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先日Yahooニュースを眺めていると、「板書をスマホで撮影する大学生が増加 カンニング事例も続々」というタイトルの記事が目に付きました。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141108-00000010-pseven-bus_all
(NEWS ポストセブン 11月8日(土)16時6分配信)


■最近の教え方トレンド
直接の内容とは関係ないのですが、記事を読んで思い出したことが、昨年大学で経済学を教えていたときのことでした。400人のキャパのある講堂だったのですが、後ろ側に座る生徒たちは私が書く板書が見えないため、後方に設置されているモニター画面をスマホで写真を撮っていたのです。時代の変化を感じたと同時に、写メを撮ることで書く手間を省き授業に集中することができることが素晴らしいと思いました。

一方で、生徒や講師全般が、ITを使えば"全て"が効率的学習だとする考え方が最近常識化していて少し違和感を感じます。ITは効率的な学習環境を提供しますが、全能ではありません。ITは生徒たちの学習をサポートする役目であって、IT自体が主役になってはいけないと個人的には思うのです。英語を教えている身として、英語はサポートツールなのに、英語を主役に担ぎ上げ「できれば万能!」と思っている風潮と非常に似ているところがあります。そこで今日は、IT学習と共存共栄し、今以上に効率的な学習を手にするために必要な心構えを2点、皆さんと共有したいと思います。

■その1: 無意識な受身学習を避ける
IT学習は自分の脳に能動的に働きかけない受身学習になるリスクがあります。特に興味が湧かない分野に対してはその傾向はさらに強くなるでしょう。IT学習はサポートツールのため、学習モチベーションやきっかけ作りはしてくれますが、学習したことが安定的に脳に定着するかというと(今の段階では)限界があります。もちろん人にもよりますが。

学習とは内容をどのようにインプットして、何度もアウトプットさせる作業の繰り返しです。インプットについては画一的にIT学習でカバーできる範囲なのですが、アウトプットはそう簡単にはいきません。答えの出し方や考え方は人それぞれだからです。そのため、アウトプットを向上させるためには、学習者が積極的に自分のクセやわからないことを掘り出し書き記す作業が大事になってきます。特にワードやメモ帳などのアプリを使わずに自分の手で書くことが重要です。というのは「自分はこの手の問題はこう考えて解く!」と閃いた瞬間メモするべきなのに、パソコンやアプリ起動に時間がかかるようだとその大事な閃きが失われることになるからです。また、ワードやパワポよりも手書きノートのほうが手を加えやすいという点もメリットがあるでしょう。キレイなレイアウトで人は魅了されますが、人の記憶を定着させることができるかは別問題なのです。

最後に頼れるのは自分の脳です、先生やITでもありません。試験等の本番時に、自分の脳が反射的に反応するようノートを作って対策をしてみましょう。私も同様に生徒に対して自分の頭が動くようにノートに書いてみなさいと言っています。

■その2:意識的に毎日学習時間を作る
私は生徒全員に対して、学習を加圧トレーニングだと例えて話します。加圧トレーニングとは体に対して徐々に負荷をかけて人の運動能力を高める方法なのですが、一気に圧をかけてしまうと逆に身体に悪影響を及ぼすものです。その代り時間とともに圧を上げていくと通常の筋トレより効果的に身体能力が向上することが実証されています。これは学習の成果にも言えることで、週末の詰め込み学習をしてもその効果は限定的だということです。

IT技術は生産性を向上させましたし、嫌いな勉強を好きにさせる仕組みもあります。一方で、その利便性がゆえに人々が意識的に時間を作れなくなっている気がします。いつでも授業が見れるとなると、学習計画は"いつでもよい"というなってしまう。ところが、学習は”いつでもよい”では効果がないのです。会社で仕事を覚えるのも学習の一つですが、毎日同じ作業を繰り返すと覚えるのも早くないでしょうか?そして、その理由が仕事上の作業が自分の一日の生活に組み込まれているからと考えることができるはずです。

とすると、キャリア向上のために取る資格勉強についても同様に、自分の生活に組み込まれることが必要だと思うのです。しかし、前々段の「週末の詰め込み学習」は学習が自分の生活に組み込まれていません。それに、週末”だけ”の学習方法とは、自分の生活リズムを完全に無視した非現実的なスケジュールになることが往々にあるのです。これは「週末=学習に費やす時間がある」と勘違いすることから起こるワナでしょう。家族がいれば家族と一緒にいる時間だってあるし、友人から誘われることだってある、シングルの人であれば平日にできなかったことをする時間でもあり、なんだかんだで時間が取られる、忙しい平日で週末の睡眠時間が多くなって一日のほとんどが終わってしまった等学習できないで自己嫌悪だけが残る人は少なくないでしょう。

そこで、私がおススメしているのが、「平日の朝1時間早起き学習」です。あまり残業がない人には必要のないことかもしれないですが、残業から帰って夜遅くから勉強することは本当にしんどいことです。また飲み会にだって誘われることもあるでしょう。そもそもできないスケジュールを設定すれば、達成できなかったら「ダメな人間だ」と思ってしまって当たり前です。だからこそ、誰にも邪魔をされない学習時間を朝に作って、残りの一日は勉強を考えないようにするのです。週末も無理な学習時間を取る必要がなく、コンスタントに学習ができる。それによってモチベーション維持や学習能力向上の点でも効果的なのです。毎日の生活に学習時間を組み込むことで、徐々に自分の勉強に圧をかけていき、試験数か月前には、平日多少多くの勉強時間を取っても苦にならなくなるのです。

《参考記事》
■2014年宅建試験を振り返る 竹井 弘二 Seeplink
http://seep-jp.com/seeplink/blog/2014/10/21/post-315/
■宅建の次はこれを取ろう1 「管理業務主任者」 竹井 弘二 Seeplink
http://seep-jp.com/seeplink/blog/2014/10/23/post-328/
■個人事業 vs 法人設立 独立するとき有利なのはどっち!? 竹井 弘二
http://sharescafe.net/41881712-20141114.html
■有給消化はきっちり」が、独立成功の第一歩だ。 榊 裕葵
http://sharescafe.net/41768044-20141107.html
■ワタミが「社員は家族」というならば、後藤真希さんのように振舞えるのか? 榊 裕葵
http://sharescafe.net/40391924-20140818.html

Seeplink 齋藤 浩史

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