宮田愛子オフィシャルブログ「Better Together」
miyata
生成AIで出来る仕事の話題になるとよく聞かれるのが「アナウンサーの仕事はどうなの?」である。

たしかに簡単な原稿の読み上げには過度な抑揚など必要なく、間違いもないAIで事足りると考えられるのはわかる。

むしろそういった仕事はアナウンサーが下積みとして経験するものと言われていて、AIに代わられる前(?)に、経験できたのはラッキーなことだったのかもしれない。

それでもやっぱり上手い人は上手いし、上手いとは人の心が通っているということ。だから100%AIで代替可能という考え方に懐疑的ではあるという話。

ちなみに私は局アナ時代、ありがたいことにナレーションを褒めていただくことが多かった。ただ、20代半ばにドキュメンタリーのナレーションを担当させてもらった際、人生経験が圧倒的に少ないせいで、人物の心の機微など伝えられないことに愕然とした。

いくら表現しようと思っても、持っているカードが少なすぎる。絞り出そうにも出てこない。メインで番組進行を任された時もそうだった。そこに”人間”が出てこなくて焦った。

別に何も経験していなくても、始めからうまく伝えられる人はいるのかもしれない。しかし、世の中に唯一無二の作品を残している表現者は、時に清濁あわせ呑んだ様々な経験を乗り越えていることに気がついた。

人間というものを正解不正解で割り切るのではない世界がそこに存在すると。だから人生や感情の深みを表現できるのだと。

そこからは自分なりにもがいて無茶なこともやったし、そのお陰でする必要のない、むやみに傷つくような経験もしたかもしれない。

人として全然効率は良くないし、カッコよくもなかったと思う。でもその甲斐あってか、CMでは複数のスポンサーから指名をいただけたり、日々の報道の特集や制作番組でのナレーションでも指名をもらえるようになった。人の思いは受け取ってもらえるのだと本当に嬉しく思った。

ラジオパーソナリティにおいても、様々な人生を想像して言葉を発せられるように、少しは なれた気がしていた。(だからアナウンサーは、若いうちの仕事だとは微塵も思っていない。)

しかしながら・・・・・・

そんな小さな人間なりの もがきも代替が可能で、「正解」を瞬時に導き出せる万能な存在がAIとしてこの世に生まれるのだとしたら。
その「正解」が人々に求められるのだとしたら。

・・・・・・その時にはまあ喜んで、その作品を楽しませてもらおうと思う。

それでもナレーションの土台は、人が必死にもがいて会得した「生きた証」の営みで、AIの話す言葉もそれをコピーしたものになるんじゃないのかな?と思うんだけどね。

それって、本当の意味で「AIに取って代わられた」と言うのかな。

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宮田愛子 フリーアナウンサー

■宮田愛子 ・プロフィール
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宮田愛子 フリーアナウンサー
北海道札幌市出身。札幌テレビにて12年間、アナウンサー、ラジオパーソナリティ、記者を務める。朝の情報番組「朝6生ワイド」等に出演。記者としては日本テレビ「news zero」等で中継リポートを経験。
2016年、退職後に岩手県でフリーアナウンサーとして活動。地元テレビ局に出演する傍ら、第一子妊娠中に取材したブログ記事がYahoo!トピックスに掲載。
2019年、東京に移住。プレジデントウーマンで記事執筆を経験。2020年、テレビ埼玉アナウンサーに就任。担当番組の「news930plus」では自身が取材したニュースをメインキャスターとして伝える。第二子出産によりテレビ埼玉を卒業。
2022年に仕事復帰、政府主催 拉致問題国際シンポジウムの司会を務める。

Instagram https://www.instagram.com/miyata.aiko/
Twitter https://twitter.com/aiko_miyata414
公式ブログ https://ameblo.jp/aiko-miyata414/

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