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プロゴルファーの東尾理子さんが、公式ブログ上で第2子妊娠を報告した。心拍も確認できたことから、晴れて不妊治療を「卒業」するという。心からお祝い申し上げるとともに、お体をいたわりながら、マタニティライフとお仕事の両立を図っていただけることを、切望してやまない。

■母は強し!
東尾理子さんといえば、タレントの石田純一さんとおしどり夫婦であることと併せて、不妊治療の末に第1子(理汰郎くん)を授かったことで有名だ。私事となるが、同時期に妻が第1子を妊娠しており、マタニティ関連の雑誌やニュースでよくお二人を目にした記憶がある。

報道によれば、東尾理子さんは理汰郎君に兄弟がほしいと切望していたという。子育てをしながら不妊治療を行うことは、精神的にも体力的にも負担が大きかったことだろう。まさに母は強し、といったところだ。

公式ブログにも祝福のコメントが殺到しており、まさに不妊に悩む人たちの希望の星となっているようだ。胎児の心拍が確認できた段階ということであるから、妊娠の週数でいえばまだまだ初期段階であろう。くれぐれも無理をなさらないように、母子ともに健康で出産に至ることを祈るばかりだ。

■妊娠初期には何が起きるのか
一般には、胎児の心拍が確認できれば流産の心配はぐっと減ると言われている。逆の言い方をすれば、胎児の心拍が確認できるまでは、妊娠したとはいえまだまだ不安定、油断は出来ぬということであろう。

ケースバイケースではあるが、胎児の心拍が確認できるのが妊娠6週前後と言われている。また、個人差はあるが、それと前後して母体には様々な症状(いわゆるつわり、皮膚トラブル、イライラや軽いうつ症状等)が起きるといわれており、通常と比べて不安定になりがちな時期でもある。

妊娠初期は外見がそれまでと変わらないため、妊婦であると周囲が認識できない時期である。働く女性にすれば、周囲の支援が必要ではあるものの、妊娠が不確定な段階で立ち入った相談もしづらい時期となる。「もし流産でもしたら・・・」と考えれば、職場への妊娠報告もためらわれると思われる。

■職場ではどのような対応が必要か
「遠慮するな!妊娠がわかったらすぐに報告すればいいじゃないか」というのは、極めて男性目線の発想だ。妊娠初期の流産は受精卵側に原因があることも多く、現代の医学をもってしてもそれを止めることはできない。特に過去に流産を経験している女性や不妊治療の末に妊娠に至った女性にとっては、妊娠の継続というのは極めてデリケートな問題である。

職場としては、「具合が悪そうな状態であれば休憩をとれるよう配慮する」「いつもに比べ不安定な様子であればだれかが相談に乗る」等、日頃から基本的な対応を徹底しておくことが、妊娠の有無にかかわらず大切なことであろう。育児休業の制度等を全社的に周知しておく等、日ごろの情報提供も肝要だ。

働く女性にやさしい職場は、だれにでも優しい職場である。「この職場にいたら、絶対妊娠なんかできない!」と思わせる職場は、男性にとっても最悪な環境だろう。ましてや、昨今社会問題化している「マタハラ」行為は、いかなる理由があっても肯定されてはならない。

産休・育休の代員補充などの職場環境を整える責任は、一義的に会社にある。無論働く女性側も、休業前にしっかり引き継ぎをすることなど、社会人としての責任を果たすことは当然であるが、その責を過度に働く女性側に求めることは筋違いであろう。

少子化に苦しむ我が国にとって一大プロジェクトである「出産・子育て」を、誰もが心から応援できる世の中であってほしいと、筆者は心から思うのである。

【参考記事】
■山本耕史流アプローチがストーカーとならない理由。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/46042230-20150825.html
■頑張る人、嫌いです。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45706981-20150727.html
■組織トップのメンタルケアが急務な理由。(後藤和也 産業カウンセラー・キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45911315-20150813.html
■「話があるなら、聞くぞ。」と気軽に言ってはいけない理由~岩手中2いじめ自殺問題で考える~(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45498694-20150710.html
■所沢市「第2子出産で保育園退園問題」に関する保護者バッシングが危険な理由(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
http://sharescafe.net/45313644-20150625.html

後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント

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