0401_玉木潤一郎

私は地方で4社の代表取締役を務めている。どれも中小零細企業であるため社長とはいえ暇ではない。

そのため日々多忙ではあるのだが、シェアーズカフェ・オンライン(以下SCOL)というウェブメディアでの書き手として登用を継続してもらうために、最低でも毎月1本以上の記事を執筆している。

文章が好きで何か書いてみたいが、特に専門性はないし仕事が忙しいし、という方のために憚りながら継続して書くための拙策をお伝えしたい。

■執筆に割く時間がない?
私が書く記事の長さはまちまちであるが、執筆に一時間以上のまとまった時間を割いたことはない。

SCOLの書き手には専門家が多い。専門家は執筆が仕事の一部でもあるので、そこに時間と労力を投入することは当然である。

しかし私の場合は執筆活動と業務そのものとは直接の関係がない。そのため多くのビジネスマンと同様に仕事が優先し、執筆はどうしても隙間時間の活用がポイントになる。

■思いつきを形にしていく作業
書きたいことを思いついた場合、「(1)そのプロットを整理する作業」と「(2)それを文章として仕上げる作業」とは、構造的にまったく別ものである。

そして(1)の作業は隙間時間にこそ向いていると感じている。

例えば先のイチロー選手の引退に関して記事を書きたいと思ったとしよう。メインテーマをどこに置き、結論として何を書きたいのかなどを思いつくのは、パソコンの前にいる時とは限らない。

それは仕事中だったり、酒場だったり、深夜の自宅でテレビの前だったり、街を歩いている時だったりする。

私の場合は、それらをGmailの下書きに羅列しておく。歩いている時などはスマホのメモに書いておく。思いつくままに箇条書きになっているケースが多いが、その段階ではとにかく速度と量が優先で、そこに内容と質は問わない。

この段階を私はベース(基礎)と位置付けている。

イチロー選手の引退会見で何を感じたか、これまでのイチロー選手の言動とどう結びついて納得したか、そこからどんな記事を書いていきたいか、自分の興味が新鮮なうちにできるだけ多くの材料を放り込むのだ。

■材料をもとに下書きしていく作業
多くの材料が放り込まれたベースを整理するのは、少し頭が冷えてからの方が良い。

自分が放り込んだ材料の中で、何が使えてどういう順序で何を伝えたいかを冷静に整理するのは、イチロー選手の引退会見で感動したままの状態で行うと自分本位なものになりやすい。

整理しながらつなげていくことで、作業は前述の(1)から(2)へ移行していく。そうして何となく文章化してきたものを私はドラフト(下書き)と位置付けている。

この作業もGmailの下書きを使っているので、タブレットやスマホなどを用いて隙間時間に行う。正直に告白すると、記事の下書きはほとんどが通院中のクリニックの待合時間にスマホで書きあがっている。

■文章を整えていく作業
下書きまでできたものを最終的に文章に整える作業は、できればキーボードと大きめの画面を使った方が楽だ。

ここでは構成を俯瞰して捉えるために視覚的なアプローチが必須で、そのためにもスマホの画面ではやや不便だと感じている。

とはいえ多忙なビジネスマンがオフィスの自分のデスクでそんな悠長なことをしている時間はなかろう。私の場合もタブレットにキーボードパッドを接続して、自宅やカフェなどのこれまた隙間時間に行う。

文章が好きな者にとってはこの作業がやはりもっとも楽しいだろう。文章のつながりや流れ、句読点の調整を行って、読者が読みやすくなるように整えていく。

■自分だけではできない作業
そうしてようやく入稿する記事ではあるが、編集段階で夥しい数の校正が入る。しかしこの校正を経て、やはり自分が書いた文章には一定のクセがあり、自分本位の流れや説明の重複があることに少しずつ気づいていく。これは自分一人ではできない工程である。

文章を書くのは好きだが忙しくて執筆活動から遠ざかっているというビジネスマンも、せっかくの文章力を錆びつかせないために執筆活動に挑戦してみてはどうだろうか。

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玉木潤一郎 経営者 株式会社SweetsInvestment 代表取締役

【プロフィール】
建築、小売店、飲食業、介護施設、不動産など異業種で4社の代表取締役を兼任。
一般社団法人起業家育成協会を発足し、若手経営者を対象に事業多角化研究会を主宰する。起業から収益化までの実践と、地方の中小企業の再生・事業多角化の実践をテーマに、地方自治体や各種団体からの依頼でセミナー・コンサルティングの実績多数。

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