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我が国をはじめとした先進国では、様々な商品があふれています。どのお店に行ってもあふれるばかりの商品があり、あの手この手で販売していこうとしています。

高級感を出すパッケージを活用したり、品質を高めたり、低価格で訴求したりとあの手この手で消費者に購入してもらおうとするのです。

この考え方の背景には、消費者はより価値の高いものを好むといった経験則があります。私たちが商品を購入する時を考えても、よりお得なものを好むと思います。

どうせ買うならお得なものの方がうれしいですよね?

しかし、お得とはいったい何なのでしょうか?何をもってお得と判断できるかといった事から、生産性を上げる方法を本稿で考えていきます。

■コストパフォーマンスを高めるためには
同じ値段ならばより品質の良いものの方がコストパフォーマンスは高まると考えられます。

値段が同じだったら高品質である方がいいですよね?

また、同じ品質を保つならばより価格の安いものの方がコストパフォーマンスが高まります。

また、価格を同じにしておいて量を増やすといった事も行われます。この場合は、商品一単位当たりの単価を下げることになりますので、実質的な値下げとなります。

同じものだったらより安い方がうれしいですよね?

と、ここまでは割と常識的なお話です。

しかし、問題はコストパフォーマンスを高めるということが企業の収益性を圧迫してしまうということです。

コストパフォーマンスを追求することは、買う側としてはありがたいことですが、売る側としてはあまりありがたくない事柄なのです。

例えば、企業が消費者のコストパフォーマンスを高めようとして、価格競争に打って出た場合、最終的にはより大きな競合に勝つことが難しくなってしまいます。また仮に勝てたとしても、その市場の消費者は安売りに慣れてしまい、適正な利潤を確保することが難しくなってしまいます。

そのため、価格競争に打って出るのは一般的には悪手であるとされているのです。

そういった安売り競争になるのを避けるために、競合している商品と真っ向からぶつからないように、品質面で訴求するという発想が生まれてきます。

しかし一般的に品質を向上させるためには、よりコストをかける必要が出てきます。その場合、同じ値段で売る場合には結果として収益性を圧迫してしまうこととなります。

それでは、どうしたらよいのでしょうか?

■違う価値で訴求する
品質相応に単純に価格を上げてみるだけでは、消費者のコストパフォーマンスが損なわれます。しかし、思い切って品質を向上させ、考えられないような高価格を付けるといった事が行われると違った価値が生まれてきます。

例えば、ティッシュペーパーをひと箱1,000円や10,000円で販売するといった報道を目にしたことがある人もいると思います。

1箱1000円という高価なティッシュが売れている。主にインターネットで販売し、テレビCMなど派手な宣伝はないものの、インスタグラムなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による拡散が追い風となっている。話題性に実用性も加われば、プレゼントに最強のアイテムとなり、結婚式の引き出物に用いられたことも。製造メーカーは「ティッシュで贈答マーケットを作りたい」と意欲を示している。
クレシア 引き出物にも 1000円ティッシュの贈答力 毎日新聞 2017/7/23


この場合、品質が高まることや一般的に非常識な価格が付いていることから贈答用や話のタネといった付加価値が生まれています。

また、ここまで極端な方法をとらなくても、競合品にはない機能を訴求するなどでしっかりと付加価値を訴求している例も見聞きしていると思います。

■そもそも顧客にとっての価値とは
こういった考え方の延長に顧客にとっての価値はなんであるかを徹底的に考えて、固定観念を外して販売する例もあります。

ティッシュペーパーの例が続いて恐縮ですが、ティッシュペーパーの価値とは何でしょうか?

人それぞれの考え方がありますが、たいていの人はティッシュペーパー自体に価値を感じているはずで、ティッシュペーパーの箱が価値を持っていると答える人はほとんどいないと思います。

もちろん箱がきれいでしっかりとしているならそれに越したことはないと思いますが、その箱は本当に必要でしょうか?

外箱を省きフィルムで包装した「ソフトパック」と呼ばれるティッシュの販売が伸びている。ソフトパックは同じ枚数の箱入り型に比べ店頭価格が10~20円安い。包装が軟らかいため、メーカーも一度に大量の商品を輸送でき、物流コストを抑えられる。

店頭調査を手がけるマーチャンダイジング・オン(東京・新宿)によると、16年度のティッシュ全体の販売が3%減ったのに対し、パルプ物のソフトパックは8%増えた。

外箱なしティッシュ、割安感で販売拡大 大量輸送でコスト減 日本経済新聞 2018/2/20

この例では、外箱を省くことで箱代と物流コストを削減したため、割安に提供できる商品の販売が伸びていると報道されています。

少なくともこのティッシュペーパーを購入する人たちは箱よりも中身に価値を見出しているという、考えてみれば当たり前のことに着目した結果ということができます。

■本質的な価値は何なのか?
この例から、他者に提供している本質的な価値を考えることで大幅な改善につながる可能性が見えてきます。

必要だと思っていたこと、業界の常識だとしても、本当にそれは他社に価値を提供していますか?もし価値を提供していないならばそれをやめることを考えてみてはいかがでしょうか?

必要ないことは、効率化することではなく止めてしまうことが一番の改善なのですから。

【参考記事】
■起業の選択肢として第三者の事業を引き継ぐの事が当たり前になれば、みんなが得をします
http://okazakikeiei.com/2018/02/27/seisan/
■ありふれた商品を相場の数十倍、数百倍で売る方法から考える切り口を代える大切さ
http://okazakikeiei.com/2017/08/01/ari/
■生産性を上げるにはおもてなしスキルの向上ではなく、サービスを最適化する必要がある(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/51387716-20170530.html
■長時間労働を是正して生産性を向上させるためには社会の覚悟が問われます(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/49480245-20160907.html
■経営者保証という見えない鎖を外すためのガイドラインを活用し、有限責任というタテマエをタテマエではなくそう(岡崎よしひろ 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40440438-20140821.html

岡崎よしひろ 中小企業診断士

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