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9月12日から昨日14日まで、東京で「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」が開催されてました。初日の公開フォーラムではラガルドIMF専務理事、ケネディ駐日大使なども登場、女性の登用によって経済が活性化することを訴えました。安倍首相も講演し、第一子出産後に6割の女性が仕事を辞めていることに言及し、「待機児童をなくしていく」とおっしゃったとのこと。

政府には是非、その言葉どおり、女性が出産しても働き続けられる環境つくりを推進して欲しいと思います。それは、日本経済復活に向けた切り札、などのマクロな理由ではなく、私たち一人ひとりの女性の視点からのミクロな理由からです。社会・経済環境が変化してきていることから、今までよりも働かないでいることのリスクが高まっており、出産後も必要な休みをとった後は、以下の観点から女性は働き続けたほうが自分の身を守ることにつながると考えます。(出産後、体調などの理由で働くことを断念せざるを得ない人の対策も、もちろん、行政がサポートする仕組みが求められます。)

■出産後も働き続けたほうがいい理由
出産後も働き続けることには、少なくとも以下の3つのメリットがあると思います。
(1)現在のお金に余裕が持て、経済的自由を手に入れることができる
(2)復職できないリスクを減らし、将来のお金の不安を減らす
(3)気持ちの面で「やりがい」を維持する

(1)現在のお金に余裕を持ち、経済的余裕を手に入れる
パートナーと両輪で稼いだ方が、経済的リスクが減ります。まず、二人で稼いだほうが収入が増えます。また、終身雇用と年功序列による報酬制度も崩れている今、パートナーの給料も安定的に増えていくことも期待しにくいですし、ある日突然リストラされたり、あるいは病気等により仕事を継続できない状況になったりする可能性は否定できません。二人で稼いでいる方が、そういったリスクをヘッジすることが出来ます。さらに、時間が経つにつれて、離婚という選択をせざるを得ないこともあるわけですが、そういう場合にも自分が外で働いて一定の収入があることは、決断をする上で、経済的に大きな支えになります。

(2)復職できないリスクを減らし、将来のお金の不安を減らす
今の日本では残念ながら、一度辞めた会社に入りなおすことを認める企業はまだごくごく一部しかありません。現状では、女性が出産を機に辞めてしまうと、そのあと同じような会社に同じ条件で勤めることはとても難しくなっています。だからこそ、安易に退職を決めるのではなく、まずは休暇等の制度をフル活用して再度働き続ける道を考えてほしいと思います。辞める決断はいつでもできるのですから。

(3)気持ちの面で「やりがい」を維持する
 「毎日でかけるところがある」というのは、しなくなってみるとその違いに愕然とすることがあります。もちろん仕事をしていなくても、必要とされていることを感じることはできます。ただ、それまで会社なり学校なりに毎日行かれていた場合、ある日から一日家にいなくてはならないときに、何らかの違和感がある人も多いのではないでしょうか。仕事をやめてから、「急に社会から切り離されたような気持ちになった」という声も数多く聴いたことがあります。子どもを通した社会のつながりも貴重です。しかし、どんなに可愛い子どももいつかは大人になって自立していきます。そうしたときに社会とのつながりをどのように確保していくかという点も念頭においておく必要があります。

■まとめ
私自身も子どもを育てながら仕事をしていて、自分が会社を辞めた16年前と比べ、確かにまだまだ変わっていない面が多いと感じます。長時間労働を前提とした組織、それによる評価など、「女性が働き続ける」ということに関して、根本的な「仕事の仕組み」は変わっていない部分が多いことも実感しています。でも、今ようやく、まだまだ男性目線からかもしれませんが、女性を本気で登用しようという機運が高まってきたことも事実です。

完璧な準備をしてからのスタート、はありません。目標値を決める「クオーター制」にも、問題がまったくないわけではありません。でも、今、会社で働いている女性の皆さんには、この機会を無駄にしてほしくない、簡単にあきらめてほしくない、と思います。制度は年々改善されていく方向性にあるので、粘っていれば問題が解決することもあるかもしれません。

今までも、ライフステージの変化に臨機応変に対応してきたのは男性よりもむしろ女性の方です。制度や仕組みが完璧でない中でも、今できることをひとつひとつ見つけて、さらに仲間を見つけて進んでいければ心強いと思います。まずは現状の組織でできること、変えられることがないか検討してみる、そして、どうしてもその中で難しい、あるいはもっとほかにチャレンジしたいことが出てきた、というときには転職や起業という選択肢も積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

小紫恵美子 中小企業診断士 OfficeCOM代表

《参考記事》
■「ニッポンのお母さん」はレベル高すぎ?OfficeCOM(小紫恵美子)ブログ
http://officecom-ek.com/?p=206
■結局「女性活用」って何すればいいの? 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38770445-20140511.html
■女性管理職はスーパーウーマンである必要はない(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40609654-20140831.html
■女性が経営者にむいている理由 小紫恵美子
http://sharescafe.net/38119326-20140407.html
■仕事セーブ要因のある女性こそ、経営者という選択肢も検討を (小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/39955025-20140721.html

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