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介護が必要になった時は、どうすれば良いのでしょうか?悩んで時間が過ぎていく前に専門機関に相談です。相談先は、地域にある地域包括支援センターをお勧めします。この地域包括支援センターは、介護業界では、「ホーカツ」とも略されて呼ばれています。

■地域包括支援センターってなに?
地域包括支援センターとは、地域高齢者の生活をサポートするために市区町村が設置した介護・福祉・保健のよろず相談所です。無料で相談できます。

この地域包括支援センターは、全国に4,328か所、支店を合わせると7,072か所が設置されています。市区町村の設置となっていますが、市区町村が直営している割合は約30%で、残りの70%は社会福祉法人等に委託される形で設置されています。インターネットでお住まいの地域包括支援センターをすぐに調べることができます。一度、どこにあるのか調べてみませんか。

■地域包括支援センターでは誰に何を相談すればいいのか?
地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー等が勤務しています。この保健、福祉、介護の3職種のチームにより必要なサポートが行われます。

保健師は、疾病の予防や健康増進などのスペシャリストです。具体的な相談内容として、医療や健康、介護の予防に関することが挙げられます。介護までには至らないが、ちょっと心配な時がある時などは、介護が必要とならないように予防について相談できます。もちろん介護についても相談できます。

社会福祉士は、福祉全般に関するスペシャリストです。具体的な相談内容として、日常生活を営む上で阻害となる問題が挙げられます。例えば、高齢者を狙う悪徳商法で被害を受けないために成年後見制度などの権利擁護について相談できます。もちろん介護についても相談できます。

主任ケアマネジャーは、主任という文字からもわかるとおり、ケアマネジャーの上級資格で、介護全般に関するスペシャリストです。具体的な相談内容として、介護・医療サービスをどのように受けたら良いか、また、地域にどんな介護・医療サービスがあるかについて相談できます。

■地域包括支援センターにずっとお世話になるわけにはいかない
地域包括支援センターは、高齢者やその家族、地域の方々の相談を受ける場で、介護サービスや医療サービスを受ける場ではありません。簡素化して申し上げれば、相談内容に応じて、地域の機関を紹介してくれる場所です。(予防ケアプランなど一部継続して受けられるサービスもありますが、ここでは割愛しています。)

例えば介護の場合、介護サービスを受けるために介護計画(ケアプラン)を立てる必要があります。その場合は、改めてケアマネジャーを紹介します。このケアマネジャーは、地域包括支援センターにいるケアマネジャーではなく、居宅介護支援事業所というところにいるケアマネジャーとなります。

居宅介護支援事業所とは、社会福祉法人や株式会社が経営している介護計画(ケアプラン)を作成する専門の施設です。この居宅介護支援事業所にいるケアマネジャーが、実際に高齢者にとって望ましい介護サービスを考え、介護計画(ケアプラン)作ります。

なお、地域包括支援センターは、緊急時(すぐに介護サービスを受けなくてはいけない状況など)を除いては居宅介護支援事業所を指名してくれません。地域包括支援センターは、公正中立な立ち位置なので、自宅に近い場所で営業しているいくつかの居宅介護支援事業所の紹介にとどまります。どこの居宅介護支援事業所にするかの決定は、高齢者やその家族で話し合って決める必要があります。

■ケアマネジャーには、得意分野がある
ケアマネジャーになるためには、原則、受験資格が必要です。具体的な受験資格は以下の通りです。
• 医師、歯科医師
• 介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士
• 薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士(管理栄養士を含む)、義肢装具士、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師

わざわざ資格を列挙したのは、ケアマネジャーは自分の得意分野があるということを知って欲しかったからです。例えば、介護系の資格であれば、介護経験を活かした相談になりますし、リハビリ系の資格であれば、訓練の相談が得意です。薬剤師であれば薬の知識では群を抜くと思われますし、栄養士であれば食事のことに強いということとなります。

もし、何人もケアマネジャーが在籍している居宅介護支援事業所でしたら、ご家族のほうで○○に強いケアマネジャーさんが良いなど希望を出しても良いと思います。

■福祉従事者が身に付けている特技
福祉従事者は、傾聴と受容、そして共感という技術を身に付けています。傾聴とは、相談者の言いたいことや伝えたいことをしっかり聴くという技術です。受容とは、相談者の話すことを全面的にしっかりと受け入れるという技術です。この受容には、自身の価値観を挟まず、また、悪いことであってもそこに意見を挟むことはありません。共感は読んで字のごとく共に感じ合うという技術です。

決して、「こんなことを言ったら笑われる」、「恥ずかしい」とは思わずに、頭に浮かんだこと、心で思ったことを伝えてください。誰でも、介護は初めてのことです。

そして、相談は、できれば一人ではなく家族で相談に行くことが望ましいです。そして、介護が必要になった家族のこと、自分自身の仕事や子育てのこと、そして自分自身がどれだけ介護に関われるか、協力を得られる家族・親戚は誰かなどについて本音で話をしてください。きっと親身になって相談にのってくれ、適切なアドバイスを受けられるはずです。

藤尾智之 税理士 介護福祉経営士

【参考記事】
■介護の問題を絶望にしない秘訣(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/48944579-20160626.html
■介護保険が知らぬ間に保険ではなくなる事実(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/48473153-20160428.html
■介護保険はやっぱり保険ではなくなった(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/48977075-20160701.html
■介護保険は保険ではない ケアマネジャーと上手に付き合う方法(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/35169456-20131126.html
■介護保険は保険でなはい 「親の介護は老人ホームにお願い」は甘い考え 介護保険を考える(1) (藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://sharescafe.net/35018841-20131120.html

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