![]() 先日報じられたように、5億7千万円を脱税したとして馬券の払戻しを申告しなかった会社員男性を大阪国税局が所得税法違反で告発した件で、今日、最高裁が判決を言い渡す予定となっているのです。 すでに高裁判決のまま確定するのが確実視されており、馬券購入であっても一定の条件を満たすことで、今後は一時所得ではなく雑所得として申告できるようになります。但し、「一定の条件」をどう決めるかについては不透明なままですので、当面はケースバイケースで税務当局と調整することになると思われます。 ■市場には出回らない「必勝ソフト」 先日、判決が確定する見込みとなった直後に書いたエントリーでは、ホリエモンこと堀江氏のコメントに乗っかったカジノ専門家木曽氏のブログ記事にさらに乗っかる形で、競馬「必勝ソフト」が導入された世界について、簡単なシミュレーションを元に想像してみました。 必勝ソフトの存在を前提とした、いわば戯言のような記事だったわけですが、競馬市場の仕組みに興味がある人であれば、それなりに面白く読んでいただけたかなとは思います。 ところで、必勝ソフトなんて、実際にはあり得るのでしょうか? 必勝ソフトを文字通り必ず勝つソフトとすれば、そんなものはあり得ないでしょう。平均的に回収率がプラスになるソフトと定義するのであれば、それは実現可能かもしれません。 競馬市場というのは、売買手数料が20~25%程度差っ引かれるマーケットですので、平均でプラスになるのは並大抵のことではありませんが、馬券市場の偏差値で80オーバーとか、そのくらい優秀であれば、もしかしたら可能かもしれません。 ですが、仮にそういうものがあったとして、それは絶対に市場には出回らないでしょう。「本物」を他人に提供するメリットがまったくないからです。市場に出回るとすれば、偽物か、本物であればそれが陳腐化したときです。 ■ギャンブル詐欺にご用心 ある意味、「儲かる馬券購入システム」が解禁されるとも言える今回の確定判決は、ギャンブル詐欺を生業にしている犯罪者たちにとって、必勝ソフト詐欺や必勝法詐欺の大チャンスとも言えるわけです。 ギャンブル詐欺は、振り込め詐欺や金融商品詐欺と同様に「特殊詐欺」に分類されていますが、それらと同様に高齢者の被害が多く報告されています。若年層も少なからずいるのですが、一番のボリュームゾーンは高齢者なのです。 しかも、ギャンブルと言えば男性のイメージが強く、実際、若年層では男性の被害が多いのですが、高齢者に限って言えば、女性の被害の方が多く報告されています。これも、他の特殊詐欺と似通った傾向と言えます。 高齢の方には特に気をつけていただきたいのですが、競馬ファンの方も、そうではない方も、世の中そんな美味しい話はないのだということを、改めて肝に銘じおきいただきたいと思います。 あなたの前にあらわれる「必勝ソフト」や「必勝法」の美味しい話は、ぜーんぶ詐欺ですから。 馬券と競馬等については、是非、以下の記事も参考にしてください。 ■「馬券の税金」判決の影響は? ホリエモンとカジノ専門家のどちらが正しいか、JRA馬主の証券アナリストが解説します。 (証券アナリスト 本田康博) http://sharescafe.net/43454270-20150220.html ■ジャパンカップG1の時給は60億円!? 馬主という仕事の意外すぎる真実。 (本田康博 証券アナリスト) http://sharescafe.net/42224151-20141206.html ■有馬記念から考える「にっちもさっちもいかない状況」の克服方法。 (本田康博 証券アナリスト) http://sharescafe.net/42605108-20141227.html ■海外馬券の販売開始か?日本での馬券売上のインパクトとマネーロンダリングの可能性。 (本田康博 証券アナリスト) http://sharescafe.net/42936449-20150119.html ■借金返済のために風俗店で働く女子学生の問題が、本当は奨学金のせいではない明らかな理由。 (本田康博 証券アナリスト) http://sharescafe.net/42555365-20141225.html ■まとめ ・馬券を継続的に買う場合に外れ馬券も経費に算入できるとの判決が、今日、最高裁で確定します。 ・雑所得と一時所得の明確な線引きのルールがないため、今後は当面ケースバイケースで税務当局と調整することになります。 ・必勝ソフトは市場に出回らないため、美味しい話があれば間違いなく詐欺でしょう。(詐欺師にとってはビッグチャンス。) ・ギャンブル詐欺でも、高齢者(特に女性)の被害が多く報告されています。 ・美味しい話はないのだということを、肝に銘じておきましょう。 本田康博 証券アナリスト・馬主・個人投資家 ![]() シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |