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税金は1円でも少なくしたい。いつの世も損をしたくないというのは誰しも思うことです。

■平成27年は新相続時代の幕開け
基礎控除が前年比▲40%となった相続税。平成27年は相続税対策セミナーが際立った年でした。新聞にはハウスメーカーの賃貸物件建設のオススメ広告、雑誌には路線価を使った不動産の試算の特集、テレビでは純金の仏具を購入する年配の方のニュースが放映されるなど例をあげればキリがありません。

ある雑誌編集者が酔った席で言っていた言葉を思い出しました。売れ行きが落ちてきたら相続特集を組めば売れ行きは回復すると。「猫も杓子も相続」とはまさに相続バブルが始まったのではないかと感じます。かくいう私も公私ともに相続税の相談が多い年でした。皆様はどのようにお感じでしょうか。

■私の相続税いくらですか?
相続の相談で開口一番、相談者が発する言葉は、「私の相続税はいくら?」です。それもそのはず、皆様、ご自分で試算されて、それを確かめたくて来所されています。私はあえて尋ねませんが、他の無料税務相談会を上手に利用されて弊事務所へのご相談が初めてではないツワモノも正直いらっしゃいます。もちろんそれでもケッコウだと思います。

相続税額を計算するにあたって、預金通帳、固定資産税の納税通知書、証券会社の取引残高報告書等の書類が必要になります。それぞれを手帳に書いたメモ書きでも試算できますが、特に固定資産税の納税通知書については、その紙面に多くの項目・数値が記載されているため、どこをメモ書きずればいいの?と迷われるはずですので、原本又はそのコピーを持参した方が良いと思います。税務相談時間はどこも30分から1時間となっていますので、時間を有効に使うためにも正確な資産の情報は必須です。

■過剰な節税対策の末路
さて、私は、相続税の過剰な節税対策は、はっきり言ってキライです。つい先日もタワーマンションの節税対策が認められないことになる・・・とニュースになっていましたが、当たり前と言えば当たり前の話だと思います。20年前に某消費者金融の創業者一族が推定相続人の住所を外国に移すというスキームで節税を図り、その後そのスキームは通用しなくなったのと同じで、法の網目をくぐった過剰な節税対策は国税庁としても見過ごしてくれなくなります。

最も悩ましいのは、節税を行った時点では有効な節税スキームでも、翌年には無効なスキームとなってしまった場合、その被害を受けるのは決断した被相続人と相続人ということです。その時に誰が笑っているのかは一目瞭然。決して国税庁ではないことはおわかりいただけると思いますが、ちょっときな臭い節税対策の提案を受けた時はよくよく心で考えていただきたいです。

■年末までにできる節税対策
今年も残すところあと1か月となりました。宝くじを買う前にやっていただきたい節税対策は、ズバリ110万円までの非課税枠を利用した生前贈与です。110万円の非課税枠を使う生前贈与で気を付けていただきたい点は、下記の通りです。
・あげた相手にもらったと認識させること(相手に知らせずに振り込まない)
・口座振り込みを利用すること(お金が移転したことを銀行に証明してもらう)
・振込先の銀行口座の預金通帳、キャッシュカードはもらった相手が自己管理していること(名義預金防止)

非課税枠は、暦年(1月1日から12月31日まで)単位で考えます。年を越すとリセットされます。ここで未成年者に贈与した場合のさらなる注意点です。子供や孫への贈与は、名義預金を疑われてしまいます。もし子供や孫にあげる場合は、預金のまま寝かせるのではなく、そこからさらにジュニアNISAや生命保険の掛金にするという方法が予防策です。

以上の注意点に気を付けながら、お年玉を1週間早くあげよう、クリスマスプレゼントとしてあげようということで実践されてみてはいかがでしょうか。そして、来年は、その子の誕生日にあげるという計画を立てると年末慌ただしいことにはなりません。

古典的な手法ですが、税理士も節税コンサルタントも不要でお金がかかりません。なんといっても、自分でできる超簡単な節税対策です。くれぐれも贈与の証拠のためと贈与契約書を作ったり、111万円をあげて贈与税申告書を提出したりすることのないようにしてください。そちらの方が断然不自然に写ります。

■一括贈与とみなされる?
毎年同じ時期に同じ金額をあげると最初にまとまった金額をあげるものとみなされて一括贈与したことにされてしまい、多額の贈与税を払うことになると思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。これは、定期金を受ける権利と混同されていると考えられます。定期金を受ける権利とは、例えば向こう10年間一定額をもらうことになった場合、もらうことになった時に10年分もらう金額に贈与税をかけるというものです。10年間あげようと心の中で思っていても、来年本当にあげるかどうかは来年しかわからない、そして、その保証(例えば信託銀行を使って毎年贈与させる等)がどこにもなければ、権利とは言えません。つまり一括贈与とされる恐れはないということです。

■最後に
110万円でも積もり積もれば20年で2000万円超です。子供・孫が合わせて5人いれば、1億円が無税で次世代に引き継げます。まずは、送りバントのような些細な節税をオススメします。

【参考記事】
■1分でわかる脱税、節税、租税回避の違い 藤尾智之
http://sharescafe.net/33617980-20131004.html
■国外財産5,000万円超の資産家は要注意!税務署の関心はあなたです 藤尾智之
http://sharescafe.net/33988789-20131015.html
■225円のために軽減税率なんていらない。~3400億円はひとり親支援に使え~(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP)
http://sharescafe.net/46861415-20151110.html
■ギリシャの高い滞納率 納税意識の低さとその背景 カイケイ・ネット
http://sharescafe.net/46653453-20151022.html
■アニメソングは非課税、歌謡曲は課税?難しすぎる課税の判断基準。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/46462250-20151003.html

藤尾智之 税理士

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