日本で登録している税理士の数は7万余名で、その平均年齢は60歳以上です。そのため、40歳以下の税理士となると超若手に入ります。ところで、新聞の広告欄や雑誌の見出しで税理士は飽和状態とか、資格をとっても喰えないと書かれていますが、実際はどうなのでしょうか?税理士になりたい方、税理士になりたくない方もどちらも必見です。
税理士は、大学を卒業するなど一定の要件を満たした場合、受験資格が与えられます。そして、試験に合格し、実務要件を満たせば晴れて税理士となります。その他には大学院で一定の成績を修めたり、税務署に一定期間勤めたりしますと税理士となれます。詳しくはこちらをご覧ください。(税理士試験に関するQ&A) くれぐれも言っておきますが、税理士試験は続ければ受かります。私自身、このおじいさんはさすがに合格は無理だろうと高をくくっていた人でさえ合格しました。世間のうわさはしょせん外野の野次と同じです。やると決めた人にだけチャンスは訪れます。 いずれにしても何年かかろうが、何の科目で受かろうが税理士となったそれまでの過程はいっさい税理士となった後は問われません。問われるのは、社会で生き残るために、どのような税理士になるかです。会計や税務ソフトがあふれ、インターネットで情報が簡単に手に入り、いたるところで税務に関するセミナーが開催されています。税の専門性は低くなっているのが現状です。だから、今まで通りの税理士となってしまったら、完全に飽和状態にインします。すなわち「格安9,800円~」の世界です。
それではどうするかです。差別化しかありません。価格競争は1つの差別化ですが、質の低い差別化のため、唯一の勝者にならなければ負けです。やるからには、質の高い差別化をするのみです。半沢直樹のセリフではないですが、機械のような税理士ではなく、その法人・個人のために尽くせる税理士かどうかです。お金が欲しいと思いながら営業をしていてもすぐに見抜かれます。ひとりの人間として信用してもらえるかどうかが唯一のキーだと考えています。 いやいや、ホームページでクライアントは獲得できると反論する方ももちろんいらっしゃるでしょう。しかし、ホームページで獲得したクライアントはホームページで逃げていくことが大いにあります。クライアントに紹介していただいたクライアントはそう簡単に逃げません。王道を歩んだほうがのちのち安定経営につながると考えられます。私の差別化の提案は次のとおりです。
日本には中小企業が約420万社あります。これは、全企業数に占める割合でいうと99.7%です。日本の屋台骨は、中小企業だといっても過言ではないです。そして、その屋台骨である企業の社長の平均年齢はおよそ60歳です。そして、今後10年間で6割を超える企業で世代交代が行われると予測されています。420万社×6割=252万社で世代交代という一大イベントが行われます。この業務を担うのが、7万余名の税理士です。 事業承継業務は、テクニックでやりすごせるものではありません。現社長と後継者との橋渡しから始まり、経営理念、経営方針、経営計画の策定から実践とフォローまで行うことが求められます。従業員とも社長の家族とも人間としてぶつかります。この事業承継業務は、ひとりの人間として信用してもらえないと決して受注できない仕事です。節税対策に走っても、会社が存続できなければ何の意味もありません。 事業承継業務は、右から左に流せる仕事ではありませんが、着実に税理士として、もちろん一人の人間として成長できます。ここに税理士としての仕事の醍醐味があります。9,800円では決してマネできません。10年、20年経過した時に同年代のサラリーマンと自分とを見比べたらその成長ぶりにおそらくびっくりすると思います。
確かにこの業務は大変です。だから年配税理士は二の足を踏むと思います。7万余名の大半が、この業務に手を付けません。ここで差別化が図られるわけです。一人でやることに不安がある方は、大手の会計事務所でもよいと思います。ただし、自分で獲得した仕事に一生懸命取り組み、やるだけやって得られる報酬は全部自分のものとなるサイクルは、独立しかありえません。怖いと思うのは誰でも同じですが、勇気を持って一歩踏み出した者にだけ手にすることができる喜びと価値観は、何事にも代えがたいです。過去の踏襲・あるかもしれない敷かれたレールに進むか、時代は変わったと信じて未開拓のジャングルに踏み込むのかはあなた次第です。 初めは大変ですが、1つ1つの会社と真正面から正直に取り組めば横展開が可能です。評判が評判を呼び依頼が増えていくでしょう。一方で事業承継は将来、相続のお仕事にも当然つながりますし、それ以後の顧問税理士としての仕事も頂けるかもしれません
税理士を目指す人の数が減っているようです。例えば平成24年の受験者数は、48,123人(平成23年は49,510人)です。一方で合格率は、一部合格者も含めると平成24年は20.9%(平成23年は18.3%)です。税理士試験合格者数は毎年ほぼ一定数なので、合格しやすくなっているのは間違いありません。 今までの規制に守られて、1か月に1回も顔を出さないで顧問料をちゃっかりいただけるおいしい仕事はもうありませんが、これからは真面目に頑張った分が自分に戻ってきます。所長先生が仕事をとってくるまで口を開けて待っている時間はもったいないです。無論、NISAで一喜一憂しているヒマはないです。自己投資を惜しまずに、一生を通じて働ける仕事をぜひ手にしてください。将来稼いだお金を豪快に投資しても遅くはないです。 取得費用に充てたお金は特定支出控除として、確定申告で取り戻せ! 藤尾智之 藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |