20131031

税理士や公認会計士を目指す人にとって、気になるのが何といっても将来の年収でしょう。会計を生業とする人が平均してどれくらいのお金を稼いでいるのか、ということにはどうしても目がいってしまうものです。

しかし、こうした年収データは平均値が実態を表しているとは言い難い部分があります。というのも、税理士や会計士は、開業している人の他、会計事務所や税理士法人・監査法人へ勤務する人、また主に企業内で活動している企業内会計人等、働き方に様々な形態があるからです。

勤務税理士の場合は、給与体系等がある程度共通しているため、平均値が実態に近いものと思われます。ここで役に立つのが、厚生労働省が主要産業別の「労働者」について調べる「賃金構造基本統計調査」です。

平成24年度の同調査では、10人以上の企業規模を持つ事業所に勤務する税理士・会計士は、平均勤務年数11.5年、年齢42.8歳で、月収は49万5500円、賞与等が118万6600円となっています。だいたい年収は713万円程度ということがわかります。

開業税理士の年収については、少し前のデータですが、2004年に発表された日本税理士会連合会の税理士アンケートがあります。公認会計士も開業者は税理士登録をして税理士業務を中心とする人が多いので、大いに参考になるでしょう。開業税理士の所得分布は以下のようになっています。

500万円未満  26%
500万円以上  14%
1000万円以上  17%
2000万円以上  12%
3000万円以上  8%
4000万円以上  6%
5000万円以上  6%
7000万円以上  5%
1億円以上   3%
2億円以上   0.4%
3億円以上   0.1%

このデータを「開業税理士は4人に1人が年収500万円以下」と悲観的に見るのは早計です。なぜなら無作為に税理士会の登録者を抽出しているため、この26%の中には開業したばかりの人や実質的に引退状態の方も含まれていると思われるからです。

それよりも注目すべきは1000万円以上の所得を得ている税理士が60%程度存在するということでしょう。また、15%程度が5000万円以上、1億円を突破する税理士がいることも見逃せません。

このデータはしばしば我々の間でも話題になります。このデータを見て「こんなに同業者の年収が低いわけがない」とつぶやいた税理士がいました。その税理士は、通常の法人税務の他に、相続税や所得・法人税額を勘案した賃貸経営のコンサルティングで急成長を遂げた方でした。

顧問料の低価格化が進んでいると言われる会計業界ではありますが、開業税理士は起業者であり、ビジネスマンであるということを忘れてはいけません。平均値を気にするよりも大切なことは、会計税務の世界に隠れるイノベーションの種を見つける視点なのではないでしょうか。

(記事提供/株式会社エスタイル)


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