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会社を立て直すプロのコンサルタントでも、救える会社と救えない会社があります。その違いの一つが「社長自身のマインド」であると、経営コンサルタントの横須賀輝尚氏は言います。

会社を再建できる社長とそうでない社長のマインドは具体的にどのように違うのか。横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。



■一発逆転があると思っている社長はうまくいかない
資金繰り、会社の立て直しって本当に地味な作業なんです。

試算表、資金繰り表、経営改善計画書の作成などは数字とにらめっこして、ただただそれを書類に落としていく作業。倒産を防ぐ最後の綱は融資なのですから、こういった作業に地道に取り組める社長は逆転できる可能性を持っています。

本当にこういうときは精神的にもキツイ。その中でも、真面目に諦めず取り組める社長が奇跡を起こします。一方で、何か一発逆転がある。あるいは、「コンサルタントにお金さえ払えば、なんとかなるっしょ」みたいな、魔法のような何かがあると思っている社長。こういう人は、なかなか逆転にはほど遠い。

ドラマや映画では、窮地に救ってくれる取引先、偶然生まれるヒット商品、足元を掬われるライバル企業......なんてのが終盤の典型ですが、現実にはそんなことはまず起きない。そういったものは物語の世界なのです。

ですから、そんな都合のいい展開はない、魔法のようなものはないと現実をきちんと受け止めて、地道に取り組める社長でなければ、逆転の道は拓けないのです。

■最後まで、見栄やプライドが捨てられない
本気で会社を潰させないと覚悟したら、自宅だろうが高級車だろうが売却して少しでもお金をつくろうとするものです。

しかし、「自宅だけは」「この車だけは」と必死にしがみつき、しまいには「自宅を手放したり、車がなくなったりしたら、周りになんて言われるかわからない」と周りの評判や地位を優先させる。これでは、どんなプロがアドバイスをしても、会社はもとに戻りません。

立派な賃貸オフィスを手放し、自宅兼事務所で再起した社長もいます。いままで住んでいた戸建てを売却し、賃貸アパートから復活した社長もいます。恥も外聞もなく、全力で会社再建に取り組む社長でなければ、窮地を脱出することはできないのです。

生活レベルを落とすのは、思いの外大変なこと。自分自身の情けなさ、至らなさ、そういうことを直視し、もう一度立ち上がれる人が、逆転の可能性を持っているのです。

■素直な人、前向きなアイディアを出せる人、汗をかける人
これまで「税理士にうちの業界のことがわかるか」などと言って、税理士のアドバイスを聞かなかった社長も、あるいは「経営経験のないコンサルタントに何がわかる」と言って、コンサルタントを蔑視していた社長も、追い詰められると次第に素直に助言を聞くようになります。

これは弱っている証拠でもありますけど。

ただ、この素直も「責任転嫁的な素直」なのか、「本当に再建するための素直」なのかとでは、少し意味合いが違います。前者は素直でもなげやり。後者は本気で会社を立て直すために真面目にアドバイスを聞く、といったところでしょうか。

繰り返しになりますが、試算表、資金繰り表、経営改善計画書などの作成は、本当に地道。この先に本当に未来があるのかと疑ってしまいたくなる気持ちもわかります。しかし、これらはプロのアドバイス。プロを信じて、素直に実践する。この姿勢が重要です。

加えて、こんな窮地でも前向きにものごとを考えられる人。打開策としてのアイディアが出せる人、出そうとする人。本当にお金がなく、倒産間近になれば、通常ならまともな精神を維持するだけでも困難になります。その中でも、前向きに打開策を出す。いや、出そうとする精神性が、奇跡を呼び寄せるのかもしれません。

さらに、汗をかける社長。創業の頃は、どんな社長も必死に汗をかいて営業するもの。顧客ひとりひとりに靴をすり減らして会いに行き、また取引先に頭を下げ、自分の会社が軌道に乗るために、頭より身体を使ってきた、なんて社長も多いはず。

しかしながら、会社が成功すれば、徐々にそういったドブ板営業をしなくなります。 自ら動かなくても、広告を出せばいいじゃないか。あるいは自分じゃなくても、社員に行かせればいい。社長はどんどん現場から遠ざかり、最後は「俺は社長なんだから」と言って、次第に動かなくなります。

もちろん、仕組みとして社長が現場から離れることの重要性を否定するわけではありませんが、会社が倒産の危機に瀕しているわけですから、自らの手と足を動かさなければ奇跡は起きません。金融機関への金策や知り合いへの無心はもとより、お金を使わない営業だっていくらでもあるわけです。

顧客に会いに行くようなアナログな方法もあれば、いまはYouTubeやSNSなど無料で使えるツールはいくらでもあります。もちろん、各種ツールの活用には設計や戦略が必要ですが、無策でも何もしないよりは 何かが起こるかもしれない。そうやって汗をかける人こそ、幸運を引き寄せられるのではないでしょうか。

■自己破産にも2種類ある
最後にひとつだけ。

よく「自己破産すればいいや」と自己破産を軽く考える社長がいます。この自己破産にも、「全力で取り組んだ結果の自己破産」と「何も考えてない自己破産」があります。

後者はよく言えば楽観的。悪く言えば、真剣に取り組まなかった結果の自己破産です。こういう社長が自己破産すると、また同じような結果になることがほとんど。そういう意味では、やはり会社が潰れる・潰れないのシグナルって、社長自身が出すものなんだなぁとしみじみ思うのです。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士

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【プロフィール】
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1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。

公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
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