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10月も終わろうかという時期だが、珍しく立て続けに台風の被害に見舞われている。今回の台風22号では横浜マラソンが中止となるなど、台風によって日常生活はさまざまな影響がでている。

台風による被害は様々で時に命にかかわるものだが、暴風によって物が巻き上げられたことによって発生する被害も多い。

例えば、瓦が飛んで近くに駐車していた自動車にぶつかって被害が出た…などだ。

このような場合、法律的にはどのような責任が発生するだろうか?

■台風の被害は防ぎようがない?
まず考えれるのは、「台風などの自然災害は防ぎようがないのだから、たとえ瓦が飛んだとしても仕方がない。家の持ち主には責任はないのではないか」ということだ。

これは原則として正しい、ということになる。

不可抗力によって発生してしまった被害について、何でも責任を取らされるというわけではないということだが、ただ、なかには責任を取らされる事態となることもあるので注意が必要だ。

■こんな場合は責任追及されることも
場合によっては責任を取らされるケースとは、屋根に「瑕疵」があった場合だ。

「瑕疵」とは言葉が難しいが、一般的に求められている性質・性能を備えていないことをいう。

例えば瓦の並びが波打っていたり、一部が破損していたりといった問題を放置しているような場合、本来の屋根瓦に求められる強度がなかったことが原因であるとされると、責任を取らされることも十分あり得る。

強風といっても風速15メートル程度で、近隣の住宅は屋根が破損したり瓦が飛んだりしていないにもかかわらず、そこの家だけそのような被害に見舞われているといったようなケースでは、屋根自体に問題があったといわれかねない。

一般的に求められている性質・性能とは何かということは個別に考えるしかないが、地域的な特色などが加味されることもあるだろう。

また私は福岡市内に事務所を構えているが、福岡などは地域的にも台風の影響を受けやすい。これが南九州などではなおさらだろうが、そのような地域では、屋根に求められる品質も当然要求が高くなるだろう。

このようなケースを総合的に考えて、責任が発生するか否かが決まってくる。

■家の備えは「保険による備え」も考えてよい
賠償の責任が発生するかどうかは、ケースごとに考えなければならないが、仮に屋根に何らかの問題があって賠償しなければならなくなったとすると、賠償額が大きくなることも十分予想できる。

このようなときに備えて保険に入っておくというのも一つだ。

保険会社によって名称は様々だが、個人賠償責任保険とか日常生活賠償保険などといわれるものだ。

仮に家屋に問題があったり保存状態に問題があったりするなど、所有者に責任が発生するような場合は、このような保険に入っておくと保険から補償されることになる。

多くは火災保険や自動車保険などの特約として契約できるものだが、保険金はさほど高額ではなく、月あたり数百円程度からの設定がある。

一戸建ての住宅などは、所有者によって修繕の状態は様々だ。仮に自分はしっかり修繕するなど賠償の対象とならないだろうと考えていたとしても、相手方との交渉がこじれて裁判などということになってくると「絶対に大丈夫」ということはなく、ひょっとすると賠償を命じられることもあり得る。トラブルに巻き込まれる可能性も考えて、保険による備えを検討してもよいだろう。


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及川修平 司法書士


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