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俳優の山本耕史さんと女優の堀北真希さんが、先日入籍した。報道によれば山本さんの片思いは6年間にもわたり、5月の舞台共演中には実に40通もの手紙を送ったとほどというから、脱帽である。若い二人の前途洋々たる未来に、心からのエールを送りたい。

■猛プッシュの勝利!
報道によれば、山本さんは再三にわたりアプローチを試みるも、あえなく「撃沈」を繰り返していたという。連絡先を聞けば事務所の電話番号が返ってくる、飲み会に誘えば「行きません」の返事。最終的には「せめて俺の連絡先を教えさせてください!」と迫るなど、猛プッシュによる大金星といえるだろう。

山本さんも堀北さんも、実にさわやかな役者である。特に山本さんは、見た目もスマートで話題も豊富のようで、共演者からの評判もすこぶる良いようだ。まさにイケメン俳優である。

堀北さんも、当初はつれない対応であったというが、再三のアプローチに心を揺さぶられたのであろう。交際0日で電撃入籍ということであり、山本さんにしっかりとハートをつかまれたご様子だ。

■山本さんのアプローチは「ストーカー」や「セクハラ」にならないのか
一方で、相手の心情を顧みない「ストーカー」や「セクハラ」においても、加害者からの再三にわたるアプローチが繰り返されるケースがほとんどだ。山本さんの今回の行動は、これらに該当しないのであろうか。堀北さんの時々の心情は知る由もないが、最終的にプロポーズを受け入れたということを重視しつつ、以下を論じたい。

ストーカー行為等の規制等に関する法律(第二条)では、「つきまとい」は「つきまとい、待ち伏せ、住居等に押し掛けること。」等と定義とされ、「ストーカー行為」は「同一の者に対し、つきまとい等を反復してすることをいう」とされる。同法第三条では「何人も、つきまとい等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。」と規定されている。

山本さんの再三のアプローチについて、あくまで外形上だけを条文に照らせば該当する箇所もなくもないが、求婚に応じた堀北さんの晴れやかな顔を見れば、「平穏を害され」てはいなかったのだろうし「不安を覚えさせて」もいなかったのであろう。報道では猛アプローチばかりがクローズアップされているが、イケメン俳優の山本さんのことだ、身の引き方もきちんと熟知していたのだろう。もっとも、ネット上では「イケメンである山本さんだから許される行為」といった意見が大勢を占めており、当然に誰が行っても罪に問われないわけではない。

■真剣なアプローチとセクハラの違い
厚生労働省によれば、セクハラの定義として「 職場におけるセクシュアルハラスメントは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること。」とされ、性的な言動の例として「食事やデートへの執拗な誘い」が挙げられている(厚生労働省HP「セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ」2015/8/27確認)。

今回も40通のラブレターを送ったとのことであり、「執拗な誘い」といえなくもない。しかしながら、セクハラの構成要素として「主観性」が入ることは有名な話だ。つまり「執拗な誘い」等があっても、合意の上であれば違法性がないこととなる。その行為が意に反しているかどうかは、平均的な社会常識や当事者間の関係性等で総合判断されることとなる。「キムタクにデートに誘われるのはOKで、俺からの誘いはNG」という類である。今回は、山本さんの熱意を堀北さんが受け入れ、結婚に至ったとのことであり、当然にセクハラとは意を異にするものであろう。

■今回のケースから何を学ぶべきか
さて、今回の電撃結婚までの流れは、繰り返しとなるがスマート俳優の山本さんだから許されるのだ、という意見が根強い。とはいいながらも、我々凡人も、「付き合ってほしい!結婚したい!」と強く願うならば、相応のアプローチをとらねばならない場面があろう。今回のケースから学ぶべきことは何であろうか。

基本的なこととはなるが、やはり「相手の心情を細やかに察すること」、これに尽きるのではなかろうか。「こういう言動をとったならば、あの人はどう感じるだろうか」と想像力を働かせることが肝要だ。自分も相手も幸せになりたい、という視点を持つことが必要である。

今回の山本さんなアプローチの背後には、堀北さんを想う細やかな愛情があったに違いない。食事には誘うが執拗な誘い方はしない、連絡先を教えてほしいが強要はしない等、きわめて基本的なことではあるが、山本さんなりのルールに則って行動したいたものと思われる。

そしてまた、山本さん自身も、振られ続けながらも自身の人生を楽しみながら過ごされていたたのではないか。山本さんのある種の余裕が、思い詰めて相手を傷つけることもなく、最終的に大金星を収めた勝因であると考えている(そしてまた、仮に今回振られたとしても、きっと素敵なパートナーと巡り合えるんだろうな~・・・と、非イケメンの筆者はやっかんでしまうのである)。

名画「男はつらいよ」シリーズでも、主役の寅さんがヒロインの幸せを願ってそっと身を引く場面がよく見られる。究極的には相手の幸せを第一に考え、自分の幸せよりも優先できる。そんな思いやりができるだけの度量があれば、「ストーカー」や「セクハラ」の加害者とはならないのではないだろうか。

細やかな心遣いと相手の心情に思いをはせる想像力、そして懐深い度量を備えた山本さんは、堀北さんという一生の伴侶を得て、今後ますますご活躍されるに違いない。今回の勝因は、爽やかイケメンであるということ以上に、そういったスキルであるように思えるのである。

【参考記事】
■頑張る人、嫌いです。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45706981-20150727.html
■「話があるなら、聞くぞ。」と気軽に言ってはいけない理由~岩手中2いじめ自殺問題で考える~(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45498694-20150710.html
■所沢市「第2子出産で保育園退園」問題~子育て真最中の産業カウンセラー的視点~(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45231318-20150619.html
■所沢市「第2子出産で保育園退園問題」に関する保護者バッシングが危険な理由(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45313644-20150625.html
■組織トップのメンタルケアが急務な理由。(後藤和也 産業カウンセラー・キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45911315-20150813.html

後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント

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