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はじめまして。今回よりシェアーズカフェオンラインに寄稿させていただきます黒川賢吾と申します。よろしくお願いします。僕はベトナムで海外起業をしており、ベトナムを含むアジア新興国に関するビジネストピックについて寄稿していきます。

■生産拠点トップ、販売拠点4位の国ベトナム
先日帝国データバンクが「海外進出に関する意識調査」を発表し、生産拠点としてベトナムがトップになっていました。これは中国のコスト増、政治リスクから代替としてベトナムを検討しているというデータですが、一方で「販売先」としても中国・アメリカ・タイに続いて4位にランクしていたのは非常に注目すべき事項だと思います。

ベトナムというと生産委託先やITのオフショア開発のイメージが非常に強いですが、今年初頭ホーチミンにイオンモールがオープンし大賑わいを見せたように消費者市場としての注目も急速に高まっています。他の東南アジア新興国と比較してベトナムの消費者市場はどのようなポジションにあるのでしょうか。

■人口9000万人、平均年齢28歳の将来性
同じアジアの新興国のタイ・インドネシア・フィリピンと比較してもベトナムは少し後ろにいるような印象です。都市部の一人当たりのGDPで比較しても、バンコク($12000)、ジャカルタ($9800)、マニラ($5200)に対してホーチミン($3000)と差があります(数値は全て2010年のもの)。

貧富の差が大きいのであまり平均の数値自体に大きな意味を感じないのですが、各都市の数字の差については現状を反映していると感じます。例えばジャカルタなどにいると、BMW, ベンツに乗ってルイヴィトンのバックをもった大金持ちのローカルを見かけたり、趣味で働いているような裕福な家庭のスタッフがいたりしましたが、そういった人々の姿はベトナムでは非常に稀です。

とはいえ、9000万人以上の人口がいて、平均年齢が28歳のベトナムの消費者市場の将来性は非常に魅力的です。ベトナムは非常に親日国ですので日本企業にとってビジネスが進め易い環境にもあると思います。。一方で大卒の学生でも3万円〜4万円くらいの給与ですので、彼らの限られたお給料が何に使われていくのか、ベトナム人の国民性と合わせて見ていく必要があります。

■商機はベトナム人の「見栄」と「家族」
気質で言うと、ベトナム人は見栄っ張りで他人と比較した自分自身について強く意識します。この点は日本人に近いものを感じますが、日本人よりも「人より先に」という意識は少なく、より「人と同じ」事をやろうとする傾向を感じます。また、家族の絆を何よりも大事にする国民性です。地方から出てきている若者は週に何度も両親と電話で話をし、数時間の距離であっても頻繁に実感に帰ります。このベトナム人の「見栄」と「家族」に関係する商品には大きなチャンスがあると感じています。

現在、ベトナム人の見栄が顕著に見えてくるの「バイク」「スマホ」といった分野です。バイクで言えば日本製のバイクに乗っていることに安心感を覚え、iPhoneの購入の為に数ヶ月の給与を使ったりします。例えばスマホについては本体だけでなくアクセサリー等にも結構な出費をしていたりと、周辺機器も含めてかなりベトナム人の財布の紐が緩む分野になってきています。

また家族愛の強さから教育に関する支出割合も高く、GDPに占める教育費用の割合は他のアジア諸国の倍の高さです。都市部では英会話学校等が至る所にあり、日本企業では公文が進出に成功してベトナム人からも高い信頼を得ています。子供教育に関する産業もベトナムでは大きなチャンスがあるのではないでしょうか。

まだ日本と比べると無い無い尽くしのベトナムですが、少しずつ中間層が拡大をしてきています。一方で進出したものの撤退・縮小に至る企業も少なくありません。「Made in Japan」「From Japan」であることは親日国のベトナムにとって明らかな強みではありますが、彼らの琴線を理解する必要があります。

【参考記事】
■竹中平蔵氏×クラウド会計ソフトfreee・佐々木大輔対談「いまだにFAXを使う中小企業こそクラウドの導入を」
http://sharescafe.net/41527996-20141024.html
■すき家のワンオペを批判するなら、牛丼にも深夜料金を払うべきだ。 (榊 裕葵 社会保険労務士)
http://sharescafe.net/41373749-20141016.html
■マタハラ、逆マタハラに企業が陥らないためにできること。(後藤百合子 経営者)
http://sharescafe.net/41573584-20141027.html
■銀座にお店を開いたコンサル出身の女性社長がオススメする”ひらり戦法”(小紫恵美子 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/41328157-20141013.html
■広告を一切使わずあっという間に500万DL達成したBrainwarsという怪物脳トレアプリ(IT企業経営 川合雅寛)
http://sharescafe.net/41381900-20141016.html

黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO

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