rectangle_large_type_2_f52bf5eb4f3bb685f55990a2d67e03a8
「アライ」という言葉を知っていますか?

この言葉は性的少数者(LGBTQ)に寄り添う人、理解・支援する人を意味します。初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。

私は身体の性が女性で、自身を女性と認識して、女性の服装をして、恋愛対象は男性。いわゆる「ストレート」で性的マイノリティの当事者ではありません。

そんな私が性的マイノリティに関心を持って、自身と重なると感じてLGBTQを支援する活動を始めた理由は、学歴や家族や外見などまた違う意味でマイノリティだったからです。

この話は別の記事で書いたので省略しますが、LGBTQという言葉を以前よりはるかにたくさん耳にして、たくさん目にするようになった現在、アライに関する活動と想いについて書いてみたいと思います。

◼アライとして登壇
昨年10月、外資系企業のLGBTQに関する社内イベントで、パネルディスカッションのパネリストとして初めて登壇、そのイベントは職場のアライシップを高めることが目的でアライの立場として参加しました。

まずは「勤務先のLGBTQに関する社員リソースグループのリーダー」で「irOdoriという団体でLGBTQコミュニティを支援している」と自己紹介。

他のパネリストはHead of HR(人事部長)など立派な肩書きの方々ばかり。その中で唯一日本人の私は、LGBTQ当事者と長く深く関わってきた経験とこれまで学んできた知識を活かして、ファシリテーターや参加者から受けた視座の高い質問に英語で回答しました。

参加者はインド、オーストラリア、日本などアジア圏の社員の方々で300人を越える大きなイベントです。

ほぼ同時期、登録者が9.6万人を越える人気ゲイYouTuber・かずえちゃんの「LGBTQ ALLY 100人動画」に参加。それをきっかけにアライを研究している大学生からインタビューも受けました。

11月には、トランスジェンダーの方々の尊厳と人権を訴えるパレード「東京トランスマーチ」とそのアフターパーティーに参加、irOdoriの仲間と一緒にスピーチをする機会も頂くことになります。
230116吉田彩夏_アライ2

◼将来のアライに言葉を届けられたら
いずれも昨年末の出来事ですが、パネリストやインタビュー、イベントでスピーチなど様々な形でお話をさせていただいて、シンプルに楽しかった! そしてもっと多くの人にアライとしての自分の想いや考えを話したいと強く感じた、というのが素直な感想です。

その理由は私の話を聞いた方の中から「アライになりたい」と思う方がいるかもしれないからです。私が東京レインボープライドというイベントをきっかけにアライになったように、誰かがアライになるきっかけを作ることが出来たらこれ以上嬉しいことはありません。

性的マイノリティに寄り添うアライが増えるほど生きやすくなるLGBTQの方々も増えるはずです。理想を言えば、世の中の人全てにアライになってほしいと思っています。

230116吉田彩夏_アライ1

■アライに必要なこと。
ただ、少しネガティブなことを言ってしまうとアライになりたくてもなれない人がいることも実感しています。

その理由は(あくまで個人的な意見ですが)アライとしてLGBTQコミュニティのために行動するには、過去の体験から以下のような要素が必要だと考えているからです。

・自分自身の生活基盤が安定していて心身ともに余裕がある(自分が幸せでなければ他人を幸せにできないため)

・自分自身と異なるコミュニティに臆せず入っていける(多くのLGBTQ当事者と直接対話して初めて彼ら・彼女らから見える世界を垣間見られるため)

・自分は自分、他人は他人と線引きができる(LGBTQを取り巻く差別的現状やヘイトについて自分ごととして考えすぎず冷静に怒る必要があるため)

・理解できないものは理解できないと割り切ることができる(LGBTQ当事者と同じ経験ができない場合も多いため、すべてをロジカルに理解しようとしない。必要なのは理解力ではなく把握力)

上から目線に感じたかもしれませんが、これらの話はすべて過去の私にあてはまるものです。

私自身、アライになりたいと思ってから活動を始めるまで2年ほどかかりました。その頃は就職したばかりで必死に初めての職場で働いていた時期です。とても誰かに寄り添ったり支援する余裕はありませんでした。

他にもアライとして活動しようと動き始めた当初はそれまで知らなかった世界を知って苦しむこともありました。それは今もあります。

アライになるきっかけがあっても、今すぐ、もしくはずっとアライになれない人もいるかもしれません。

ただ、私の話を聞いた人の中にいつかアライになる人がきっと現れるはず。
だから想いを届けたい。
そして私はアライになれたからこそアライを続けたい、そのことを人に伝えたい。そう思っています。

上記のような活動以外に、勤務先では2019年からLGBTQに関する社員リソースグループに立ち上げから関わってきました。今後はグループのCo-leaderとして企業と社会の多様性・公平性・包括性(Diversity, Equity and Inclusion)に貢献する事が目標です。

アライのハードルを上げるような書き方をしてしまいましたが、アライになりたい気持ちがあればそれは十分賞賛に値します。ぜひその気持ちを周りに伝えて欲しいと思います。

吉田彩夏 irOdori〜彩り×踊り〜(イロドリ)代表


【関連記事】
■トランスジェンダー女性の買い物同行レポート (吉田彩夏 irOdori代表)
https://sharescafe.net/60283484-20230313.html
■東大卒獣医師が、性別の枠にとらわれないバレエのイベントを企画する理由
https://note.com/sayanatsu/n/n48fd51e6339a
■より多くの人と動物を幸せに。獣医師として、まずはヒトの医療業界に身を置く決断をした理由。
https://dspace.co.jp/column/1386/
■ジェンダーによって分裂しない社会を目指して【前編】LGBTアライ〜吉田彩夏〜|LGBTER
https://lgbter.jp/ayaka_yoshida1/

【irOdori〜彩り×踊り〜】
心踊る体験を。
性別で決められた役割ではなく、自分の思いのまま心が踊るような体験をして、彩り豊かな人生を送ってほしい。そういう願いを込めて活動しています。活動を通じて、誰もが自分らしく表現できる世界、そして自分の思いを実現できる世界を目指します。現在はオールジェンダー歓迎のバレエレッスンやレディースファッション買い物同行サービスを提供しています。
https://irodori-odori.com/

東京レインボープライド2023に出展します!
4月22日(土)~4月23日(日) 代々木公園 参加費無料
https://tokyorainbowpride.com/about2023/

【プロフィール】吉田彩夏
230312吉田彩夏_プロフィール
1歳で父を白血病で亡くし、母と兄のもとで育つ。7歳よりクラシックバレエを始める。母の大学院進学により渡英、現地中学校に1年間通学。帰国後、桜蔭中学・高等学校を経て東京大学農学部獣医学課程を卒業。
外資系製薬企業に就職後、2019年にirOdori〜彩り×踊り〜を立ち上げる。「心踊る体験を。」をコンセプトに性別に決められた役割でなく自分らしく踊れる、オールジェンダー歓迎、服装自由のバレエレッスンを主催。2020年にレディースファッション買い物同行サービスを開始。「アライ」としてLGBTQ+を支援している。代名詞はshe/her。コロナ禍で茅ヶ崎に移住し、地域の自然や文化を満喫中。1992年、東京生まれ。
吉田彩夏
Twitter https://twitter.com/proud2bminority
Note https://note.com/sayanatsu

irOdori〜彩り×踊り〜
HP https://irodori-odori.com/
LINE https://lin.ee/xgH0cTN
Twitter https://twitter.com/irodori_odori
Instagram https://www.instagram.com/irodori_odori/
Note https://note.com/irodori_odori
YouTube https://www.youtube.com/@irodori699

この執筆者の記事一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加


シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ
シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。
シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。
シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。