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いよいよ消費増税のXデーが迫ってきました。安倍総理は10月上旬に増税の決断をするとしています。テレビでも雑誌でも9月30日までに契約をすれば消費税が安くなると報じています。消費税が増税されると日本で暮らす全ての国民に影響が出ますので他人事ではありません。しかし、駆け込みをしたほうが良いモノやサービスを正しく理解している方はそう多くはないようです。

9月30日の正しい駆け込み方

駆け込み時期の1つめは今月末、つまり平成25年9月30日です。重要なことはその駆け込む対象が、「経過措置」の対象となっているかどうかです。経過措置とは、国が決めたモノやサービスについては、上がる前の税率を適用させるという措置のことです。この経過措置の対象となっているモノやサービスは、注文住宅の発注や定期購読などの購読料が代表的です。

ここで、経過措置について少し触れたいと思います。経過措置そのものの考え方は次の通りです。(1)前もって発注しているが完成までに時間がかかるので、消費税が上がったあとに受け取っても消費税は上がる前の税率にする (2)消費税が上がる前に予約・購読しているのだから、今の契約が更新されるまでは上がる前の税率にするというもの。そのほかに、把握するのが難しいから前の税率にするというものもありますが、ここでは割愛いたします。

ご納得いただいた方は、住宅メーカーがこぞって9月末までに購入の決断や雑誌の予約購読などを頻繁に宣伝していることについてなるほどと思われるはずです。このほか、結婚式場や通信教材の予約もこの経過措置に該当します。まだ間に合いそうな駆け込みはマンションの購入、雑誌の予約購読、有料老人ホームの入居金などでしょうか。購入や利用をする意思のある方は、今が駆け込む時です。なお、予約購読といっても、雑誌が届いた都度にお金を支払うことになっている契約は除外されていますので、支払い条件を良く確認してください。

ここで1つ駆け込まないでいただきたいケースがあります。それは、中古不動産の購入です。中古不動産の所有者が不動産業者である場合を除いて、多くは住み替えを考えている個人が所有・居住している物件を不動産業者が斡旋・仲介しています。消費税は、ビジネスで売買をしている人や会社に対して課税を求めているものなので、斡旋・仲介料には消費税はかかりますが、個人が自宅を売買するときに、その建物本体の価格には消費税はかかりません。ここはあせらずじっくりと物件選びをしたいものです。

平成26年3月31日の正しい駆け込み方

来年の平成26年3月31日も駆け込み時期です。生活に必要なものを3月31日までに購入しておけば、しばらくの間は儲かったことになります。このほかにお勧めなのは、定期券やテーマパークなどの入場券の購入などです。3月31日までに前もって購入しておけば、消費税が上がる前の金額で利用できます。生活の面では特に6か月定期券の効果は大きいと思いますので、通学で電車やバス、船を利用している場合は、お忘れなく。

最近の電子マネーの普及率はめざましいものがあります。ここで交通系カードの注意事項です。3月31日までにチャージしたとしても、電車やバスに乗った時につど運賃を支払うケースは、増税後の消費税率によって計算された運賃で引き落とされます。定期券と取り扱いが大きく違いますので「あ、しまった」とならないでください。

さて、病院に通っているかたは、駆け込む必要があるでしょうか。治療費に消費税はかかっていないことはみなさんご存知です。しかし、病院が医薬品や治療器具を購入するたびに消費税を支払っていることをご存知な方は少ないのではないでしょうか。増税となった場合は、病院はより多くの消費税を支払うこととなりますが、患者さんにはその負担は求められません。病院の経営が圧迫されることになりますので、中央社会保険医療協議会などで診療報酬をあげるかどうかの話し合いが行われています。仮に4月1日から診療報酬の増額が決まった場合には、3月31日までに1度通院したほうがいいかもしれません。

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー

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