集客のためにセミナーや講座を無料で開催する人も多いだろう。しかし実は無料での集客は「強者の戦略」であり、優位性がない限りやめておいたほうがいい。 そう語るのは現役会社員・副業講師の滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法』より、無料ビジネスの盲点とその代替案について、再構成してお届けします。 ■無料セミナーは「強者の戦略」 よく巷では無料のセミナーが開催されてますが、個人的には、無料のセミナーはおすすめしません。理屈で考えれば無料で開催したほうが受講者側の「お試し」には最適です。しかし世の中には無料のセミナーが溢れています。その競争に打ち勝つ優位性が皆さんになければ、無料でセミナーを開催しても人は集まらないのです。 受講する側の視点に立ってみてください。無料のセミナーということは、内容は有料のものに及ばない。そう想像しますよね。そうすると、受講者側も自分の貴重な時間を使って受講しようとは思わないのではないでしょうか。 たとえば野球選手の大谷翔平さんが無料で講演するとなれば、どんな話でもいいからとにかく話を聞きたい。そう感じる人も多いでしょう。しかし私たちのように知名度が低い人物が無料で話をしても、たいした話は聞けそうにない。そう感じる人がほとんどということです。 話の質に関係なく、皆さんの話を聞きたい。そう思ってもらえる知名度・レベルにならないと無料のセミナーを開いても集客はむずかしいというのが私の考えです。つまり、無料セミナーは強者が取る戦略なのです。 ■コラボセミナーは新しい客層にリーチできる 一方で、他人と共催するコラボセミナーは集客方法としておすすめです。新しい顧客層にリーチできるからです。 たとえば同じ時間管理をテーマにビジネスをしていても、私の顧客層とAさんの顧客層は基本的には異なります。それは私とAさんでは、発信している内容や個性が異なるからです。 野球が好きな人でも好きな選手は人それぞれですよね。それと同じです。コラボセミナーのいいところは、たとえば私とAさんとで、タスク管理と時間管理のセミナーを共催する場合、私のことを知らないAさんの顧客に接する機会が得られることです。 Aさんの顧客は時間管理に興味があるわけですから、タスク管理を紹介する私の話にも興味をもってくれるかもしれません。そうすると、コラボセミナーの終わりに「今度継続セミナーをやりますのでよかったら参加してくださいね」と情報提供すれば、そこから会員になってくれる可能性も出てくるわけです。 「どんな人とコラボすればいいの?」と思うかもしれません。結論から言うと、自分が話ができる共通のテーマがあれば誰とでもOKです。たとえば私の場合、以前税理士さんとダイエットをテーマにコラボセミナーをしたことがあります。その税理士さんは1年で26キロやせたノウハウを伝えました。 一方私は、時間管理や習慣の作り方という切り口で話をしました。その税理士さんのノウハウを自分の切り口で解説したり、習慣化のスペシャリストとして習慣を作るためにどんなことを意識すべきかなどの話をしました。 このように、自分が何かしら話ができそうであれば、どんどんコラボしていくのがおすすめです。参考までに、コラボセミナーを開く前に共催相手と取り決めしておくことについて、私の考えを紹介しましょう。 ■コラボセミナー開催時に決めておくべきこと 最初に決めたほうがいいことは、セミナーの価格と売上を分ける割合です。参加費を一人いくらにするのか。売上を最後どのように分けるのか。こうしたことは最初に決めるようにしています。お金の話は後で揉める可能性があるからです。 まず決めるのは、コラボセミナーの価格(参加費)です。自分一人で決められませんので話し合いになるわけですが、集客を見込む人数で私は提案するようにしています。一つの目安は10人です。 10人を超える人数の集客を見込む場合、私は今なら5500円を提案します。単独のセミナーを見ていると無料〜3000円程度のセミナーが多いです。講師が二人いるコラボセミナーなら、5500円は決して高くない。私はそう考えるからです。 一方、10人以内の人数を見込む場合は少人数制のセミナーになるので、最近では1万2000円前後で価格設定するように提案します。少人数のセミナーなら、多少高くても価値があると感じてもらえる。そう考えているからです。 セミナーの価格を決めたら、次はいよいよ売上を分ける割合を決めます。誰もがそうであるように、私もこうした話をするのは好きではありませんが、避けることはできません。最初に話さなくても、少なくとも最後には話さなければいけない。それならはじめに思いきって話をしてしまったほうがいい。これが私の考えです。 共催相手にもよりますが、基本的には半々で提案しています。コラボする相手が自分より集客力があるように思えても、です。コラボセミナーですから、基本的には自分と共催者の方は対等だと私は考えているからです。 例外があるとしたら、割合を譲歩しなければコラボできないような相手とやる時でしょう。たとえば自分の師匠のような存在や、憧れの存在とやる時です。私も駆け出しの頃は そうして売上の全額を相手に渡したこともあります。それはコラボセミナーをやることで、その方からノウハウを学ばせていただく。そうした感覚が強かったからです。 しかし今では私も立派なセミナー講師。基本的には半々で提案します。半々以外の提案をする時はあくまでセミナーのキャリアが浅く、相手から学ばせていただくと自分が感じている。そういう時に限定すればいいでしょう。 ただし正解はありません。私の話を参考に、ご自身の感覚で話し合ってみてください。いずれにせよ、お金の話ははじめに明確にしておきましょう。それがその人とのその後の関係を保つためにも大切になるからです。 ■あまり細かいところまで決めなくていい お金の話さえ済ませれば、後はそんなに多くのことは話し合いません。時間配分と司会進行の役割くらいですね。コラボセミナーの場合、全部で2時間のセミナーとすることが多いです。 時間配分はお互いのトークがそれぞれ45 〜50分、休憩と質疑応答含め10分〜15分。セットで1時間ずつ。そうした配分で提案します。休憩・質疑応答の時間を多めに入れておくと、どちらかが時間を多少オーバーして話をしてしまっても、時間の調整がしやすくなります。 あとは当日の司会・進行役をどちらが務めるかを決めておきます。たとえばセミナーの最初にどちらが話すかですね。これを事前に決めておかないと、いざセミナーがはじまった時にまごついてしまいます。 また、お互いどんな話をするか、簡単でいいので事前に確認しておきましょう。私の場合は本当に大雑把に「自分はこんな話をしますのでよろしくお願いします」という感じで相手に伝えます。 相手がどんな話をするか。テーマが重複しないように聞きはしますが、細かくは聞きません。相手のスライドも確認しません。「大体こんなテーマで話をするんだな」と理解できれば十分です。 コラボセミナーとはいえ、お互いプロ。話が完全に重複さえしなければ、お互いのパートを各自責任もって話せばいい。そう考えているからです。 コラボセミナーを開催する時に相手と話し合うのは以上のようなところです。もし開催する際には、ぜひ参考にしていただき、コラボセミナーを楽しんでください。 【関連記事】 ■副業・セミナ-講師の最初の一歩が踏み出せない人が見落としている視点(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61434756-20240419.html ■バズるコンテンツを作る4つのステップ(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61433978-20240419.html ■まずはブログ200記事書くための、楽しく続く情報発信のコツ(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61433583-20240419.html ■副業講師は誰でも今日からはじめられると言える理由 (滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61433534-20240419.html ■「過剰なインプット」は人生からの逃避行動だ(滝川徹 時短コンサルタント) https://sharescafe.net/61433490-20240419.html 【プロフィール 滝川徹・時短コンサルタント】 1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。 シェアーズカフェ・オンラインからのお知らせ ■シェアーズカフェ・オンラインは2014年から国内最大のポータルサイト・Yahoo!ニュースに掲載記事を配信しています ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家の書き手を募集しています。 ■シェアーズカフェ・オンラインは士業・専門家向けに執筆指導を行っています。 ■シェアーズカフェ・オンラインを運営するシェアーズカフェは住宅・保険・投資・家計管理・年金など、個人向けの相談・レッスンを提供しています。編集長で「保険を売らないFP」の中嶋が対応します。 |