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人口減少社会を迎え、クリニックの経営においても取り巻く環境は厳しさを増している。私たちはインターネット上で様々な商品やサービスを選んでいるが、病院選びにおいても例外ではない。

クリニック激戦区で、新規患者1日100人超が集まるクリニックを経営している新宿駅前クリニック院長の蓮池林太郎氏。これからの時代、開業医もインターネットから逃れることはできないという。

ネット検索の時代に患者から選ばれるために、開業医がするべきこととは何なのか。 グーグル検索で上位表示されることが特に重要だと話す蓮池氏に、その理由を聞いた。

※『競合と差がつく クリニックの経営戦略ーGoogleを活用した集患メソッド』(蓮池林太郎著 日本医療企画 2021)から一部を抜粋・再構成しお届けします。


■開業医はネット集患から逃れることができない
「私はネットに疎いから……」と勉強するのを敬遠する開業医の先生もいますが、これからの情報社会で開業医を続けていくためには、ネット集患から逃れることはできません。今後、スマホでクリニックを探す人の割合はますます増えていきます。クリニックを取り巻く環境はより厳しくなっていくと予想されています。

地方など医師が少なく競争が激しくない地域であれば、「ホームページがない」「ホームページがあったとしてもまったく力を入れていない」といったクリニックでも繁盛しているケースがあるかもしれません。
しかし、開業志望の医師は、開業候補地にある競合のホームページを必ずチェックしています。将来的に競合クリニックができやすい状態を放置している危険な状態ともいえます。

私は開業医の先生から「ホームページの制作会社はどこがいいですか?」「ネット業者からMEO(Map Engine Optimization:マップエンジン最適化)に関するサービスをすすめられているけど、やったほうがいいですか?」「有料の病院検索サイトには登録したほうがいいですか?」といった相談をたびたび受けます。おそらく、良し悪しを判断する知識がなく、ご相談いただくのでしょう。

ネット集患についての基礎知識を身につけ、「どのような施策をすればいいのか?」がわかるようになり、業者に騙されることなく、適切なネットサービスを取捨選択できることは、開業医として必要な「経営力」の1つです。

■なぜ、検索結果の上位に表示されなくてはいけないのか?
クリニックを探す場合、多くの人がスマホやパソコンで検索しています。どのようなキーワードを検索窓に打ち込んでいると思いますか?

患者さんがクリニック探しをするとき、主に「地域名+診療科目名」(実際は1マス空けですが、「+」と表記しています)で検索しています。たとえば、「新宿+内科」の検索キーワードで調べている人は、新宿で内科を探すという検索意図があります。地域や診療科目にもよりますが、おおよそ8割前後がスマホ、2割前後がパソコンになります。都心や若年層ほどスマホの割合が高く、地方や高齢者ほどパソコンの割合が高い傾向にあります。

①スマホとパソコンの見え方の違い
スマホは、パソコンに比べて画面が小さいため、 検索結果の画面で下のほうの順位までは閲覧しにくく、より多くのクリニックを比較することが困難です。そのため、上位に表示されているクリニックに患者さんが集中する傾向があります。

②検索連動型広告、マップ検索結果、自然検索結果の順で表示される
検索窓に「地域名+診療科目名」で検索キーワードを入力すると、検索結果の画面が表示されます。通常、検索結果の画面は、検索連動型広告、マップ検索結果、自然検索結果の順で表示されます。

3種類ありますが、3種類はそれぞれ別々のルールで表示されています。検索連動型広告は0~4つ、マップ検索結果は1位から3位まで、自然検索結果は1位から10位まで表示されます(図表1)。

図表1 検索結果の表示のされ方とクリック率

●検索連動広告
順位 クリック率
1位 10%
2位 8%
3位 5%

●マップ検索結果
順位 クリック率
1位 10%
2位 8%
3位 5%

●自然検索結果
順位 クリック率
1位 20%
2位 10%
3位 6%
4位 5%
5位 4%
6位 2%
7〜10位 1%

※ 画像はスマホによる「新宿+内科」の検索結果。自然検索結果の画像は上位5位まで。
※ クリック率はあくまで目安であり、実際は大きく異なることがあります。また、高い順位のサイトより低い順位のサイトのほうがクリックされることもあります。広告が表示されないことや、自然検索がマップ検索結果よりも上位に表示されることもあります。

マップ検索結果と自然検索結果は、検索エンジンがホームページを独自のシステムで評価し、検索結果を決めています。これは、検索連動型広告と違ってお金を払えば上位に表示されるわけではありません。

③上位に表示されないとクリックされない現実
検索キーワードを入力した人は、その検索結果を上から順に閲覧していくことになります。不公平と感じるかもしれませんが、基本的には上位に表示されるほどクリックされる確率が上がります。

自然検索結果で1位のキーワードのクリック率が20%だと仮定すると、おおよそ2位10%、3位6%、4位5%、5位4%、6位2%、7~10位1%前後です。1位と10位のクリック率では20倍の差が出ます。検索結果でより上位に表示されることが重要です。

④2ページ目以降だと存在しないのと同じ
逆にいうと、たとえ検索結果に表示されたとしても、2ページ目以降に表示される場合は、 ほとんどクリックされません。そのため、ネット上に存在しないのとほぼ同じことになってしまいます。

また、大都市を中心にクリニックが多い地域では、クリニックのホームページが1ページ目に表示されないことも珍しくありません。

■大都市は住宅街よりもクリニック格差が広がる
ネット集患勝負の大都市は、立地勝負の住宅街よりクリニック格差が広がります。それはなぜでしょうか? 大都市では、患者さんがネットでクリニックを探されますが、住宅街では、普段の生活のなかでクリニックが認知されやすく、ネットで探されにくい傾向があるという違いが影響します。

①ネット集患勝負の大都市の場合
大都市のクリニックはビルの2階以上にあることが多く、普段の生活のなかでクリニックが認知されにくいため、患者さんはネット検索でクリニックを探されます。スマホで「地域名+診療科目名」で検索したときのクリック率の通り、上位に表示されているクリニックに患者さんが集中します。逆に、上位表示をされていないクリニックは存在を知られることがありません。結果的に、上位表示されているクリニックと上位表示されていないクリニックの格差が広がってしまっているのです。

②立地勝負の住宅街の場合
住宅街のクリニックは、普段の生活のなかで認知されているため、大都市と比べるとネット検索されにくく、立地が新規患者さんの数と相関します。駅からの距離、人通り、1階か2階か3階以上か、看板や入口が目立つ目立たないなど、立地の良し悪しにより認知度は異なるものの、大都市のように寡占化は起こりにくく、新規患者さんは分散します。

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