■栄養素の意義を取り違えている 先日、読売新聞に掲載された記事には驚かされた。コンビニやスーパーで販売されるお弁当やお惣菜の一部に、国が「健康な食事」のお墨付きを与えるという話。 コンビニ弁当に「健康」印…厚労省が来春導入 栄養素量に基準を設けてこれをクリアすれば認証を得られるというが、この認証は自己認証だという。つまり国や第三者機関が検査するわけではなく、基準を満たした商品に業者が自らペタペタとシールを貼って棚に並べるのだから、偽装問題なども恐らくでてくるのではないかと思う。 栄養素はあくまでも人が健康に生きていくための必要最低条件でしかない。これが豊富だからといって必ずしも健康になれるような錯覚を与えてはいけない。これについては、『【見直される食の機能性】6大栄養素と非栄養素、それぞれのはたらき』という記事を参考にして欲しい。 http://045310.com/blog/nutrient_and_non-nutrient/ いくら栄養素がそこそこ含まれていたとしても、保存料や着色料などの添加物を大量に用いて加熱調理した「健康」弁当や、「健康」惣菜を食卓に並べても、国民の健康を増進させることができるとは到底考えられない。 ■導くべき正しい方向性は 本来、必要な栄養素をバランスよく摂取した上で適度な運動をして、なおかつ喫煙や過剰な飲酒など健康に無益な生活習慣を出来る限り減らすことで、はじめて健全な生活を送ることが実現するというのに、とってつけたような「お墨付き」で国民を惑わすのはやめて欲しい。 どうしても評価したいのならば、たとえば最低限の栄養素量が含まれている、または塩分などの上限を超えていないという意味で基準をクリアしている「合格」といった表現にするべきではないか。少なくとも「健康」という表現はあり得ないだろう。 厚労省といえば常識的に考えればむしろ「家庭で素材を吟味した手製のおかず」を積極的に推奨こそしても、出来あいの弁当や総菜は肯定しない、という姿勢を示すべき役所だと思う。 ともすれば、容器に貼ってあるおかしな「認証マーク」のせいで「コンビニ弁当を食べると健康になれる」などという誤った認識が全国的に浸透して、子ども達の弁当をコンビニで済ますことを是とする親が出現するおそれも大いにあるご時世だ。 特にこれからの日本を担う次の世代を抱えるご家庭では、愚策に翻弄されてご家族の健康づくりに大切なポイントを見誤らないよう、くれぐれもお気をつけいただきたい。 【食事と健康に関しては、次の記事も参考にされたい】 ■【見直される食の機能性】6大栄養素と非栄養素、それぞれのはたらき 山浦卓 http://sharescafe.net/34564873-20131104.html ■その選択で大丈夫?薬のプロが教える、後悔しないサプリメントの選び方。 山浦卓 http://sharescafe.net/35215655-20131128.html ■意識するだけでサプリの効果を何倍にもする、たった3つのポイント。(山浦卓 薬剤師・医学博士) http://sharescafe.net/40083015-20140729.html ■睡眠薬や抗不安薬に依存していないかどうかを確認する5つのポイント。 http://045310.com/blog/departure_from_drug_dependence/ ■黒酢で歯(や骨)が溶けて、酸蝕歯(や骨粗鬆症)になるってホント? http://045310.com/blog/bones_teeth_vinegar/ 山浦卓 漢方サント薬局 薬剤師 医学博士 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |