ドバイPixabay
大晦日12月31日は、毎年恒例の年末ジャンボ宝くじ当選発表日です。近年の販売不振から、これまでにも増して射幸心を刺激するため、史上初めて1等前後賞の合計を10億円に増額したというニュースを耳にされた方も多いでしょう。

1等+前後賞を10億円に増額したことで、ある意味、夢は大きくなったわけですが、当然その分、当選確率や1等が当たらなかった場合の平均リターンは小さくなりました。

■宝くじを買うことの合理性
良く知られているように、宝くじの平均リターンは45.7%です。これは、投資対象として考えた場合、絶対に買ってはいけない水準です。

宝くじと同じように、買った瞬間に時価が半分以下になってしまう金融商品があったとして、そんなものに投資をする人はいないでしょう。

でも、実際には、宝くじを買う人は少なくありません。年々販売額が減少しているとは言え、年間9000億円以上も売り上げており、ギャンブル市場としては中央競馬(JRA)に次ぐ規模を誇っています。

大勢が宝くじを買うのは日本に限ったことではなく、市場規模で見れば、アメリカは6兆円規模、イタリアは3兆円規模、ドイツ、フランス、スペインも1兆円以上です。(参考:「宝くじ問題検討会報告書」、2010年)

買った瞬間に半値以下に減価する宝くじを買うことに合理性がないかと言えば、必ずしもそうは言えないかもしれません。

宝くじを、夢を買う「消費」であり、同時に、国庫への「寄付」だと考えられる人にとっては、生活に支障がない範囲であれば、宝くじも十分に合理的な選択になりえるのだと思います。

■効率良く夢を買う方法
世の中には、宝くじが当たりやすくなる方法があるかのように喧伝するインチキ情報等もあるようですが、実際にはそんなものありはしません。純粋に確率で決まる世界です。自己満足で何かにすがるのは自由ですが、そんなことで当せん確率は変わりません。

それでも、少しでも効率良く夢を買おうと思うなら、海外移住をおススメします。

次の図は、宝くじの販売額上位国にドバイを加えた10カ国・地域の還元率をまとめたものですが、見ての通り、日本の45.7%というのは最低水準なのです。
宝くじ還元率
逆に、最も高いのはドバイの72%です。

一枚277.78米ドルの宝くじ5000枚に1枚、当せん金100万ドル(約1億2000万円)が当たるというもので、当せん確率でも他の追随を許しません。

5000回に1回当たるなら、発表を待つ間ずっと、「本当に当たるかもしれない」と思っていられて、ちょっとおトクな気がします。

■宝くじへの課税の問題
日本の宝くじが当たっても課税所得には一切含まれないのですが、海外で買った宝くじが当たった場合は、一時所得としてきちんと納税する必要があります。(追記: 但し、本人が現地で購入し換金した場合に限る。日本国内から海外宝くじを購入すること(代理購入含む)は、刑法187条違反で処罰の対象となる可能性があります。)

所得税と住民税を合わせると、それらを控除した最終的なリターンは、ドバイの宝くじの場合でも日本と同水準程度まで下がってしまうのです。

これを避けるには、日本を脱出して海外移住するのが一番良い方法と言えるでしょう。

■宝くじで夢を買いたい人へのアドバイス
もしあなたの周りに、「どうしても宝くじで夢を買いたい」と思っている人がいたら、「海外移住してドバイの宝くじを買うといいみたいだよ」と、アドバイスすると良いでしょう。

還元率の比較を具体的に示しながら、「ドバイの宝くじに比べると、日本の宝くじはこんなにボッタクリなんだよ」と、丁寧に説明してあげるのがポイントです。

普段、あまり確率や期待値で考えていなかった人に、そうした考え方を試してもらうチャンスです。

≪参考記事≫
■日本がギリシャより労働生産性が低いのは、当たり前。 本田康博
http://sharescafe.net/47352836-20151229.html
■軽減税率で一番損なのは誰か、分かりやすく解説してみました。 本田康博
http://sharescafe.net/47171441-20151211.html
■スター・ウォーズを特別料金にするのはともかく、日本がそもそもダントツに映画が高い件。 本田康博
http://sharescafe.net/46947203-20151119.html
■借金返済のために風俗店で働く女子学生の問題が、本当は奨学金のせいではない明らかな理由。 本田康博
http://sharescafe.net/42555365-20141225.html
■【日米比較】お金持ちは本当にケチなのか? 本田康博
http://sharescafe.net/47093094-20151204.html

本田康博 証券アナリスト・馬主

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