![]() ■大変良い話だが・・・。 「部下に心を開いてもらうには」悩んだ社長は、部下の趣味が釣りであると知る。それまで部下とのコミュニケーションは「叱るときだけ」だった社長が藤田氏のアドバイスを受け、積極的に部下に好意を示すことを実践。社長自ら部下の趣味である釣りをはじめ、それをきっかけに上司部下間のコミュニケーションが円滑になっていく・・・という話だ。 「相手に対する好意的関心を持つこと」は、カウンセラーの基本的な態度と一致する。これは非常に良い話だと感じたのだが、以下のくだりが引っ掛かった。 会話は仕事上必要な会話のみで、雑談や笑い話をあまりしようとしない。自分の仕事が終わったらさっさと帰る。(中略)そんな部下の状況に頭を抱える管理者や上司の方は読者の中にもいらっしゃるのではないだろうか。 ■「雑談等をしない」「仕事が終わったらさっさと帰る」は問題行動か 藤田氏は、これらを「心を開かない部下」の行動の一例として考えているようだ。そもそもこれらの行動をもってして、上司(周囲)に心を開かない、と断じるのが妥当なのだろうか。結論を言えば、筆者はそうは考えない。 そもそも、労働者と事業主の関係は、労働契約関係に過ぎない。一義的に労働者の責務として、契約上定められた業務を遂行する必要はあるが、その業務の妨げとなるような雑談歓談に加わる義務もなければ、業務を完結させて速やかに帰宅するのを憚る必要もない。 もちろん筆者は、すべての雑談に加わるべきでない、などと主張するつもりはない。しかし、身のない雑談(例えば延々と続く競馬の話や、そんなに実のあるとは思えない野球の話など)に興味もないのに無理をして付き合った結果、本来業務が時間内に終わらず残業を強いられる、といったことは人件費や労務管理上いかがなものか、という話だ。 ■ハートに響く指導であれば、自然と部下は心を開く なぜあなたの部下は雑談に加わろうとしないのか。端的に言えば、その雑談の内容には実がないからだ(そもそも実のある会話は雑談というのか、という議論はこの際隅に置いておきたい)。確かに無関心無感動な若手が一定数存在することは否定しない。しかし例えば、上司が池上彰氏だったら、勝間和代女史であったなら。さらに雑談の内容が示唆に富み、自身の価値観を大きく揺さぶるものであったなら。果たしてそれでも部下は話に加わってこないだろうか。 また、多くの組織ではある業務を遂行すべくさまざまなセクションが存在し、各人の業務範囲も定められている。業務量が肥大化する一方でマンパワーが足りない中、皆必死に働いている。「総労働時間の削減」や「ワークライフ・バランスの保持増進」等が国家戦略になりつつある現在、「自分の仕事が終わったら帰るなんて!」などと声高に叫ぶばかりでは、部下の心には響くまい。 無論、チームでやる仕事というのも存在するわけで、そのような場合は上司が部下個々人の業務遂行状況を細かに把握し、適切な業務命令を講じればよい話だ。部下の進捗のチェックや適切な業務命令を怠っておきながら、部下が帰宅したとたん、「あいつは自分の都合ばかりを優先させる!」と陰で文句を言う上司は、愚の骨頂であると断じざるを得ない。 ■「問題上司」の方が非常にやっかいである と、ここまで上司のあり方について物申してきたわけであるが、部下してもそんな上司たちの置かれている状況を理解せねばなるまい。バブル時代の大量採用で、そんなに高い志もないまま社会人となり、自分が受けた指導を部下に与えれば「パワハラ」と言われ、好きでもない仕事に没頭した結果、家庭では夫婦の不和・・・。「部下の心を開かせねば」と、仮に方向性が誤っていたとしても、部下のことを考えてくれているならば、まだましな方かもしれない。 問題なのは、自らを顧みることなく、「ゆとり世代はこれだから~」などとのたまいながら、部下の心を傷つけ、会社に居座り続けるモンスター上司たちである。部下の話を聴く気もなく、そもそも部下の育成になんて興味もない。そのような百害あって一利なしの上司たちには、即刻ご退場いただきたいものだ。しかしながら、そのような「人罪」は、他に引き取り手もないであろう。定年までお付き合いせねばならないなあ、と思えば、頭痛が痛くなる筆者なのである。 【参考記事】 ■祝!東尾理子さん第2子妊娠~働く女性への配慮は妊娠初期にこそ必要だ!~ (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント) http://sharescafe.net/46118904-20150901.html ■山本耕史流アプローチがストーカーとならない理由。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント) http://sharescafe.net/46042230-20150825.html ■組織トップのメンタルケアが急務な理由。(後藤和也 産業カウンセラー・キャリアコンサルタント) http://sharescafe.net/45911315-20150813.html ■頑張る人、嫌いです。(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント) http://sharescafe.net/45706981-20150727.html ■「話があるなら、聞くぞ。」と気軽に言ってはいけない理由~岩手中2いじめ自殺問題で考える~(後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント) http://sharescafe.net/45498694-20150710.html 後藤和也 産業カウンセラー キャリアコンサルタント シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |

