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副業に時間を使うためには本業の効率を上げて働く時間を減らさないといけない。そう考える人も多いだろう。しかし実は、効率を上げても働く時間が減るとは限らない。

そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、副業に取り組む時間を作る秘訣について、再構成してお届けします。



◾️仕事を効率化しても働く時間は減らない
働く時間を減らすことを考える時に一番押さえなければいけない重要なポイント。それは、仕事を効率化しても必ずしも働く時間が減るわけではないということです。

たとえばムダな会議や資料を廃止して、月に10時間空き時間を作れたとします。しかしその後、あらたに10時間、別の仕事を引き受けてしまえば、働く時間は全く減りません。盲点・問題は「仕事は無限にある」ことなのです。

会社や個人が売上を伸ばそうとしたり、成長しようとし続ける限り、仕事は無限に増え続けます。目指す売上(目標)には上限がないし、成長にも終わりがないからです。会社や個人は新しい仕事をどんどん作り出 していきます。

仕事は無限に増え続ける。だからこそ、いくら業務を効率化して空き時間を創出しても、その空き時間にあらたな仕事を入れ続けてしまう限り、働く時間は減らないのです。

では働く時間を減らすために我々はどうしたらいいのか。必要なのは「線引き」です。仕事が無限に増え続けることに対し、どこかで線を引くのです。そうしないと仕事が無限に増え続けるのと同時に、我々も永遠に働かなければならなくなるからです。

「線引き」の一番シンプルな方法。それは働く時間、つまり何時間働くか、これを制限することです。いきなり私のように残業ゼロを実践する必要はありません。たとえば普段20時に仕事を終えているのであれば、明日から19時半に仕事を終えるようにしてみましょう。

そうして19時半に仕事を終えることが習慣化したら、次は19時に仕事を終えるようにしてみます。そうして少しずつ、段階的に働く時間を制限していく。そうすればムリなく働く時間を減らすことができるようになります。

◾️働く時間を減らしても成果はほとんど変わらない
「働く時間が減るのはいいが、仕事が終わらなくなったり、成果が減ってしまうのでは?」と心配になった人もいるでしょう。意外かもしれませんが、働く時間を減らしても実は成果やこなせる仕事量はほとんど変わらないのです。

例を挙げましょう。『週刊少年ジャンプ』で 年間も連載し、単行本は全201巻にもおよぶマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称:こち亀)の作者の秋本治氏は次のように語っています。

「終わる時間を24時、22時、21時と早めていき、最終的には19時に切り上げるという習慣ができあがりました。(中略)不思議なもので、終わりの時間を繰り上げ、マンガを書く時間を減らしても、できる仕事の量は変わりませんでした」(『秋本治の仕事術「こち亀」作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』集英社)

なぜ働く時間を減らしても成果が変わらないのか。これが秋本氏に限った話ではないことを理解していただくために、働く時間を減らしても成果が変わらない理由をロジカルに説明しましょう。

◾️人は時間がないと効果的に働く
皆さんは「パーキンソンの法則」をご存知ですか? 簡単に言えば「仕事はかける時間に合わせて膨張する」という考え方です。

たとえば会議で15分しかなければ15分で決められる議題も、60分あれば60分、時間をかけてしまう。会議ではそんなことも珍しくないのではないでしょうか。これは60分の時間があると、それに合わせて会議のペースが進行していくからです。

もし15分しか時間がなければ、参加者全員が「時間内に決めなければいけない」と集中力を高めて議論します。しかし60分あると雑談をしたり、のんびりと議論をしてしまう。人間とはそういうものなのです。

たとえば会社で残業禁止令が出されたことを想像してみてください。その場合、60分で予定されていた会議も、雑談を省いてなるべく早く終わらせよう──そんなふうに誰もが思うようになるのではないでしょうか。あるいは会議自体をやめるという判断も出てくるでしょう。

日本企業ではまだまだ情報共有のために会議をするという会社も珍しくありません。しかし単なる情報共有なら、関係者にメールすれば十分。会議の時間がないならメールで済ませよう。そんな判断をする人も出てくるでしょう。

人は時間がないと本当に必要なことだけに時間を使うようになるのです。だから働く時間を減らしても、秋本氏も成果を減らさずに済んだのです。皆さんも、身の周りの打ち合わせや会議などを削減できないか、見直してみましょう。

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【プロフィール 滝川徹・時短コンサルタント】
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1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。

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