お子さんのいるご家庭では、夏休み…というご家庭もあるでしょう。 お子さんが家にいる時間が増えますので、家事をしているちょっとした時間に自分のスマートフォンやタブレットを貸して、無料のゲームをさせていたり動画サイトを見せていたり…ということもあると思います。 注意しなければならないのは、「無料のゲームならしていいよ」と言って貸していたところ、アプリ内課金を無断で行っていて、思わぬ高額な請求が来てしまった…というトラブルです。 未成年のお子さんが使いすぎてしまったケース。「子供のやったことなんて、あとで取り消すことができるんじゃないの?」と思われる方もいるでしょうが、場合によっては取り消せなくなることもあるので要注意です。 ■未成年者のやった行為が取り消せなくなるときとは? 未成年者のやった行為はあとで取り消すことができる…という法律があります。未成年のお子さんがスマートフォンなどのゲームで使い過ぎてしまったケースを解決しようとする場合、この法律を使って交渉を進めることになります。 ただしこの取り消しができなくなるケースがいくつかあります。 その一つが「成人である(未成年者ではない)と偽って取引をした」ケースです。 アプリによっては、課金される場合に年齢確認の画面が出てくることがあります。「20歳以上ですか?」といったものや生年月日を入力させるものなど様々です。これにウソをつくと「未成年者であることを隠して、成人であると偽って取引をした」として、アプリ提供事業者から取り消しを認めないと主張されることがあるのです。 ■年齢確認にウソをつくと絶対に取り消しができなくなるわけではないが…。 この未成年者の取り消しに関する法律は明治時代にできた法律です。もちろん、法律ができた当時はスマートフォンやタブレットなどがあるわけもなく、アプリ内課金などのケースを想定して作られている法律ではありません。現代の取引の状況に合わせて法律を解釈していく必要があります。 法律をどのように解釈していくかという点については、過去の裁判例などを検討していく必要があるのですが、オンラインゲームなどの取引形態はここ数年、急速に広がっているもので、裁判例の積み重ねがないのが現状です。 オンラインゲームなどの電子商取引について法律をどのように適用していくかという点について、経済産業省が解釈の基準を示しています(「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」)。これは法律ではないので、裁判となった場合に必ずこの通りになる…というものではありませんが、参考にはなると思います。 このなかには「単に未成年者が成年者を装って生年月日(又は年齢)を入力したことのみにより判断されるものではなく、未成年者の年齢、商品・役務の性質、商品の対象者、事業者が設定する年齢入力のための画面の構成等の個別具体的な事情を考慮した上で実質的な観点から判断されるもの」と記載されています。 もともと未成年者の保護という観点から取り消しを認めている制度ですので、取引の内容を検討して未成年者を保護すべきときは柔軟に未成年者を保護していくべきだというわけです。 オンラインゲームの例ではありませんが、未成年者が親のクレジットカードを盗み出しキャバクラで600万円以上も飲食に充てていたという裁判がありました。判決のなかでは保護するべき未成年者や健全な風俗といったものと飲食店の取引の安定というものを比較して詳細な検討をしています(結論は取り消しを認めています)。 取り消しが認められるかどうかは、個別に事情を検討していく必要があるので、実際にトラブルとなってしまった場合は粘り強く交渉をしていかないといけません。 トラブルとなった場合は諦めずに対応をしていかなければならないのですが、大切なことは思わぬ高額な請求を受けて慌てることのないように事前にしっかりと対策を講じておくことです。 ■高額請求のトラブルに巻き込まれる前にできること。 1 スマートフォンやタブレットの設定は大丈夫ですか? アップル製品では「ペアレントコントロール」というものがあり、アプリのダウンロードやアプリ内課金をする際には暗証番号を入力しなければならないように設定することができます。グーグルプレイなどでもアプリ購入の際に暗証番号を入力する設定に変更しておく必要があります。また暗証番号をしっかり管理しておく必要もあります。 また機種変更をして使わなくなったスマートフォンをお子さんに使わせている方もいると思いますが、WiFi機能でインターネットに接続できますので、同様に注意しておく必要があります。 2 クレジットカードの管理もしっかりと 国民生活センターのホームページで紹介されていますが、未成年者によるスマートフォンやタブレット使用のトラブルのケースの中で、未成年者が親族のクレジットカードを盗んで使ってしまった…という例が紹介されています。クレジットカードに利用約款には「家族が不正に利用したクレジットカード決済については免責されない」という条項が入っていることもあって、クレジットカード会社との間でトラブルとなることもあります。クレジットカードもしっかりと管理しておかなければなりません。 何気なく使っているスマートフォンやタブレットですが、安心して使うためにやっておかなければならないことは意外と知られていないように思います。周りの大人たちがちょっと気をつけてあげるだけで防ぐことのできるトラブルもあるのです。 【関連記事】 ■高齢者の悪質商法被害を防ぐには?成年後見制度は機能するか? http://oikawa-office.com/2014/12/22/post-1830/ ■裁判所で「とりあえず半分でどう?」と言われたらどうする? http://oikawa-office.com/2015/02/27/post-1886/ ■その広告・宣伝メールは適法か? (及川修平 司法書士) http://sharescafe.net/43347513-20150213.html ■ライザップはそろそろ前払制度をやめてみたらどうか(司法書士及川修平) http://sharescafe.net/45300010-20150625.html ■資生堂の取り組みから「権利」の裏にある「義務」を読み解く (及川修平 司法書士) http://sharescafe.net/44933901-20150528.html 及川修平 司法書士 ![]() シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |