![]() 平成27年から特例税率という新制度ができました。直系尊属(祖父母や父母など)が、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)へ贈与をした場合は、特例税率が適用されます。具体的な例として、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などが該当します。(配偶者の父からの贈与等には使用できません。)この特例税率が適用されない贈与には、一般税率が適用されます。この新制度に気づかずに贈与をされた方もいらっしゃると思いますの、今年の贈与税申告書の作成には注意が必要です。 ■もらう人の条件 「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。ですので、年の途中で20歳になったお子さんやお孫さんは、対象となりませんのでその点もご注意が必要です。 ■特例税率と一般税率の比較 ![]() 両者を比較しますと300万円を超えてから贈与税額に違いが出てきます。 例えば、500万円を贈与した場合の差額は下記の通りです。 ・特例税率で計算した場合 (500万円-110万円)×15%-10万円=485,000円 ・一般税率で計算した場合 (500万円-110万円)×20%-25万円=530,000円 ■具体的計算方法 特例税率だけ、又は、一般税率だけで計算する場合は、上記例の通りで難しくありませんが、特例税率と一般税率の両方が混ざる場合は少しだけ難しくなります。計算の仕方は下記の通りです。 (1) すべての贈与財産に特定税率が適用されるとして計算します。 (もらった全部の財産の価額-110万円)×税率-控除額=A (A×直系尊属からもらった財産の価額)÷もらった全部の財産の価額=B (2)すべての贈与財産に一般税率が適用されるとして計算します。 (もらった全部の財産の価額-110万円)×税率-控除額=C (C×直系尊属以外からもらった財産の価額)÷もらった全部の財産の価額=D (3) 最後にBとDを足し算して納税額を計算します。 B+D=納税額 ■どんな財産が対象となるのか? 土地、家屋、ゴルフ会員権、上場株式、非上場株式、骨董品、金・銀・プラチナ、現金・預金など特に制限はありません。 ■申告にあたっての注意事項 贈与税の申告期限は、従来通りの2月1日から3月15日です。ご注意いただきたいことは、平成27年分贈与税申告書は平成26年分の申告書と比べて大きく変わっていることです。最寄りの税務署で申告書用紙を先に入手するか、国税庁ホームページでひな型を確認してください。第1表では、特例税率を使う財産と一般税率を使う財産とを区別して記載するようになっています。 平成27年から住宅取得等資金の贈与税の新非課税制度が始まっています。非課税となる部分を除いた後の金額に特例税率や一般税率を使って計算します。相続時精算課税を選択している場合は、原則その直系尊属から受けた贈与財産について特例税率は使えません。 ■申告時に必要となる書類 特例税率を使って贈与税を計算した場合は、次の書類の添付が必要です。 ・申告する方の戸籍謄本又は戸籍抄本(生年月日や贈与した人ともらった人の関係を証明するためのもの) ただし、110万円の基礎控除額を差し引いた後の残額が300万円以下のときは、添付する必要はありません。 上記の他、土地を贈与した場合には、「土地及び土地の上に存する権利の評価証明書」、家屋を贈与した場合には、「固定資産評価証明書」、上場株式を贈与した場合には、「上場株式の評価証明書」、非上場株式を贈与した場合には、「取引相場のない株式(出資)の評価証明書」など従来通り添付が必要な書類があります。 ■名義預金とならないためにも 贈与税の申告を行ったことや贈与契約書を作成したことは、客観的資料として贈与したことを証明するものですが、実際に自作自演となっているような贈与は相続時点で単なる名義貸しと判断されてしまうケースがあります。必ず、あげる・もらうという相互確認と贈与後はもらった人が管理していることが大切です。 【参考記事】 ■今回の軽減税率は次の消費増税を招く諸刃の剣だ (藤尾智之 税理士) http://sharescafe.net/preview/edit/c42d379a27420354f49709e729a10a34 ■場外ホームランを打つよりこつこつ送りバントが本流!? 年末までにやりたい節税対策 (藤尾智之 税理士) http://sharescafe.net/47003543-20151125.html ■1分でわかる脱税、節税、租税回避の違い 藤尾智之 http://sharescafe.net/33617980-20131004.html ■国外財産5,000万円超の資産家は要注意!税務署の関心はあなたです 藤尾智之 http://sharescafe.net/33988789-20131015.html ■225円のために軽減税率なんていらない。~3400億円はひとり親支援に使え~(中嶋よしふみ SCOL編集長・FP) http://sharescafe.net/46861415-20151110.html 藤尾智之 税理士 ![]() シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |