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実名・顔出しが定着したSNSであるFacebookをビジネスに活用する起業家は多い。

若者にはオワコンとも揶揄されるFacebookだがビジネスユースとしては、特に小規模でスタートした起業家にとってはコストをかけることなく多数の人に自分を売り込む媒体として貴重だ。

■ルールとマナーは異なる
もともとSNSで誰が何をつぶやこうと勝手なのだが、ビジネスで使おうと思うなら一定のマナーが必要なのは言うまでもない。最低限のルールとしてはFacebook側に削除されるようなことを書かなければセーフだが、マナーとなるともう少し丁寧に考える必要がある。
スパムコメントを方々に書き込んだり、いき過ぎたリア充アピールや政治信条・宗教ネタなどは起業家が自分を売り込むには逆効果だということが定着してきた。

ごく普通の好感を得られる日常風景の中に、顧客対象者のフックになるようなビジネスネタを折り込むことで実際に取引に繋がるケースも多い。筆者が支援に関わっている地方の起業家でも、そのようにセルフプロデュースにSNSを活用することでビジネスにメリットが生じる例をよく見かける。

■マナーとセンスもまた異なる
ところでその日常のアップだが、意外と気づかずに私たちがやっている残念なことがある。それは、フレッシュだが旬の短いネタの書き込みである。

その瞬間には本人は盛り上がっているのだろうが、わずか半日後には賞味期限が完全に切れているようなものだ。

代表的なものは大晦日の挨拶であろう。除夜の鐘が鳴り始める頃に「今年も皆さまお世話になりました!今年の私はどうちゃらこうちゃら」と一年の感想や感謝を述べるものである。例えばこれを元旦の昼過ぎに目にすると賞味期限切れに感じ、しかも悪いことに記事に臨場感があればあるほどより昨年臭いポストになる。

最近でいえばW杯サッカーの日本vsベルギー戦もそうだ。明け方の4時に「日本2点先制ー!!いけちゃうかもベスト16!!」と派手な背景付きで盛り上がる気持ちはよくわかるが、ほとんどの人がそれを目にする頃には結果を知って監督や選手の涙のインタビューも見たあとだろう。

■読み手にとって旬のポストを上げる
かくいう筆者も仕事ネタをFacebookに上げて活用しているので、前述のような点は多少配慮している。

年末ギリギリでの挨拶は控えるが、新年の挨拶はむしろ年明けすぐに上げる。実際には除夜の鐘の頃に年末の挨拶を上げる方も多くおられるので年末と年始の挨拶が混在するが、読んだ人がコメントしやすいのは新年の挨拶の方だ。

サッカーも同じで、ビジネスユースのFacebookでネタにしたいなら試合途中の興奮はひとまず置いておいて、結果が出てから総括した方がリアクションしやすい。負けたのがわかっていて先制ゴールの実況を目にしても反応しづらいだろう。

繰り返しになるが、プライベートでSNSに記事を上げる分には他人に迷惑をかけなければ何をアップしても構わない。ただ起業家が自身の売り込みにも併用しているのであれば、その瞬間には旬の話題でも相手に届く時のことを考えるセンスは軽視しない方がいい。

現実のビジネスでも商品やサービスについてアイデア会議をして社内でどんなに盛り上がっても、肝心の顧客の反応が薄いことはままあるだろう。これは顧客の手に届いた時の想定が不十分であるからだが、SNSをセルフブランディングに用いるなら、自分のウォールを賞味期限切れのポストで埋めてはならない。そんなちょっとした配慮をするだけでもビジネスの訓練になるからだ。

【参考記事】
■東芝1兆円の大赤字から考える、中小企業破綻のリアル (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/50979612-20170401.html
■ポストSMAP争奪戦から考える 企業の価値創造 (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/49970392-20161110.html
■中小零細企業に必要な「仕事がうまい」人材 (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/48242519-20160331.html
■マイナス金利から一年、地方の中小企業と金融機関のリアル (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/50758059-20170301.html
■映画「LA LA LAND」に見る、夢の実現と経済的成功 (玉木潤一郎 経営者)
http://sharescafe.net/50853160-20170314.html


玉木潤一郎 経営者 株式会社SweetsInvestment 代表取締役

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