作ること自体を仕事と勘違いしてはいけません。本を読んでビジネスメールの文書の作り方を学ぶとか、メールソフトのテンプレート登録機能を利用して時間短縮を図るなど、素早くメールを処理するスキルを身に付けることが必要です。

■4.メモ力
現在ではメールや社内チャットなどで仕事の指示を受けることも珍しくはなくなりましたが、まだまだ上司や先輩に呼ばれて口頭で仕事の指示を受ける形も多いはずです。

口頭で仕事の指示を受ける際はメモ力が重要です。上司や先輩の指示の要点を漏れなくメモし、上司や先輩が求めている結果をアウトプットしなければなりません。

メモが不十分で後で聞き直したり、勘違いでメモをしてアウトプットが求めていないものになったりしたら、上司や先輩からの信頼は得られません。

先輩や上司の指示を受けるときには、正確に指示の内容をメモするよう努め、もし不明点や理解できない点があれば、その場で聞き直したり、補足説明を求めたりしなければなりません。

ただし上司や先輩も忙しいですから、いくら正確に指示を理解しようとするとはいえ、1から10まで説明を求めたり何度も聞き返せば「もう、あいつには仕事を頼まないようにしよう」「あいつに頼むよりは自分でやったほうが早い」ということになり、仕事ができない人のレッテルを貼られてしまいます。

そうならないためには上司や先輩に負担をかけず、かつ、正しく指示の内容を理解するという「メモ力」が必要になります。

メモ力を身に付けるためには、まずは前述の通り自社の商品やビジネスモデルなどをよく知ることです。背景となる予備知識があるかないかで、上司や先輩の指示の理解度は大きく異なります。

次にメモを取るスキル自体についてですが、どうすれば話の中から要点を抜き出してメモすることができるのか、というノウハウを説いたビジネス書がたくさん出ています。何冊か手に取ってみて、自分のスタイルに合いそうなメモのノウハウを吸収してください。

「自社の商品やビジネスモデルの理解」と「メモ術のノウハウ」、これらを頭の中に入れたら、あとは慣れですので実践あるのみです。

■5.財務・法務・税務等の基礎
筆者は「簿記」「ビジネス実務法務検定」「FP(ファイナンシャルプランナー)」を「ビジネスマンの3種の神器」とも言うべき資格と考えています。

まずは簿記です。簿記が分かれば企業活動の生命線である「お金」の流れが分かります。

「顧客に請求書を出す」「仕入れをする」「社員に給料を支払う」「設備投資をする」といった、1つ1つの企業活動が会社の財務にどのような影響を与えるのか、そして「黒字倒産」「無借金経営」といった言葉の意味も理解できるようになります。

特に大企業では細分化された仕事が与えられることも多いのですが、簿記を学んでお金の流れが分かれば、自分が行っている日々の業務が会社全体にどのような影響を与えているのかイメージを持つことができます。仕事のモチベーションにつながるとともに、視野が広がって日々の仕事の質も向上するでしょう。

次に「ビジネス実務法務検定」です。「コンプライアンス」という言葉に代表されるよう、企業経営は法律を守って行わなければなりません。ビジネス実務法務検定の勉強をすると、契約関係などを定めた民法、会社の運営ルールを定めた商法、会社が社員に対して守るべきルールを定めた労働基準法など、企業経営に関わる法律を一通り学ぶことができます。

法律の知識が必要なのは法務部員だけではありません。営業部であれば契約に携わりますし、総務部であれば株主総会の運営や労働トラブルにも関与するでしょう。どのような部署に所属していても、法律の知識が求められる場面は発生します。

最後に「FP」です。FPの勉強では、ライフプラニング、リスクと保険、金融、税金、不動産、相続といったお金に関する幅広い知識を、良い意味で「広く浅く」学びます。簿記は日々の仕訳や財務諸表の作成など、企業の心臓部のお金の流れを深く掘り下げますが、逆にFPでは世の中もお金に関する知識を全方位的に学ぶということになります。

企業活動の中でも、リスク回避のために保険に入ったり、法人税や事業税などを支払ったり、オフィスを構えるための不動産を賃借したりします。FPの知識があれば、こういった企業活動のあらゆる場面で行われていることが、自分の頭の中で可視化されます。いざ自分が関連する仕事を任されたときにも、予備知識があるのでスムーズに動くことができるでしょう。

また、ライフプラニングや相続のように、日々の仕事とは直接関係のない領域も一部混じりますが、私生活で役に立つ知識ですから身に付けておいて損はありません。社会人になると生命保険加入や投資信託、不動産投資などの勧誘を受けることもありますが、投資に失敗して心の平穏が乱されると仕事にも身が入らなくなってしまいます。自分の私生活を守り安定したメンタルを保つ意味でもFPの知識は役立ちます。

なお、簿記、ビジネス実務法務検定、FPともに、1級~3級まで級ごとの試験になっています。1級まで合格するのはハードですが、少なくとも3級を取ることができれば、最低限の基礎的な知識は身に付き、仕事の視野が広がることは間違いありません。

■まとめ
新入社員はスタートダッシュが肝心です。上司や先輩に良い印象を持ってもらえば、仕事もやりやすくなりますし、重要な仕事を与えられるチャンスにもつながります。

仕事は専門知識だけで、それが成果に結びつくものではありません。基本的なビジネススキルを軽視せず、まずはビジネスマンとしての基礎体力をつけてほしいと思います。

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榊裕葵 ポライト社会保険労務士法人 マネージング・パートナー 特定社会保険労務士・CFP

【プロフィール】
上場企業の経営企画室等に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立。勤務時代の経験も生かしながら、経営分析に強い社労士として顧問先の支援や執筆活動に従事。近年はHRテック普及支援にも注力。

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