2001年に書籍化された「世界がもし100人の村だったら」を覚えている方も多いでしょう。世界の状況を100人という、人間にとって感覚的に把握しやすい人数で表現し、大きな話題となりました。それから約15年が経過した2016年10月26日、総務省統計局から27年度国勢調査の人口等基本集計結果が公表されました。 そこで、この調査結果を用いて、「もし2015年の日本が100人の村だったら」をみてみることにしましょう。 ■15年で60歳以上の人数が10人増えた2015年日本の100人の村 今回の発表では、地域別、年齢別の人口、世帯、住居の状態、高齢者の状況などの集計結果が公表されています。これらの状況がどう変化したかを確認するために、16年前に実施された平成12年(2000年)の国勢調査の結果と比較しながら日本の状況をみてみることにしましょう。 ・男女の人数 2015年 男性:49人 女性:51人 2000年 男性:49人 女性:51人 ・20歳未満人数 2015年 20歳未満:17人 20才以上:83人 2000年 20歳未満:20人 20才以上:80人 ・60歳以上人数 2015年 60歳以上:33人 60歳未満:67人 2000年 60歳以上:23人 60歳未満:77人 ・配偶者いる 2015年 いる:49人 いない:51人 2000年 いる:51人 いない:49人 ・一人暮らし 2015年 一人暮らし:14人 一人暮らし以外:86人 2000年 一人暮らし:10人 一人暮らし以外:90人 ・市部に住んでいるか、郡部に住んでいるか 2015年 市部:91人 郡部:9人 2000年 市部:79人 群部:21人 ・持ち家に住んでいるか 2015年 住んでいる:69人 住んでいない:31人 2000年 住んでいる:69人 住んでいない:31人 男女の構成、持ち屋に住んでいる人の人数は2000年から変化はありません。20歳未満の人数は3人減り、60歳以上の人数は10人増えました。15年の間に少子高齢化は着実に進んでいるようです。 配偶者がいる人は2人減り、半数を割り込みました。晩婚化、離婚の増加、長寿化による配偶者との死別後の一人暮らしの高齢者の増加などが原因と考えられます。一人暮らしが4人増えたことも、一人暮らしといえば若者というイメージ以上に一人暮らしの高齢者が増加したと考えるべきでしょう。 市部に住んでいる人は、2000年と比較して12人増加しました。都市部への人口の流出の影響はもちろんですが、平成の大合併により町や村が市へ統合されたことも大きな要因でしょう。 ■80歳以上の人数が4人増えた2015年日本の100人の村 27年度国勢調査の人口等基本集計結果には、5歳刻みの人口が集計されていますので、年齢について、もう少し掘り下げて見てみることにしましょう。ただし100人に換算するためには、5歳刻みはレンジとして細かすぎるため、10歳刻み(年代)で集計しています。 年代 2015年 2000年 0~9歳 8人 9人 10~19歳 9人 11人 20~29歳 10人 14人 30~39歳 12人 13人 40~49歳 14人 13人 50~59歳 12人 15人 60~69歳 14人 12人 70~79歳 11人 8人 80歳~ 8人 4人 2015年と2000年を比較すると、おおよそ40歳未満までは人数が減少し、40歳以上は人数が増加する傾向に あります。高齢者に目を移すと、70代、及び、80代以上の増加人数が大きいことが特徴的です。特に80代以上は4人から8人に倍増しており、10歳未満の人数と同じになっています。日常生活を送る際にも、さまざまな支障が起こると考えられる年齢層でもあるため、今後は、この年齢層の生活支援も日本の課題となってくるかもしれません。 ■核家族と一人暮らし世帯に住むが80人を超える2015年日本の100人の村 2015年の日本の100人の村には一人暮らしをしている人は14人いました。では一人暮らし以外の世帯はどうなっているかについても、みてみることにしましょう。 2015年 2000年 核家族世帯 67人 64人 核家族以外の世帯 16人 24人 非親族を含む世帯 1人 0人 単独世帯 14人 10人 その他 2人 2人 核家族世帯は3人増えて67人になり、単独世帯(一人暮らし)の世帯とあわせて80人を超えました。核家族の定義は、夫婦、もしくは親子だけで構成される家族構成であり、結婚後、親と同居しない夫婦の増加や成人しても結婚せず、親と同居する子供が増えていることが増加の要因として考えられます。 ■100人の村の考え方は、数字に弱い社員の教育にも有効か? 100人の村の考え方は、百分率を人という単位で置き換えたに過ぎませんが、人という存在を認識できる単位で表していることが、分かりやすさのポイントでしょう。単位が人だけに小数点を使用しないことも分かりやすさに貢献しているといえます。 この分かりやすさは、数字に弱い社員に対する教育にも使えるかもしれません。例えば、話題になっている日本の残業時間の長さの問題などは、「およそ30%の社員が、毎月50時間残業をしており、その内2%が残業時間が80時間を越えている。」というより、「弊社100人の村に例えると、30人が毎月50時間残業をしており、その内2人が残業時間が80時間を越えている。」という方が、伝わりやすいかもしれません。 マネジメントに携わる人は、数字が苦手な社員向けに、このような工夫をしてみることも考慮してみるとよいでしょう。 《参考記事》 ■承認欲求が満たされない社会が原因?なぜ「一流」が書籍や記事で使われるのか?(村山聡 中小企業診断士) http://sharescafe.net/49594313-20160920.html ■働き方は「人並みで十分」と考える新入社員に教えたい人並みの給与額(村山聡 中小企業診断士) http://sharescafe.net/49126099-20160720.html ■テキストマイニングでわかる!経営理念、企業理念には何が書かれているのか?(村山聡 中小企業診断士) http://sharescafe.net/48670625-20160523.html ■新入社員のうちに覚えておきたい!仮説思考の重要性と重病性(村山聡 中小企業診断士) http://sharescafe.net/44386900-20150421.html ■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士) http://sharescafe.net/40838018-20140914.html 村山聡 中小企業診断士 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |