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コロナ禍の影響を受けて急激に普及した「リモート営業」という新たな営業手法。

リモート営業には多くのメリットがあるが、最大のメリットのひとつが「コストダウン」である。企業にとって、売り上げをアップさせることと同様に、支出削減が重要であることは周知の事実。リモート営業によって、どれだけのコストダウンが可能になるのか?

「リモート営業の極意 外資系トップセールスが教える"会わなくてもバンバン売る"技術(財津優 著 WAVE出版) 」より紹介する。

■労働時間の2割はムダ?
リモート営業のメリットの筆頭のひとつに挙げられるのは“コストダウン”ではないでしょうか。ちょっと考えただけでも、人件費、交通費、宿泊費などの経費や時間が大幅に節約できそうですよね。

2021年2月に公表された、『HubSpot年次調査︓⽇本の営業に関する意識・実態調査2021』の調査結果によりますと、営業に関する業務の中で法人向け営業マンに「働く時間のうちムダだと感じる時間の割合」を質問したところ、回答者全体の加重平均で、

【働く時間の20.5%はムダ】

という結果になりました。

これを金額に換算すると、年間約6,650億円にも上ります。これは大きな経済損失ですね。

『給与所得者の時給×1日の労働時間×1か月の営業日数×年間換算×法人営業職就労人口×「ムダだ」と感じる時間=日本の法人営業の無駄

2,163円×9.76時間×21営業日×12カ月×62万人×20.2%=約6650億円

※引用 日本の営業に関する意識・実態調査2021の結果をHubSpotが発表 HubSpot Japan株式会社 2021/2/8 』


さらに業務の中でムダだと思うことを質問すると、

●社内会議 50.3%
●社内報告業務 39.3%

このような結果でした。

社内での情報共有に関するものが、見事にワンツーフィニッシュを飾りました。外回りが中心の営業マンは、いかに社内業務をムダに感じているかを如実に表す結果と言えるでしょう。

この部分に関してはリモート会議に移行している企業が増えていると思いますが、ダラダラと長時間の会議にならないよう、内容も改善できたらベストですね。

■関東甲信越が担当エリアだった筆者の手間と時間とコスト。
さて、私は以前とても広い範囲の営業担当エリアを受け持っておりました。埼玉県に住んでいたのですが、新潟県・長野県・群馬県・栃木県・茨城県などに出張ベースで毎日のように通っていました。新潟までの距離は300km以上あり、車での移動時間は片道4時間以上かかりました。ちょっとした旅行ですね(笑)

新潟県に通っていた際のスケジュールですが、朝早くに出発して、お昼前に到着するとします。朝から4時間以上も運転をすると、さすがに相当疲れたものです。

気合を入れて営業活動をおこないますが、午前中でかなりのエネルギーを使い果たしてしまいます。午後も疲れた身体にムチを打って活動しましたが、その日の夜にはグッタリでしたね。ちなみに大雪で車が動けなくなって、車中で1泊したこともあります。エンジンをかけたまま眠るのも怖いので、一睡もせずに過ごしましたが、体力的にもメンタル的にも相当キツイものがありました。

というように、車で広い範囲を営業でまわることは、非常に非効率だと言わざるを得ません。それを分かっていながらも、そのような活動をするしか無かったのです。しかし今は、その時とは状況が全く違います。リモート営業を活用すれば、長距離運転をする必要は無くなるのです!

私の新潟県への出張を例に挙げて、コストを計算してみましょう。

まずは移動費ですが、高速料金が往復で約10,000円、ガソリン代金も往復で3,000円ほどになります。移動費の合計は約13,000円になりますね。次に宿泊費です。新潟県に出張で行く時は2泊3日でプランを組んでいたので、宿泊費は1泊約10,000円で、2泊すると約20,000円です。

それに加えて食事代を約3,000円(私は1日1食しか食べない変人なので、夕食代しかかかりません笑)、そして駐車場代を約1,000円とします。この辺のコストは、かなりザックリですが(笑)これらの営業経費のトータルは約37,000円になります。それなりに高い金額だと思います。出張の度にこれの何倍もの売り上げを得られていない場合、そこだけで考えると会社は赤字です。

しかし、これをリモート営業に置き換えると、かかるコストは通信費ぐらいですね。せいぜい数百円程度ではないでしょうか。それに加えて、先ほど述べましたように、長距離運転をした後の営業活動は疲労困ぱいでベストコンディションではありません。客先への訪問件数も3~4件程度でした。

しかし、リモート営業をすると、移動時間を商談時間に変換することができます。商談の件数を2倍にも3倍にもすることが可能なのです!!

■「あ、電話でいいかも!」
次の例に移ります。

Hさんはリモート営業に前向きなタイプの営業マンです。Web会議システム、電話、メールをTPOを意識しながら、積極的に活用されています。ある時、Hさんはお客さまに、急いでお伝えしなければならない事がありました。

今まででしたら、優先順位を上げて片道1時間半の道のりを車でかっ飛ばしたそうですが、その時冷静に考えてみると

「あ、電話でいいかも!」

と思ったそうです。

すぐに電話をかけて、15分ほど説明をして事なきを得ました。今までと同様に訪問をしていたら、往復で3時間はロスしていた訳です。浮いた3時間で他のお客さまを訪問したので、かなりコストパフォーマンスの高い仕事ができたと言えるでしょう。

それではコロナ禍の2020年5月に株式会社インターパークによって実施された「リモート営業に関する調査」の中の営業経費に関する結果を見てみると、約62%の営業職が、 12万円以上/年と回答。

そのうちの約30%が、 60万円以上/年を交通費や宿泊費として使っているという結果となりました。
この数字だけを見ると、たいした金額とは感じないかも知れませんが、これはひとりの営業マンに関しての金額です。これが会社単位になると非常に大きなコストとなるのです。


さて、ここまでコストダウンについて述べてきましたが、これを読まれている営業マンのみなさんの中には、

「コストなんて自分には関係ない」

と思っている方がいらっしゃるかも知れませんね。

プレイヤーという立場としては、営業経費は自分の成績にも関係ない場合が多いと思うので、余り意識をしないかも知れません。しかし、将来を考えると結果を出し続けたあなたは、プレイヤーからマネージャーへと昇進していくことでしょう。そして順調に出世をすれば、徐々に経営層に近づいていきます。

ひと昔前は、起業というと銀行や身内から多額の借金をして、人生を賭けてチャレンジをするというのが一般的でしたが、今は違います。大きなチャレンジだという事に違いはありませんが、無借金でのスモール起業も流行しており、そのハードルは年々低くなっています。

ご自身が会社内で昇進をしたり、起業をして経営者としてやっていく場合、必ず経費を管理する場面に直面する事でしょう。自分の仕事の幅を広げるという意味でも、今から活動経費への意識を高めておいても損はないと思いますよ。

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財津 優 営業コンサルタント(TEAM Z代表/営業戦略クリエイター)

【プロフィール】
大手外資系企業で入社1年目に売上金額と新規獲得顧客数の両方でトップを獲得。2017年にはニューヨークや中国でも表彰され「winner」の称号を獲得。そのかたわら演会やセミナーの開催、セールスコンサルティングも行う。現在は首都圏の大学でキャリア形成の講義を担当。著書に『世界No.1営業マンが教えるやってはいけない51のこと』(明日香出版社)『リモート営業の極意 外資系トップセールスが教える“会わなくてもバンバン売る”技術』(WAVE出版)。

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