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簿記は会社でも家庭でもどこでも使える知識だということは誰も否定できないでしょう。とはいえ、どこの大学でも一般教養として簿記3級レベルの講義はありますが、受講する学生はのちに役立つということを感じながら学んでいるでしょうか?日本では日本商工会議所が行っている日商簿記検定(1級~4級)や東京商工会議所が行っているBATIC(国際会計検定)があります。「大学入試改革 職業資格試験も活用 簿記など提言へ 教育再生会議」(10月27日・産経新聞)と報じられているように、簿記が試験の1つとして組み込まれるとなると、今後は「簿記なんか」という感覚が変わってくることは間違いないようです。

簿記が見直される理由

財務状況を把握するにあたって基礎となる簿記がわかる人が社会人に少ないです。税理士として、ファイナンシャルプランナーとして特に感じます。日本の教育では、お金や税金の話は触れられません。最近では、税理士が小中学校に出張して租税教育の授業をしていますが、まだまだ認知度は低いです。高校でもしかりです。大学であっても、授業であるためどこか他人の話に思えるようです。このままでは、簿記感覚のない社会人が増産されてしまいます。

簿記感覚のない社会人は、悪い言い方ですが、カモネギです。金融機関や不動産業者から見ればお金の使い方を知らない社会人は上客でしょう。いくらでも言い含めて、商品を買わせることができます。一方で、簿記感覚のある社会人は、必要性を自分で理解できます。生命保険、金融商品、不動産などを購入する時期や購入価額も自分自身の頭にあるバランスシートで判断できるでしょう。必要だし、自分なら買えるから買うという決断ができます。必要じゃないからはっきりといらないと言えます。

また、会社を興すにあたっても、自分で投資するべきかどうかを決断できます。簿記が経営感覚を養ってくれるからです。現在と将来の収支状況を考慮して、現在と未来のバランスシートがつながっていれば攻め時や守り時の判断がつきやすくなります。

いずれにしろ、ここまで政府に社会保障や財産形成を頼っている国民のままだと将来が暗くなります。大きな転換期です。自分の頭で判断できるフレッシュマンの登場はどのような世の中にしていくのでしょうか。

勉強方法

将来、大学入試となるという話ですが、もちろん今はどこの予備校でも扱っていません。簿記学校は全国に数多ありますが、そのすべてが日商簿記対策や税理士試験対策です。しかし、簿記の基本は普遍です。日商簿記3級は独学で十分に合格できますので、まずは試しに参考書を買って勉強しみてはいかがでしょうか?数百円で購入できます。

勉強を進めていくと日商簿記3級から2級、1級へ、英語も多少できる方はBATICへとステップアップが図れます。単に入試ととらえるのではなく、一生使える知識として学んでいただきたいです。税理士試験にも簿記がありますので、一生の仕事にもなるかもしれません。

FP資格もお勧めです

ファイナンシャルプランナー(FP)という資格があります。このFP資格は、人間の人生を豊かに送るためにお金を計画的に貯めたり、使ったり、残したりすることを援助するものです。FPの知識は、もちろん他人のためにも使えますし、自分のためにも使えます。このFP資格も簿記の知識を使います。具体的には収入や支出、バランスシートを作って将来はこうしたいああしたいというライフイベントを想定して、お金を管理していきます。

FP資格に合格するためには、生命保険や社会保険、金融商品、不動産などを総合的に学んでいきます。簿記の延長線として合わせて取得することで相乗効果が期待できます。他人の話に踊らされないように正しい判断をできる自分の価値観を身につけてください。

藤尾智之
藤尾真理子税理士事務所 税理士 ファイナンシャルプランナー

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