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「レストランオープニングスタッフ募集!時給70円」

何だ、その低価格は・・と思われると思いますが、ベトナムの話です。

◼︎ベトナムのアルバイトは時給70円〜80円
ベトナムのアルバイトの時給は大体相場70円〜80円と、最近人不足で時給が上がっている一方の日本の1/15程度です。業界で一番給料の良いベトナムのスターバックスで週6日フルタイムで働いても月給として25,000円程度です。最低賃金が毎年10%以上上昇しており、ベトナムの経営者は人件費の高騰に悩まされてはいるものの、日本人の感覚からは驚く程の費用で人材の雇用が可能です。また、ベトナムは新卒市場がなく、新卒者がなかなか職に恵まれないため、4年生の大学を卒業しても、とりあえずこういったアルバイトでしばらく生計を立てる人も少なくありません。大卒の社会人で、英語が流暢な若者を月給30,000円〜40,000円程度で雇用が可能することも現実的です。

一方で、時給1000円以上の時給を得ている同世代の人たちもいます。一番の好例はソフトウェアエンジニアです。とはいえ、彼らの多くは、会社での本業を持っている一方で、副業として海外から仕事を請け負っています。実は、ベトナムで副業を持つことは全く珍しいことであありません。

◼︎ベトナム人の45%が副業経験者
当社はベトナムで市場調査のサービスを行っていますが、1149人の20代のベトナム大卒社会人に対しての副業に関しての調査で、13%が「定期的に副業をしている」、45%が「副業をしたことがある」と回答しており、日中の仕事と異なる収入手段を持つことはベトナムでは当たり前のことです。目を離すと就業中に副業作業をしていた・・などというのはそれほど珍しい話ではありません。副業の内容は、ECでの商品の販売だったり、データ入力だったり、日本で話題になっているベトナムメディア向けの記事作成だったりと様々ですが、特に顧客を海外から獲得できるエンジニア関連の業務は高給を稼ぐことができます。

◼︎「会社=給与」の価値観
彼らは、大抵、数人の仲間でグループを組んでクラウドソーシングのサイトに登録をしています。英語ベースのサイトへの登録が中心ですが、日本のクラウドワークスなどでもベトナム人の登録をちらほらと見かけます。日本留学の経験のあるベトナム人が窓口となり仕事を受け、仲間のエンジニアとともに仕事を仕上げていきます。仲間内で本業での稼働状況を加味しながら、平均的に仕事がまわるように調整をして仕事を請け負います。単価の安さが暫し問題になるクラウドソーシングサービスですが、ベトナム人にとっては高給業務獲得の場となっています。給与の安定とスキルの向上を理由に副業として仕事を請け負うベトナム人がほとんどですが、安定顧客を得てフリーランサーとして活躍したり会社を立ち上げるような人もいます。

ベトナム人に会社選びで重要な点はと尋ねると、圧倒的に「給与の高さ」という回答が返ってきます。その中でも、ベトナム人にとって、世界を顧客にした場合のリターンは非常に大きく、場所を問わないエンジニア業務などは現在最も機会の大きな職種と言えます。彼らはお金を稼ぐということに関して、日本人が考えているよりもずっとしたたかで且つ積極的です。

【参考記事】
■知っている日本人は「安倍首相」と「小澤マリア」。日韓ドラマの差が与えるベトナムビジネスへの影響(黒川賢吾 経営者)
http://sharescafe.net/43915341-20150324.html
■半数がスッピンで会社に通勤?・・ベトナムの化粧事情(黒川賢吾 経営者)
http://sharescafe.net/43459871-20150220.html
■ベトナムで起業した僕がソニーとユニクロで学んだ事(黒川賢吾 経営者)
http://sharescafe.net/42171459-20141201.html
■あの有名企業も名指しで経産省から勧告、消費税の転嫁拒否という「パワハラ」。(浅野千晴 税理士)
http://sharescafe.net/49892463-20161030.html
■配偶者控除見直し論議。そもそもパート労働者は労働を調整して節税しているのか。(浅野千晴 税理士)

黒川賢吾 経営者

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