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わたくしごとで恐縮だが、私の住んでいるマンションの修繕積立金が値上がりすることになった。月額で3000円ほど値上がりする。

これについては全く何の異論もない。家計への負担などを考えるとあまり歓迎されない話ではあるが、私は、逆にもう少し値上げしてもよいのではないかと思ったくらいだ。

■マンションの修繕積立金はもともと不足するようになっている
マンションの販売時の修繕積立金は、購入当初の負担感を減らすために低額に設定されているケースがある。一昔前では、修繕積立金を数千円に設定しているなどというマンションもざらにあった。

このようなマンションは、言わば、問題を先送りにしているマンションであるともいえる。

マンションは、その建物としての寿命を守り価値を維持していくためにも15年程度ごとのスパンで大規模な修繕を行っていく必要がある。

いざ、修繕をしようとした場合に、それまで低額に抑えていた修繕積立金では資金が足りない…という事態に陥る。十分な修繕ができないと困るわけで、修繕積立金を順次値上げせざるを得ないのだ。

またマンションのなかには当初の修繕計画が甘く、予想を超えた修繕費用必要となり、修繕積立金の設定額を見直さざるをえないというケースもある。

■修繕積立金の目安はあるか
では、修繕積立金はいくらが適正なのかというと、これはなかなか難しい。マンションの形状や設備、建材のグレードなどによって工事費はそれぞれ異なるからだ。

参考として、国土交通省が新築マンションの購入予定者向けに、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」というものを公表している(平成23年4月)。

これによると、15階未満のマンションで、建築延床面積が5000㎡未満の場合、1㎡あたり月額218円の修繕積立金が必要であるとしている。

例えば、床面積が70㎡のマンションを購入した場合、目安としては月額15,260円ということになる。

また機械式駐車場が設置されているマンションでは、1台当たり約月額7,000円から15,000円程度の増額が予想されるとしているので、これを各戸の所有者で負担してくことになる、といった試算が示されている。

この国土交通省によるガイドラインはあくまで目安に過ぎない。昨今の建築費等の高騰により、当然、修繕にかかる費用も高騰している。将来必要となる修繕費用を確実に予想するなどということはできないが参考にはなるだろう。

■マンションの所有者が高齢化した場合、なにが起こるか
ところで、もう一つ考えておかなければならないのは、マンションにおける高齢化である。

マンションの築年数と共に、その所有者も年を取る傾向がはっきりしている。

「平成25年のマンション総合調査(国土交通省)」によれば、近年、マンションを終の棲家として捉えている所有者が増加している。昭和55年には2割程度だったが、これが平成25年では5割を超える所有者が、マンションを終の棲家ととらえるようになった。

これは、マンションを仮の棲家として捉え、いずれは戸建に住み替える…という意識から変化してきたものと考えられるが、マンションの所有者はマンションの築年数と共に年を取るということになる。

建築後30年超のマンションでは、配管や給水設備等の劣化などの問題のほか、段差などに対する高齢者への対応が不十分であるなどといわれている。いわゆるバリアフリー対策がなされていないマンションなのだが、所有者の高齢化にマンションが追い付かないというわけだ。

マンションでは、建築後長期間たってくると、建物の価値を維持するという「修繕」に加え、そこに住む所有者に応じた「変化」に対応するために資金が必要となってくることが予想されるということだ。

■マンションを購入するということは、自分の家を持つということ
4年~5年だけ住めばいいということでマンションを買う人はいない。終の棲家などと考えるのであれば、20年、30年と先のことも見ていかなければならないのだが、購入の時点でこのあたりに気を配る人はあまりいない。

当たり前のことだが、マンションを購入するということは、自分の家を持つということだ。

当然、その管理も自ら考えなければならないわけだが、マンションと一戸建ての決定的な違いは、自分一人で全て決めることができないという点だ。

マンションの所有者にはそれぞれの考えがあるわけで、管理のあり方をめぐって意見が分かれることもある。例え自分としては必要な修繕や改築等であると考えても、勝手に進めていくわけにはいかない。他の大勢の所有者らと協議をして、コンセンサスを得ながら進めていかなければならないという難しさがある。

物件選びの際は、新しい生活を夢見て、間取りや住環境のよさ、物件が綺麗かどうかなどといった点にのみ目を奪わがちだ。

しかし、このような管理の難しさを考えると、将来的な修繕計画や修繕積立金の設定のあり方については、少なくとも必ずチェックするべきだろう。


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及川修平 司法書士

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