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ベトナムの携帯というと価格が安くて・・とイメージされる人が多いかと思いますが、既に携帯販売のうちの6割程がスマートフォンです。その中でもAppleはベトナムで絶対的な支持を集めています。ブランド信仰の高いベトナム人の若者にとって、現在絶対的に人気があるのがAppleとFacebookです。他の東南アジア諸国では若者離れが進んでいたりもするようですが、ベトナムでは現在のところこの二つのブランドは揺るぎない存在です。iPhoneの2014年3月まで半期でのベトナムへの出荷は前年比250%を超える伸びで、Tim Cookのスピーチで取り上げられる程でした。

■iPhoneはベトナム人にとって給料2ヶ月分
ただベトナムでは大卒の人でも給料は数万円程度。一方で携帯はSIMフリーで販売されているのでiPhoneは7万円以上します。給料の2ヶ月分の大きな買い物になるのですが、一体どうやってお金を捻出しているのでしょうか?自社でリサーチ事業をやっていることもあり、簡単に調査をしてみました。

調査をしたベトナムの若者の大凡の月額出費としては下記の形になります。調査対象者の平均月収は約4万円。特に日本と差があるのが住居環境で、大卒の若者でも地方出身者の多くが、シェアルームで生活しています。イメージで言うと学生寮に近いのですが、風呂・トイレ・キッチン共用で月額3000円〜4000円といった案件です。一方で、多くの若者が家族への送金を行っているのは、家族愛の強いベトナムならではと言えると思います。ちなみに通信費用ですが、ベトナムでは月500円程度で3Gが利用できます。

月額出費

こういった環境の中から、お金をやりくりしてiPhoneを購入します。月々の余剰資金が少ないので、自費で購入をする人は2・3ヶ月程給料を貯めてiPhoneを購入します。新品のiPhoneを購入出来る人はまだ多くなく、半分弱の人が中古のiPhoneに流れていきます。日本と異なりベトナムは中古携帯市場が大きく他国からの型落ち製品が安価に出回っており、それを若者がネットで値段をチェックして購入に至ります。

■半数のベトナム人が現在借金中?

また、自費で賄えない場合の手段として、借金でのiPhone購入というパターンももよくある形です。ベトナムには消費者金融のようなサービスはほとんど無い一方、友人間でのお金のやりとりが頻繁に行われます。ほとんどの人が過去に借金経験があり、現在も借金しているひとが約半数もいます。給料がすぐに入ってくるからそれまで一時的に借りよう、という少し短絡的な考え方が根底にあるようで、僕も旅行に行くから給料を前借りさせてくれ、と漫画のような御願いを受けた事があります。

こういった状況に目を付けて、少し前から携帯販売店では学生も利用出来る携帯購入時のローンサービスを始めたところ、かなり当たっているようです。現金至上主義のベトナムですが、スマホ欲をきっかけに少しずつ変化が起きています。

【参考記事】
■ベトナムで起業した僕がソニーとユニクロで学んだ事(黒川賢吾 経営者)http://sharescafe.net/42171459-20141201.html
■消費市場としてのベトナムの魅力 (黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO)
 http://sharescafe.net/41591667-20141028.html
■給与は日本の1/4、では生産性は?〜オフショア大国ベトナムの仕事観について(黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO)
http://sharescafe.net/41810980-20141109.html
■すき家のワンオペを批判するなら、牛丼にも深夜料金を払うべきだ。 (榊 裕葵 社会保険労務士)
http://sharescafe.net/41373749-20141016.html
■マタハラ、逆マタハラに企業が陥らないためにできること。(後藤百合子 経営者)
http://sharescafe.net/41573584-20141027.html


黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO

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