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先日書いた以下の記事に多数のアクセスを頂き、個人ブログでは10万PVを超えました。

日経新聞で退職した社員を罵倒するサイバーエージェントの藤田社長が正しすぎる件について。

配信先を含めるとこの何倍かは読まれたようです。賛同コメントも多数頂きました。ありがとうございます。ホリエモンにまでコメントを頂いて恐縮です。

前回の記事の内容は、日経新聞のコラムで藤田氏が辞めた社員を罵倒した件について、これは社員をライバル企業へ転職させないための意図的な牽制であり、正しい行動だ、というものです。

せっかくなので記事執筆の意図も説明しておきます。

まず、日経新聞のコラムに対する自分の感想は、良くも悪くもついていけない、真似できない、ここまでやらないといけないなんて上場企業の社長って大変……といった所です。

先日フェイスブックで、本田哲也さんという方から「社内広報と社外広報は今時シームレス。このコラムで誰をどう動かしたかったのか?という目的次第で評価すべき」というコメントを頂き、それに返答する形で書きました。

本田さんはLINEの田端さんと一緒にこんな本を書いた人▼

■カモ写真の意図。
大絶賛してる前回の記事と言ってることが全然違うじゃないか、と指摘をするのはタイトルしか読んでいない人です。「絶賛キャーキャー」記事なら、「驚異」と書く所を「脅威」と書いたり、アメブロをダウンさせたなんて書きません。

ブログではイメージ写真にカモが水面から飛び立つものを使っています。文中で「立つ鳥跡を濁さず」と書いたのを自ら揶揄してるわけです。タイトルの「正しすぎる」も、随分前に流行った美人過ぎる政治家、とかそういうふざけた言い回しを拝借したものです。この時点で一歩引いた視点で観察してる事は分かると思います(拳を振り上げて社長は正しいんだ!!と主張しているような印象を受けた人は読解力不足です)。

当初の日経のコラムに対する反応の多くは脊髄反射的なものでした。社長がメディアで社員を罵倒してる、なんてヒドイんだ、と。そこにどんな意図があるのかも考えずに。

友人には「今回の記事で一番重要なポイントはカモの写真」と説明しました。脊髄反射は止めて一歩引いた視点を持たないと危ないという事です。多数派は危ない、一方に傾きすぎると危ない、と書いた通りです。

■今年は記者会見の当たり年。
意図を考えた上での否定なら別に良いと思います。人それぞれですから。自分が怖いのは脊髄反射でしか考えられない人が増えているように感じる事です。今年は佐村河内氏のゴーストライター騒動から始まって、小保方さんのSTAP細胞騒動に都議会ヤジにと脊髄反射のオンパレードでした。

小保方さんを税金ドロボーと罵り、ヤジを飛ばした都議に死ねと言ってた人は今どうしてるんでしょうか。朝日新聞を叩いてるんでしょうか。右傾化したワカモノよりこういう人の方がよっぽど怖いと思うのは自分だけでしょうか。

なので都議会ヤジ騒動が起きた時、山本七平が言うところの「空気に水をさす」ような記事を書きました。要はメディアリテラシーの話です。今回も同じです。

都議会ヤジの問題で大はしゃぎする人たちが軽すぎて、頭痛が痛い。

記事への反響はこちら
都議会ヤジの記事が30万PV位読まれた件と、執筆の舞台裏とかゴーマニズム宣言とか。

■上場企業の社長は女性関係も根堀り葉堀り聞かれる。
それにしたって恫喝みたいなやりかたは良くない、というのはその通りです。上で書いた通り、上場企業の社長はそこまでやらないといけないのか、と考えると、自分は年俸10億円もらってもやりたくありませんし、出来ないと思います。

経営者としては「正し過ぎる」と言えても、人間としては控えめに言っても最低です。ただ、そんなことは言われるまでもなく社長本人が一番分かっていると思います(フツーの感覚のない人に社長は務まりません)。

もちろん他にもやり方はあるでしょうが、非難されるリスクも、炎上するリスクも、場合によっては言及した元社員から訴えられるリスクも承知の上で書いたのでしょう。あえて嫌われ役を演じている事についてはコラムにある通りです。

藤田氏は会社を上場させるときに、過去に付き合った女性に関する話を洗いざらい説明させられたと言います(説明する相手は記憶が不鮮明ですが、証券会社か顧問弁護士あたりだと思います。全ての社長が同じことをやるとは限らないと思いますが)。そういう所から問題をほじくり返して上場企業に攻め込んで来るおかしな輩、今でいう反社会的組織もあるんでしょう。もうこれだけでまともな世界じゃないと分かると思います。

サイバーエージェントは時価総額2000億円を大きく超え、社員数3000人を超える大企業で、上場もしています。こういう企業の社長は2000億円分の金塊と、3000人の乗客を乗せた飛行機を操縦するパイロットみたいなもので、何があろうと墜落させるわけにはいきません。そのためには手段を選んでいられないんでしょう。これについては外野がどうこうと口出しを出来る問題ではありません。法律と契約、あとは経営者と社員と株主だけの問題です。

■弁護士ドットコムは仕事が早い。
法的な問題については弁護士ドットコムニュースで「記事で指摘されている内容がどこまで真実かという点で結論は変わり得ますが、法的リスクも小さい」と解説されています(「炎上リスク」どこまで計算?サイバー藤田社長「激怒」ブログにみる企業広報のあり方より 2014/10/3)。少なくとも専門家はそういう見解です。自分から見れば藤田氏を罵倒している人の方がよっぽど法的に危なく見えます。

日経のコラムに対しては人間のクズ、死ね、マフィアと同じなどの誹謗中傷も多数散見されましたが、これは社員を罵倒した事を否定しながら全く同じ事をやっているわけです。産めないのか?発言をした都議に死ねと書き込んだ人と同じです。自分が何をやっているのかも理解出来ていないんでしょう。怖すぎです。

社長にも責任があるのに社員一人に押し付けるのはおかしい、といったコメントも随分ありました。これについては、経営者に経営責任があるという当たり前の事を日経新聞の読者に説明する必要はありますか?としか言いようがありません。

■谷口Pすごい。
今回のコラムについては大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!で有名なLINE株式会社の谷口マサトさんも解説しています。

志村けんと激怒したサイバー藤田社長に学ぶWebライティングのコツ : 借力日記

谷口さんはウェブでアテンション(注目)を集めるテクニックという視点から、あえて突っ込みどころを残した脇の甘い書き方をしたのでは、と分析しています。自分は今回の件を俯瞰して記事にしたつもりでしたが、更に俯瞰した視点でブログを書かれていて後頭部からブン殴られた気分です。「ああ、負けた」と思いました。ツイッターでは自身のブログについて「ネイティブ広告を書いてしまった」とコメントしていて、さらなる俯瞰ぶりで脱帽ものです。

谷口さんはこんな本を書いた人▼

■クリティカル・リーディングってなんだ?
今回の記事を読んで、「うわっ…私、脊髄反射しすぎ…?」と某@typeのバナー広告のように両手で口をおさえてしまった方は、クリティカル・リーディングを学んでください。
「クリティカル・リーディング」とは、文章のポイントを的確に見抜き、「批判する力」「推論する力」を育むための、まったく新しい文章読解法です。
 「クリティカル・リーディング=批判的に読む」というと、何か文章のあら探しをするようなイメージをおぼえるかもしれません。しかし本書で言う「クリティカル」は、否定的な意味ではなく、「いろいろな角度から検討してみる、他の考えをぶつけてみる」など、建設的なものです。
NHK出版 クリティカル・リーディングの解説より。

当然自分が書いた記事も「批判的」に読んで欲しいと思いますが、「褒め殺し」とか「ナチュラルにディスってる」とかそんなコメントもありました。こういう方はクリティカル・リーディングができているのかなと思います。野球とかサッカーの監督はとっくの昔から同じ事をやってる、といったコメントも同様です。

以前書いたこちらの記事も参考に。
考える力=読む力=書く力

実際にはこんな難しい話を持ちださなくても、国語の問題文のように「作者の意図を**文字以内で抜き出してみましょう」と考えれば良いだけです。今回のコラムには「社員をメディア経由で牽制するため」なんて事は書いていませんが、行間を読んで下さい。コイツはバカか?と脊髄反射で思ったら、正反対にこの人は合理的で正しい、という視点から考えれば良いだけです。答えは大体その中間にあります。

■ビジネスにおける多数派と少数派の違い。
そんな面倒な事はいちいちやってられないという人はそれでも別に良いと思います。ただ、ビジネス目線で考えるとそれじゃあ駄目ですよ、というだけの話です。なぜなら「多数派はいつもお金を払う側であり、少数派は常にお金を受け取る側」だからです。これも前回書きました。

で、最後に根本的な話をしますが、自分の指摘によって今後同じようなこと(バカなフリをしてメディア経由で社員を牽制)を他の企業の社長は多少やりにくくなったと思います。感謝されても良いと思うんですけどねぇ(*・ω・)ノ

【関連記事はこちら】
日経新聞で退職した社員を罵倒するサイバーエージェントの藤田社長が正しすぎる件について。
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中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長

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