平成28年度の確定申告が2月16日よりスタートしました。 最近はインターネットから国税庁の「確定申告」のページに入って自分で簡単に申告をすることができるようになりました。国税庁も自宅で申告書を完成し、プリントアウト、もしくは電子申告をすることを推奨しています。パソコンを使うのが苦にならない人にはお勧めの申告方法です。 国税庁のホームページもイータックスも導入当時から格段に使い勝手がよくなりました。インターネットでの申告書作成のメリットは計算ミスがないことや誕生日などを入力すると控除額が正確に計算され、書き損じの心配がないことです。 ■自宅で確定申告をする納税者が多くなってきている 毎年申告会場で、確定申告の補助をしていますが、年々来場して申告する人が少なくなってきているのを感じます。しかし、昨年の国税庁の統計データによると、平成27年度の確定申告者数は前年と変わらず2,151万5千人で、平成23年に年金収入が400万円以下の人が確定申告不要となって以来、あまり変わっていません。これは単純に申告会場に行くより空いた時間に自宅で確定申告する人が増えたということになるでしょう。 もし、書き方など分からない場合はどこかに行って確認してもらいたい、パソコンが苦手といった人は申告会場に行くことをおすすめします。 税金といえば税務署でしか申告ができないと勘違いする人もいますが、この時期には住んでいるところによって違いはあるものの、申告をサポートしてくれる会場があります。 ■税金と言えばココ!「税務署」 この時期の税務署は配置も替え、確定申告一色といった状況です。通常は税務署内で別の仕事をしている職員も確定申告のお手伝いをしています。メリットとしてはどのような種類の申告であっても受け付けてくれるということ。複雑な案件でも自力で申告したいといった人は最初から税務署という選択が一番よいです。 デメリットとしては非常に混んでいるということではないでしょうか。申告期限間近になると、あふれんばかりの人が押し寄せ、何時間も待つということになる可能性大です。 ■市役所や税理士の運営する会場 まず市役所ですが、年金や還付申告をする人におすすめです。また確定申告をする必要がなくても市民税の申告をすることができます。国民健康保険の支払額が不明であっても、市役所の中でデータがあるために、自動的に判明できるところもあります。また、税務署は離れていても市役所は比較的近くということも多いのではないでしょうか。 次にこの時期限定で税理士会が独自に市のコミュニティーセンターなどを借りて相談や提出などをする無料のサービスがあります。 これらの会場のメリットは税務署のように込み合うことがないために、申告がスムーズに行えます。デメリットとしては受け付けている申告種類の範囲があり、開催日程が限定的であるので、広報やチラシで早目にチェックしたほうがよいかもしれません。 ■会場で確定申告する本当のメリットとは 確定申告をすると税金が戻ってくる人にありがちな誤解ですが、全てにおいてお得になると限りません。税金は戻ってきたのに、翌年の健康保険料がそれ以上に支払う羽目になったり、扶養から外れてしまい、結局夫の税金があがってしまうなど、他に発生する隠れたデメリットもあるのです。そのため、家庭の中で総合的に支払いが得かどうかを考えておく必要があります。 また、一人で申告書を作成していると、時には判断に迷うこともしばしばあります。電話相談でも疑問点を解決できますが、電話の場合、断片的な内容しか話すことができず、さらに相談員が該当する資料を見ていないため、正確な回答をもらっているか怪しいこともあります。 会場に行けば、何を聞けばいいのかわからない人も持ってきた資料を見せるだけでどんな申告をするかを導いてくれます。また確定申告したほうが得かどうかも判断してもらえるという点は安心できるのではないでしょうか。 ■実は危険?思い込みによる自己判断 「この控除、出来ますよね?」と言って持ってきた資料をみると実は税の特典が受けられないこともあります。 最近の情報社会では欲しい情報が簡単に入手できるのがとても便利です。ただしその情報が断片的な場合はとても危険です。さらに法律は年々変わります。昨年出来たのに今年はダメといったケースもあります。 最近は「税務署には来るな」と言わんばかりの広報が気になるところですが、一人で考えても答えが出ない場合は、申告会場や無料サービスを利用してみるのも選択肢の一つに加えてもよいかもしれません。 【参考文献】 ■年収1000万円超えの会社員は「税金」で貧乏になる (浅野千晴 税理士) http://sharescafe.net/50540586-20170129.html ■なぜ高齢者は預金をたくさん持っているのにお金を使わないのか (浅野千晴 税理士) http://sharescafe.net/50299969-20161225.html ■マイナンバーは税金の無駄遣いの救世主になることができるか (浅野千晴 税理士) http://sharescafe.net/50115713-20161130.html ■あの有名企業も名指しで経産省から勧告、消費税の転嫁拒否という「パワハラ」。(浅野千晴 税理士) http://sharescafe.net/49892463-20161030.html ■配偶者控除見直し論議。そもそもパート労働者は労働を調整して節税しているのか。(浅野千晴 税理士) http://sharescafe.net/49590772-20160920.html 浅野千晴 税理士 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |